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PMI トランスフォーメーション ~PMI for Growth~

M&Aをトリガーとした真の成長・トランスフォーメーションの実現に向けて

PMI活動が形骸化し結果的に子会社として連結するに留まるケースは多く、結果、買収時に上乗せしたプレミアムを超えるシナジーの実現どころか、減損処理を強いられるなど、買収前の想定通り成果を上げるM&A案件は限定されているのが実態である。買収目論見や買収後の成長戦略の実現に向けては、本社側・対象会社側双方の戦略・オペレーション等を客観的に分析、成功確度と効果を最大化するバリューアップ・全社改革にむけたロードマップ策定が必要となる。

日本企業によるM&Aの課題

日本企業による海外企業の買収は年々増加の一途を辿っており、企業戦略の重要な選択肢であることに疑いはない。

図1 日本企業による海外企業の買収に関する実態および動向
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昨今報道等で耳にするが、買収時に上乗せしたプレミアムを超えるシナジーの実現どころか、減損処理を強いられるなど、買収前の想定通り成果を上げるM&A案件は限定されているのが実態だ。(図2)

 

図2 日本企業の売り上げシナジー(1999年~2015年 1000億円以上の買収案件)
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また、「時間を金で買う」と銘打って海外企業を買収するも、そのハードルの高さからPMI活動が形骸化、或いはそもそもPMI活動自体を行わず、結果的に子会社として連結するにとどまるケースも多く見られる。

更に、日本企業はM&A推進において資産・人材のリストラクチャリングを対象外とする傾向が強く見られる。バリューチェーン上の重複機能や資産等、成長戦略実現に必要不可欠な対象を特定し、思い切った打ち手を講じる次元まで踏み込めていない企業を数多く見てきた。

上記のような状況を経て、M&A実施から一定期間経過した段階でPMI活動を総括し、今後のValue Upに取組む企業を多く目にする。当初想定した最低限のシナジーが実現しない、場合によっては買収した企業そのものの事業環境が悪化しているなど、過去の取組みを振り返りながら目下の課題に手を打つ必要がある。
 

 

Monitor Deloitteのアプローチ

弊社はこうした検討を実施する時期をPost PMI Stageと呼び、主に3つのステップによる「PMI トランスフォーメーション」の実現を支援している。

図3 PMIトランスフォーメーション概要
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1. Post PMI アセスメント:

まずは買収当時のディール・PMIにおける責任者や担当者へのインタビューを通して買収当初との想定・認識の違いや内部・外部環境の変化などを洗い出す。M&A実行時のM&A戦略・事業計画と実態のギャップを明確化、その要因を特定した上で再度事業性を評価していく。

事業継続に一定の価値を見出せると判断した場合、追加M&A(Roll-up)、ガバナンス強化、シナジー追及など、変革の方向性・シナリオを策定し、後続のロードマップ策定ステップにて計画を策定・具体化する。一方、事業継続の意義を見出せないと判断した場合は事業売却・清算プロセスに移行する。

また、本社・対象会社双方の組織ケイパビリティ分析による、「PMI成熟度ステージ」を定義し、貴社が属するステージにおけるPMI推進上の課題の洗い出しと変革シナリオを策定する。
 

2. 成功確度と効果を最大化する改革ロードマップ(Growth Path)の策定

Post PMI アセスメントを通じて作成した変革シナリオに基づき、最も効果的・効率的にそれを実現する中長期でのロードマップを策定する。直近の事業を取り巻く外部環境と貴社事業状況を考慮した事業全体の中長期的なBlueprint(青写真)を描き、関係者が同じ目線でバリューアップ・事業化策定・実行を推進できる環境を整える。その際、買収先会社単体にとどまらず、グループ内子会社複数を巻き込む全社スケールでの変革に派生させることも可能である。
 

3. 伴走型実行支援

Growth Pathをもとにバリューアップ・事業化にむけた全社改革を実現する。Monitor Deloitteでは伴走型支援により、中立的・かつ経営目線での部門間連携を支援、ポテンヒット発生を回避し改革を力強く推進する。

図4 事業化推進に向けた、経営目線での伴走型支援
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成功への鍵


本Post PMI Serviceを展開するに際して、以下1.~3.が成功への鍵(Key to Success)であり、改めて以下の問いと向き合って頂きたい。

  1. やり切る
    対象会社のことを完全に理解できているか?
    デューディリジェンスや対象会社主要メンバーから取得した情報だけでなく、自らの足で定量・定性情報を取りに行くことで対象会社の理解度は格段に上がる。
    徹底したガバナンスを追求できているか?
    欧州企業を買収した製造業A社は人材派遣だけでは対象会社の状況が不透明になりがちであるため、対象会社CEOをグローバルCOOとした上でA社執行役員に登用し、自ら事業状況をA社経営陣に報告させることで事業状況の透明性を担保した。
    経済合理性を追求し切れているか?
    製造業C社は米国企業を買収。統合時に両社の資産・ケイパビリティを比較。自社拠点の維持に固執することなく、合理的・客観的な判断に基づき、対象会社の工場を維持し、自社の工場を閉鎖した。
  2. 当たり前を続ける
    統合効果のモニタリングは継続できているか?

    D社は、10年で利益を倍にするという目標のもとで英国企業を買収。約3年は自分たちが企図していたシナジーが計画通り実現できているかをモニタリングした。その後は効果の由来が段々と見えづらくなってきたが、5年間継続してシナジー効果をモニタリング。結果として、5年後のシナジー目標に対し、コストシナジーは完全にクリア、売上シナジーについてもほぼ達成することができた。
    事業状況に応じた制度見直しは実施できているか?
    E社は、規程類は一度作るとその瞬間からビジネスと乖離していくので、定期的に対象会社との間で意見交換する機会を設け、規程を見直している。買収直後に作成した規程では、対象会社に権限をあまり与えなかったが、対象会社マネジメントとの信頼関係の構築とともに、より経営の自由度を与える形で責任権限規程を見直した。
  3. 初心に帰る
    買収目的とPMI活動は首尾一貫しているか?

    F社は、直近15年にて海外3社を買収し、事業強化を目論んだが、子会社間で戦略が異なりシナジーが創出されず(全体方針を軽視)、営業赤字や減損の発生などに陥っていた。打開策として、外部コンサルタントを招き入れた上で業界知見に基づき、
     • 当該市場概要分析
     • ターゲットポジショニングの把握
     • 製品及び製品ラインナップの競争力評価
     • シナジー創造機会の特定 等
    の事業性の客観的な再評価を実施、スタート地点とゴールの再設定にもとでP挽回策としてPMIの再設計・実践を行った

 

著者

富野 賢治/Tomino Kenji
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー

大手通信会社、外資系コンサルティングファームを経て現職。主に製薬、通信、電機メーカー、消費財において、M&A/PMI、事業化・シナジー創出支援、組織再編におけるプロジェクトマネジメントを実践。IEBE Business SchoolにてMBA取得

 

関連サービス

Merger for Growth

日本企業による海外企業の買収は年々増加する一方で、買収時に上乗せしたプレミアムを超えるシナジーの実現どころか、減損処理を強いられるなど、想定通り成果を上げるM&A案件は限定されているのが実態です。こうした状況を打破する為に、従来のSafe Day1マネジメントに留まらない、確実なシナジー創出や買収後の業績不振からのターンアラウンドの実現に向け、「PMI成熟度分析」を基にした成功確度と効果を最大化する全社改革のロードマップ策定を支援します。また、統合の前提となる、対象会社とのプラットフォーム統合・経営管理指標の可視化を、最短リードタイムで実現することを支援します。

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