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J-SOXからUS-SOXへの移行時における対応

J-SOXとUS-SOXの差異及びJ-SOXからUS-SOXへの移行時における必要な対応について

近年、グローバル化の促進、上場のしやすさ、知名度の向上というメリットから新たに海外上場を目指す日本企業も増えてきています。海外市場の中でも米国市場に上場する場合は、US-SOXの対応が求められることとなり、すでにJ-SOXを導入している企業にとっても様々な追加対応が必要となります。米国市場への上場を目指す企業は、J-SOXとUS-SOXの差異を明確に理解した上で、国内と海外の関係者を巻き込みUS-SOXの導入を推進する強力な体制を構築する必要があります。

US-SOXとJ-SOXでは評価対象範囲が大きく異なる

US-SOXとJ-SOXでは特に業務プロセスの対象拠点や対象科目の評価範囲が大きく異なります。そのため、J-SOXにおいて評価対象外だったものが、US-SOXにおいて評価対象となることがあり、評価範囲が異なる場合は新たに内部統制文書の作成やUS-SOXの要件を充足するような内部統制を構築する必要があります。

①対象拠点の範囲
J-SOXにおいては、評価対象となる業務プロセスの事業拠点の範囲について、実施基準により具体的な定量基準が例示されています。一方でUS-SOXにおいては、具体的な定量基準は示されておらず、財務諸表監査における重大な記載誤りに該当するリスクが存在する拠点はすべて対象となります。そのため、一般的にJ-SOXに比べUS-SOXの方が評価対象拠点は広くなる傾向にあります。

②対象科目の範囲
J-SOXにおいては事業目的に大きく関わる勘定を中心に設定され、実施基準において対象となる勘定科目が例示されています。一方でUS-SOXにおいては、具体的な対象科目は例示されておらず、財務諸表監査における重大な記載誤りに該当するリスクが存在する勘定科目は全て対象となります。そのため、対象科目の範囲についても一般的にJ-SOXに比べUS-SOXの方が評価範囲は広くなる傾向にあります。

 

【J-SOXとUS-SOXの対象範囲の違い(イメージ)】

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US-SOXではJ-SOXに比べ要求される手続・文書化レベルが高くなる

J-SOXはインダイレクト・レポーティングを採用しているため、経営者が実施した内部統制の評価が適正であるかどうかについて会計監査人が意見を表明します。一方でUS-SOXではダイレクト・レポーティングを採用しているため、会計監査人は経営者の評価とは別に内部統制そのものの有効性について意見を表明します。
そのため、US-SOXでは会計監査人による内部統制監査が厳格になる傾向があり、特に経営者や管理者によるレビューのコントロールや会社が作成する情報の正確性・網羅性について、より高い水準の統制、文書化、評価手続が求められます。
また、内部統制の不備の評価についてもUS-SOXの方が厳格に実施される傾向にあり、US-SOXでは重要な欠陥を識別される会社の割合が多くなっています。

例えばUS-SOXでは以下のような項目で多くの重要な欠陥が識別されています。

・見積り項目や複雑な科目に係る決算財務報告プロセスにおける不適切なマネジメントレビュー
・不適切な職務分掌

 

トーマツではUS-SOXのプロフェッショナルが関与し、貴社を支援します

US-SOXは明確な量的基準や例示が示されていない場合も多く、US-SOXの導入にあたっては会計監査人との協議が重要になってきます。そのため、専門的な知識や経験を有したプロフェッショナルをプロジェクトに参画させることがプロジェクトの成否をわけます。
有限責任監査法人トーマツではUS-SOXにおける業務プロセスやITシステムの対応について多くの知見・経験を有した内部統制構築のプロフェッショナルがUS-SOXの導入を支援します。

他にもSOX対応として以下の支援サービスが可能です。

・新規ビジネス参入時の内部統制・J-SOX対応
・テクノロジー活用による業務自動化に伴うJ-SOX対応
・システムの導入・変更に伴うJ-SOX対応
・不正発生時のJ-SOX対応
・海外M&A(企業買収)時のJ-SOX対応
・IFRS導入時のJ-SOX対応  等

 

本記事に関してのより詳細な内容や関連資料、プロジェクト事例の紹介資料等を多数用意しております。詳しい資料をご要望の場合は以下のフォームよりお問合わせください。

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