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「外部の力」を活用した間接機能改革

間接機能のダウンサイジングと効率化は、日本企業にとって、今後も変わらず重要な経営課題の1つとなるだろう。しかし、間接機能の改革には、それを阻む「3つの壁」がある。全てを「自前主義」で考えていては、これらの壁を乗り越えることは難しい。そこで、「外部の力」を活用した間接機能改革のアプローチをご提案する。

経営課題としての間接機能効率化

近年、国内人口動態の変化や海外市場への更なるシフト、投資家からの資本効率向上への圧力の高まりを背景に、多くの日本企業において、間接機能の適正規模へのダウンサイジングと効率化が重要な経営課題の1つとなっている。

しかしながら、このような取り組みは必ずしも十分な成果をあげられていないのというのが実情である。また、改革が一部の機能に限られるケースも散見される。

これらの課題に対する処方箋として、本稿では「『外部の力』を活用した間接機能改革」についてご紹介したい。

なぜ間接機能改革は停滞するのか?

モニター デロイトは、過去の支援経験や、成功企業の事例研究、実際に改革を行った企業へのインタビュー等を通じ、間接機能改革が停滞する要因として、【図表1】に示す「3つの壁」が存在すると考える。

図表1:間接機能改革を停滞させる3つの壁
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換言すれば、間接機能改革の成功には、これらの「3つの壁」を打ち破ることが必要になる。しかしながら、スピード感のある改革の推進が求められる現在の経営環境下において、これらをすべて「自前」で実現するのは至難の業であるというのが、多くの日本企業における実情ではないだろうか。

 

「外部の力」を活用した間接機能改革のアプローチ

モニター デロイトは、上述の課題認識に対して、「外部の力」の活用が有効な解決アプローチになると考える。

この「外部の力」の活用とは、外部への業務委託による一般的なBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)に留まらないものである。すなわち、【図表2】に示すように、自社では「ノンコア」と位置付けられる間接機能を、それを生業とする外部パートナーと共に「事業化」することである。具体的には、①ノンコア機能を子会社として切り出し、②当該子会社に外部パートナーからのマジョリティ出資を仰ぐことで外部パートナー主導での強化・効率化を実現、③その効果を自社に取り込んでいくことである(以降、このスキームを「外部化」と呼ぶ)。

図表2:外部の力を活用した間接機能改革
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これにより、【図表3】に示すように、先述した「3つの壁」を乗り越え、「自前主義」による限界を打破することができる。

 

図表3:“自前主義による改革の限界”からの脱却
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外部化を成功させるポイント

コスト削減から機能強化まで、広く効果が期待できる「外部化」だが、改革の効果を最大化するには、【図表4】に示す3つのポイントに留意する必要がある。

図表4:外部化成功のポイント
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自社にとっての「外部化」の取り組みは「間接機能の効率化」であっても、外部パートナーにとっては事業・顧客拡大を狙う「戦略的M&A」である。一部の機能をチェリーピックされたり、将来的に業務がブラックボックス化することを防ぐためには、自社も相応の準備と体制構築をした上で臨む必要がある。

 

 

モニター デロイトの経験と実績

モニター デロイトは、「外部化」プロジェクトの豊富な支援実績、コンサルティング・税務・会計・FA等の幅広い専門性に基づき、貴社の「外部化」を構想策定から実行まで一貫してご支援することが可能である。

また、「コンサルタント」という立ち位置ゆえに、客観的な立場から、貴社にとってベストな助言を提供することができる。具体的には、外部化の「成立」のみを目指すのではなく、状況によっては「外部化」を実施しないほうが望ましいという提言も行うこともある。
 

 

「外部化」とは間接機能の「選択と集中」である

本稿で紹介した「外部化」とは、間接機能における「選択と集中」であり、自社の強みとして維持・強化していく機能と、自社リソースを投下せず他社の強みを生かして価値提供を続けていく機能を選別することである。換言すれば、これは事業部門において常に検討・実行されている「エコシステムの構築」であるとも言える。

これらの改革を通じ、効率的で付加価値の高い間接機能を実現することで、貴社がグローバル競争に勝ち抜くための競争力強化の一助になれば幸いである。

著者

伊藤 爵宏/Takahiro Ito
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー

製造業を中心に、バイサイドディールにおけるビジネスアドバイザリー、セルサイドディールの構想・実行、PMIにおける統合事務局、グループ子会社の再編構想等、M&A・組織再編全般にアドバイザリー経験を有す。
近年では、日本企業のグローバル経営力強化に向け、グローバル本社・地域統括組織におけるミッション・機能の再定義から組織再編の構想・実行に至る機能・組織変革案件に多数従事している。
 

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増田 祐介/Yusuke Masuda
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー

M&A/組織再編領域に従事。買収・統合・JV設立等におけるPMIや持株会社化・合併・分割等を伴うグループ組織再編、コーポレート組織再編・機能強化等のテーマについて、構想から実行までの幅広いアドバイザリー経験を有し、伴走型の支援を得意とする。
近年はエネルギー業界を中心に、成長領域へのシフトや多角化推進、グローバル展開等を目的としたグループ組織構造改革・コーポレート組織改革案件に多数従事している。

 

緑川 祐哉/Yuya Midorikawa
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー

製造業、サービス業、金融業の幅広い業界において、バイサイド/セルサイドの両面のM&Aの構想策定からディール実行、PMIを一貫したアドバイザリー経験を有す。
近年においては、M&Aを活用したグループ組織再編やIT機能を中心とした間接機能改革の案件に多数従事しており、構想から実行までの伴走型のサポートに強みを持つ。

 

淺井 創太/Sota Asai
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー

資産運用・企業再生を中心とするコンサルティング会社の経営者を経て現職。
製造業を中心に様々な業界のクライアントに対して、事業戦略策定や組織設計、機能改革、子会社再編、業務プロセス改革、新規事業立上げ、セルサイドM&Aアドバイザリー等、の幅広いプロジェクトの経験を有する。
近年では、収益性向上や資産効率の改善等を目的とした戦略策定を起点とする組織構造改革や全社改革、機能改革案件に多数従事している。
 

(2020.9.07)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。

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