海外M&Aに伴うJ-SOX（内部統制）対応

買い手企業および売り手企業の商習慣、業界などを理解したプロジェクト体制構築が成功の鍵となる

買い手企業および売り手企業の商習慣や業界などを理解せずに、J-SOX（内部統制）対応をしても意図したとおりにプロジェクトは進みません。特にコングロマリット型M&Aの場合、商慣習や業界の違いから共通認識を醸成するには多くの時間が必要となり、ミスコミュニケーションは制度対応において致命的なリスクとなることがあります。

商習慣や業界に限らず、組織、規則、文化、経験、業務手順など「全く違う背景を持つ企業同士の統合」となれば、多くの変化が生じ、取り組むべき領域の洗い出し、計画の立案、取り組み体制の整備が必要となり、多くのケースにおいてこの違いの認識が十分でないことや、または過剰反応により失敗につながることがあります。

そのため、売り手企業の商習慣、業界を理解した専門家、買い手企業の方針を理解した専門家がひとつのチームとなるプロジェクト体制を構築することが必要となります。

M&Aの分類によって、留意すべき点が異なる

前述のコングロマリット型の他、例えば水平型M&Aでは、同一業種の中で同じ段階の企業を統合し既存事業の強化を図ることから、顧客、製品、サービス、チャネル、人材などの活かし方を整理し、製品・サービス・店舗等の重複の解消に取り組む際に、内部統制の変更について留意が必要です。

また、垂直型M&Aでは、同一業種の中で異なる段階の企業を統合しサプライチェーンの効率化を図ることから、例えば販売や購買の取引形態に変更が生じ、内部統制の変更について留意が必要です。

J-SOX対応においては買い手企業方針と売り手企業方針の丁寧なギャップ調整がポイントとなる

海外進出におけるJ-SOX対応を成功させるためのStepは以下となります

Step1：評価方針の検討
Step2：文書化の実施（Fit and Gap）
Step3：運用
Step4：評価の実施

また、各Stepを進めるうえで特に留意が必要な点は以下となります

1. マネジメント層へのリスクと内部統制のヒアリング
   
   リスクの買い手企業のビジネスとの違いや売り手企業のリスクに対する現在の内部統制を理解・識別するため、あるべき内部統制と現状の内部統制の差異分析を実施。その際に、現地特有のビジネスの実態と運営の背景、システム、担当者等の事情もマネジメントから引き出し、理解する必要があります。
2. J-SOX対応一連の手続きの調整
   
   買い手企業においてM&A前からJ-SOX対応を実施していた場合、計画、文書化、評価の方法について調整が必要です。
3. 内部統制上の不備の改善案検討
   
   改善において現場の負荷を踏まえなければ形だけの改善になってしまい、再度不備を出すような結果となるため、慎重な検討が必要になります。
4. 監査法人との調整
   
   時期によっては本番評価対象期間の調整、内部統制の水準、評価の粒度および深度等について監査法人との事前調整が必要です。

J-SOX対応のステップ

トーマツは、海外M&Aに伴うJ-SOX（内部統制）対応を支援します

有限責任監査法人トーマツでは、M&A案件の経験が豊富な専門家が設計から運用、評価、効率化を含む改善までサポートいたします。

また、海外M&A案件においては、現地の法令、ビジネスの実態に精通した海外メンバーファームと連携し、適切な言語でのサポートが可能です。

海外M&Aに伴うJ-SOX（内部統制）対応につき、興味のある方は是非お問合せください。

有限責任監査法人トーマツは、他にもJ-SOX対応として、以下の支援サービスが可能です。

• 新規ビジネス参入時の内部統制・J-SOX対応
• 海外進出に伴う内部統制・J-SOX対応
• テクノロジー活用による業務自動化に伴うJ-SOX対応
• システムの導入・変更に伴うJ-SOX対応
• 不正発生時のJ-SOX対応
• IFRS導入時のJ-SOX対応
• US-SOXからJ-SOX移行時の対応

各種J-SOX支援サービスにご興味のある方は、是非お問合せください。