企業がクラウドを取り入れる理由は何か

今やクラウドは企業において、データの主な保管場所として活用されています。ほとんどの企業がアプリケーションさえクラウドプラットフォームに移行しており、現在データをオンプレミス上で運用している企業の多くが、近い将来のクラウド化を計画しています。あらゆる業界の企業が最新のアプリケーションおよび高度なアナリティクスを活用するため、データのクラウド移行と同じタイミングでデータプラットフォームのモダナイゼーションを行っています。実際、デロイトの調査では、クラウドとデータモダナイゼーションは密接に関係しており、相互補完し合うことが示唆されています¹ 。

企業のITエグゼクティブがクラウドマイグレーションに取り掛かるように促しているドライバーは何でしょうか。デロイトがITリーダーおよび経営陣500名以上を対象に実施した調査より、「セキュリティとデータ保護」が最大のドライバーということが明らかになっています。回答者の58%がセキュリティを第1位または第2位のドライバーとして挙げており、C-suiteのITエグゼクティブやシニアリーダーからITマネジャーおよびデベロッパーまで、あらゆるレベルのIT担当者がセキュリティを最重視しています。

サイバーセキュリティに係る攻撃はますます高度化しており² 、関連スキルが不足しているということは、多数の企業が自社独力でのセキュリティ管理に苦戦していることを意味します。そこで一部のITエグゼクティブはサードパーティークラウドサービスやマネージドセキュリティサービス（MSS）に目を向けています。それらのクラウドプロバイダーは高度化されたサイバーケイパビリティとソリューション³ 、およびセキュリティ関連インシデントを軽減させる可能性のあるクラウドオファリング⁴ を提供します。上記状況を考慮すると、ITエグゼクティブがデータの保護において、サードパーティーのクラウドセキュリティプロバイダーやインフラストラクチャプロバイダーの専門知識・ノウハウへ依存する傾向が強まる可能性があると思料されます。

クラウドマイグレーションの第2位のドライバーである「データモダナイゼーション」では、主としてレガシーデータベースからモダンなデータベースへのデータ移行を伴います。調査対象のITリーダーおよび経営陣の55%で、データモダナイゼーションは自社でのクラウド化の重要な要素あるいはその理由であることに強く同意しています⁵ 。今日の企業経営では、既存のデータを活用しタイムリーでターゲットを絞ったアナリティクスを実施することが求められており、多くの経営陣がデータマイニング・探索・予測から得られる一連のインサイトを活用しています⁶ 。それらのデータの大半がクラウド上にあることを考慮すれば（実際に回答者の91%で、自社では主にクラウド上でデータを保管しているとのことです）、企業のデータプラットフォームを効果的にモダナイゼーションするためにはクラウドの活用が必須とビジネスリーダーたちが考えることは当然のことです。

「IT運用のコストおよびパフォーマンス」の優位性は、長きにわたってクラウド導入の重要なドライバーでした。しかしながら、クラウドがもたらすそれ以外のビジネス上の恩恵が明らかになり、コスト面のメリットはそれほど重要ではなくなってきました。
例えば、クラウドはオペレーションのアジリティや効率を向上できる他⁷ 、既存のクラウドベンダーが提供する幅広いソリューションや選択肢を活用しやすくし、企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みをサポートします⁸ 。

クラウド化の推進に当たって、ITエグゼクティブはさまざまな課題に直面してきました。回答者の47%は、「クラウドは予想以上に複雑である」と回答しています。こうした懸念に対処するため、クラウドサービスやマネージドサービスを提供するテクノロジー企業は、クライアント企業と緊密に連携し、そのクラウドマイグレーションジャーニーの一環として以下の主要側面から各社をサポートする必要があります。

• ビジネス上の成果あるいは最終結果を明確化し、適切なアプローチを策定する
• 関連人材と専門知識を有効活用し、企業の中核的なビジネス課題に対処する
• 使いやすく、安全で、長期的に活用できる適切なツールセットを使用する