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BPOベンダーの活用効果を「最大化」する契約交渉マネジメント

BPO巧者であるグローバルベンダーを使いこなすための契約交渉マネジメント

グローバルで契約実績をもつBPOベンダーと、日本企業がフェアなパートナーシップを構築し、アウトソーシングの本来目的を達成するためのマネジメントが求められている。

現在、多くの日本企業で間接業務を中心に業務のBPO(Business Process Outsourcing)が活用されており、グローバルで事業展開する大手BPOベンダーが業容を拡大している。大手BPOベンダーの多くは、アジア圏に有する業務拠点を活用して、低コストで高品質なサービスを提供できる体制を有している。

しかしながら、大手BPOベンダーへの業務知見の蓄積が加速化していく中で、BPOベンダーを適切にマネジメントすることは難しくなっている。各業務領域の専門人材を有しており受託元企業よりも高いケイパビリティをもつBPOベンダーも少なくなく、悪意はなくとも自社の利益の最大化に向けた行動に出ることを前提として考えるべきである。最も留意が必要なのがBPOベンダーと締結する業務委託契約であり、多くの条件交渉を経験してきた大手BPOベンダーは、自社にとって有利に進めてくる例は枚挙にいとまがない。大手BPOベンダーとの契約はグローバル契約となるケースが大半であり、国内取引のいわゆる「契約に記載のない事項は都度話し合う」という思考から脱却し、国際契約における「あらゆるケースを想定し、詳細まで契約条項に落とし込む」という姿勢で臨む必要がある。

BPOベンダーの目論見として以下の点を想定しておかないといけない。

  • BPOベンダーの業務負担の軽減を狙い、サービスレベルを低く設定する
  • 業務をブラックボックス化し、コスト構造を見えにくくし、委託費を高く設定する
  • 契約条件を満たせなかった場合の賠償額軽減を狙い、賠償上限額を低く設定する
  • ベンダーの売上確保のため、業務量保障を要求してくる
  • 業務遂行の中で新たに得られたノウハウや成果物の権利を渡さないことで契約終了を阻止する

特にグローバルの大手BPOベンダーであれば、上記のような条件を「当然のこと」として要求してくることになる。

そこで受託元企業としても、サービス品質や委託単価にかかる標準的な水準を把握し、譲れない条件を明確にした上で、幅広い候補から複数のBPOベンダーを抽出し、互いを競わせることで有利な条件を提示させることが重要になってくる。そして選定したBPOベンダーとWIN-WINな条件で契約するため、交渉体制を構築し、先読みした準備、緻密な管理を行うことで交渉のイニシアチブを握ることが肝要になる。

また、BPOの活用は、単なるコスト削減に留まらず、以下のような幅広い効果獲得が想定されるため、BPOの活用により自社が達成したいポイントを抑えた契約交渉を進めることが重要である。

  • コスト構造の変更(固定費の変動費化)
  • 継続的な業務改善・品質向上によるオペレーショナルエクセレンスの実現
  • 不正防止(特に海外子会社へのガバナンスの観点)
  • M&Aなどによる業務増減への柔軟な対応
  • コア業務(委託元企業にしかできない業務)

そして、サービス開始以降も適切なベンダーマネジメントができるように、自社内にVMO(Vendor Management Office)機能を設置しBPOベンダーを管理・監督していく必要があり、業務委託契約時点においてもVMO機能を有効化するための仕掛けを組み込むことが重要になる。契約期間内におけるBPO活用効果を最大化するためにも、BPOベンダーを戦略的に活用するための契約という仕掛けを適切に構築しておくことに留意が必要になる。

VMO機能のあるべき姿
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著者

金田 あづき / Azuki Kaneta
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネジャー

新卒でデロイトトーマツコンサルティングに入社、一貫してM&A・組織再編に関連するプロジェクトに従事。
製造業を中心に様々な業界に対し、M&A・アライアンス/組織再編/全社コスト構造改革/BPO活用アドバイザリー等の幅広い経験を持つ。
 

(2020.10.6)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。

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