次世代の内部監査~重要リスク(6)企業買収(M&A)~ ブックマークが追加されました
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次世代の内部監査~重要リスク(6)企業買収(M&A)~
内部監査の新潮流シリーズ(17):企業買収(M&A)の成功のために内部監査は重要な役割を期待されています
COVID-19が収束して経済や企業活動が回復し始めると、企業買収(M&A)は事業の拡大や成長の加速を促す手段になると考えられています。今後再び活発化すると予想されるM&Aが長期的な成功を収めるためには、統合日まで(特に情報システムの互換性評価、会計処理と内部統制、内部監査の統合)および統合プロセス(特にPMI監査)において内部監査が重要な役割を果たすことが期待されています。
デロイト トーマツでは、「内部監査の新潮流」と題して内部監査のトピックスを全24回にわたり連載いたします。前半は、内部監査の基礎となる事項をとりあげ、後半は次世代の内部監査に求められる最新のトピックスを取り上げます。全24回の詳細はこちらのページをご覧ください。
COVID-19後の企業買収(M&A)
COVID-19が収束して経済や企業活動が回復し始めると、企業買収(M&A)は事業の拡大や成長の加速を促す手段になると考えられています。Deloitteの「Future of M&A Trends」サーベイによれば、米国のディールメーカーの61%が12か月以内にM&AはCOVID-19以前の水準に回復すると予想しています。COVID-19による混乱が続く中、企業やプライベート・エクイティ投資家は、投資資金を大量に蓄積してきました。今後再び活発化すると予想されるM&Aが長期的な成功を収めるためには、内部監査が重要な役割を果たすことが期待されています。
内部監査の視点による企業買収(M&A)の成功要因
企業買収(M&A)において、内部監査は重要な役割を果たすことができます。M&Aの意思決定や実行プロセスは内部監査が主導するものではありません。しかし、以下の3つの要因はM&Aの成否に影響する重要なポイントで、内部監査の視点で貢献することが可能です。
① 情報システム(IT)
情報システムの統合はM&Aにおいて最も重要で、成功の成否を左右すると言っても過言ではありません。買収・被買収企業においては大小数多くの情報システムが活用されていますが、それらのすべてについての互換性評価が重要です。M&Aの公表時点では楽観的な相乗効果が予測されるものの、統合日が近づくにつれて情報システムの互換性が障害となることで相乗効果が突然縮小する可能性があります。
② 会計処理および内部統制
会計処理や内部統制もM&Aではとても重要です。統合に向けた作業期間中、会計プロセスが一時的に中断し、財務報告に悪影響を及ぼす可能性があります。内部統制基本方針やコーポレートガバナンス体制についても統合前後で断絶すべきではありませんし、内部統制報告制度(J-SOX)の対応においては内部統制の文書化、整備評価、運用評価をやり直す必要が生じることもあります。多くの企業は、プロセスの統合に必要な労力を過小評価しています。もぐらたたきのようにリソースを投入するのではなく、適切なスキルセットを持ったリソースを継続的に関与させることが不可欠です。
③ 内部監査の統合
全社的な統合作業だけでなく、双方の内部監査の統合も重要です。統合前後でも内部監査機能は中断することなく継続すべきであり、内部監査のビジョン、方針、オペレーティングモデル、調書や報告書様式、利用ツールやテクノロジーなどのギャップを早急に調整する必要があります。
トーマツでは「次世代の内部監査への変革を本気で取り組もう」という会社様向けに「次世代内部監査提言サービス」を始めました。外部品質評価(診断)や内部監査ラボなどを通してInternal Audit 4.0フレームワークとのFit & Gap分析を実施し、各社の実情に合った次世代内部監査モデルを提言いたします。ご興味のある方はぜひトーマツの内部監査プロフェッショナルまでお問い合わせください。
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