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次世代の内部監査~コアアシュアランス業務の自動化~

内部監査の新潮流シリーズ(23):内部監査の効率化および品質強化の観点で内部監査の自動化が推進されています

内部監査の自動化に対する関心が高まっています。効率化および品質強化の観点から、標準的な監査手続の実施についてはSOXテストの自動化などテクノロジーを活用した事例が増えています。コアアシュアランスの自動化は当該業務の効率化・品質向上だけでなく、ステークホルダーの期待に応えて価値を提供できる重要な業務へのリソースシフトにも貢献します。

デロイト トーマツでは、「内部監査の新潮流」と題して内部監査のトピックスを全24回にわたり連載いたします。前半は、内部監査の基礎となる事項をとりあげ、後半は次世代の内部監査に求められる最新のトピックスを取り上げます。全24回の詳細はこちらのページをご覧ください。

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コアアシュアランス業務の自動化

内部監査におけるテクノロジーやデジタル資産の活用が進んでいます。デロイトは次世代の内部監査として、Internal Audit 3.0(IA3.0)のフレームワークを公表しています(第1回内部監査の新しい潮流 ~次世代の内部監査への変革~参照)。その中でも内部監査のDX(デジタルトランスフォーメーション)は特徴的なポイントの一つです。

内部監査のアシュアランスの領域におけるコアアシュアランス業務については、テクノロジーを活用した自動化を推進することで重要リスクに対するアシュアランスなどにリソースをシフトすることが期待されています。

コアアシュアランスの自動化に関する事例としてはSOXテストの自動化が注目されています。SOXテストは毎年発生する定型業務であり相当な工数を要するため、自動化によるメリットは大きいと考えられます。自動化した場合のSOXテストはロボットが大半を実施することで、大幅な工数削減とリソースの最適化が期待できます。

自動化(デジタル化)の対象プロセスの特定

自動化(デジタル化)の対象候補としては、多数の従業員が関与、高頻度で発生、手作業が多い、反復的、ミスが発生しやすい、標準化されているといった業務プロセスが候補となります。【図1】

対象候補の検討にあたり、デジタル活用の優先順位を決定するためのフレームワークである「プライオリティマトリックス」を活用することが有効です。本マトリックスを活用することで、自動化における価値(品質向上、効率化等)と複雑性(プロセスおよびデータ等)のドライバーにより、その候補がデジタル活用において、どのような機会に該当するかを判断することが可能になります。

SOXテストを例にすると、毎年発生する標準化された定型業務で複雑性は比較的低く、一方で相当な工数を要するため、自動化によるメリットは高いことが見込まれます。デジタル化の対象候補として、「クイック・ウィン」の機会に該当すると考えられます。

後述の「SOXテスト自動化による内部統制業務の変化」にてSOXテスト自動化に関する詳細内容について解説します。


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SOXテスト自動化による内部統制業務の変化

<内部監査部門の課題>

コアアシュアランス自動化の一例である「SOXテスト自動化」がもたらす効果は短期的な品質向上・効率化のみならず、内部監査部門の構造的な課題を解決し得ると考えられます。
リスクが多様化し不確実性が増す環境下において、リソースの増員が困難である一方で、SOXテストは毎年発生する定型業務であり相当な工数を要します。また、多くは手作業でテスト担当者の熟練度に依存することから、人的エラーを100%排除することは困難です。

 

<SOXテスト自動化による内部統制業務の変化>

SOXテスト自動化がもたらす効果は短期的な工数削減のみではありません。
RPAや各種プログラムを利用したシステムからのデータ抽出、母集団の特定、サンプルの選定、評価(テスト)、および文書化(テスト結果の記録)といった一連のSOXテスト手続きを再設計して自動化することにより、全件テスト(母集団の100%)の実施やエラーの早期発見が可能となり、品質向上が見込まれます。また、内部監査部門の人員を他のアシュアランスやアドバイザリー業務にシフトさせることで、リソースの最適化が期待できます。


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SOXテスト自動化により、新たなリスクへの対応が可能となることから、コンプライアンスおよびガバナンス面の向上が見込められます。また、自動化の機能拡張による監査品質の随時強化や累積的な効果が見込めることから、投資効果は大きいと考えられます。
コアアシュアランスの自動化(SOXテストの自動化)は内部監査部門の構造改革に寄与します。

内部監査の自動化、デジタル化に関する詳しいご説明をご希望される方はトーマツのプロフェッショナルにお問い合わせいただくか、当ウェブサイトよりお問い合わせください。

 

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トーマツでは「次世代の内部監査への変革を本気で取り組もう」という会社様向けに「次世代内部監査提言サービス」を始めました。外部品質評価(診断)や内部監査ラボなどを通してInternal Audit 3.0フレームワークとのFit & Gap分析を実施し、各社の実情に合った次世代内部監査モデルを提言いたします。ご興味のある方はぜひトーマツの内部監査プロフェッショナルまでお問い合わせいただくか、当ウェブサイトよりお問い合わせください。

 

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