Posted: 23 Mar. 2020 3 min. read

ブロックチェーン×SDGsで切り開く未来

サプライチェーン改革

ブロックチェーン技術の利活用は仮想通貨(暗号資産)に留まらず、先にブログで取り上げられたSTO(デジタル証券)のほか金融・非金融の様々な領域で広がりを見せている。中でも、サプライチェーン改革の一環、“かつ”、持続可能な社会の実現に向けた利活用が昨今のトレンドとなりつつある。

 

デロイトでは気候変動の環境価値(削減したCO2をトレーサビリティして、何らか金銭価値をつける)や、資源のトレーサビリティに関するブロックチェーンの利活用を様々な企業と推進している。その経験も含めて、昨今の、ブロックチェーンの利活用の展開について紹介したい。

 

そもそもブロックチェーンとは、分散型台帳技術の一つであり、その仕組みから一般的には、“トレーサビリティ(透明性が高い)”“信頼性が高い”“(将来的に取引量が多くなる見込みがある場合)システムコストが安価”といったメリットがある。そのためデータの改ざん時の損害が大きく、データの信頼性が重要な取引やサービス等に有用だ。仮想通貨(暗号資産)として利用が広がったのはこの特性によるところである。

 

その中で、昨今大きな取り組みとして、ブロックチェーンにSDGs(持続可能な開発目標)の概念を加えた取り組みが出てきた。SDGsとは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、環境や人権などの観点で幅広く17の目標が設定されている。

 

その目標の一つとして、「目標12:つくる責任、つかう責任」がある。いわゆるサーキュラーエコノミー(循環経済)がテーマであり、例えばコバルトなどの希少金属の枯渇や、プラスチックのリサイクルの問題など企業活動にも多大な影響を及ぼしている社会課題の解決を目指す。

 

この目標に対して、ブロックチェーンを活用して、希少金属やプラスチックのトレーサビリティを製造から廃棄まで追い、サーキュラーエコノミーを後押しする取り組みがグローバル企業やスタートアップによって推進されている。

 

また、近年の取り組みでは、スタートアップ企業のRe-companyが開発したセンサーと通信機能付きの水筒“REBO Smart Bottle” でのブロックチェーン活用が面白い。SDGsの「目標14:海の豊かさを守ろう」にも関連し、脱ペットボトルの観点で作られた高機能水筒だが、その水筒で給水した量はモニタリングされる仕組みになっている。その量が“水筒を使わなければ廃棄されたであろうペットボトルの量”に換算され、新興国(ハイチ、ブラジル、フィリピン、インドネシア)の現地の人々がプラスチック廃棄物を収集する際の報酬として、スポンサーを通じて支払われるビジネスモデルが展開される予定だ。この際の給水量の管理や廃棄物の収集量の管理にブロックチェーンが活用されている。

 

また、ブロックチェーンを通じた仮想通貨(暗号資産)による即時換金により、金融へのアクセシビリティを高める動きも出てきており、貧困やジェンダー等の社会課題に対しての解決策の一つとしても期待されている。

 

このように、ブロックチェーンを利活用することで、“(モノ流れに対して)透明性・信頼性が高い”“(お金の流れとして)開かれた”社会を実現するための挑戦が行われている。

 

今、異常気象や各種のハザードに対して、企業として持続可能性が強く求められる中、このように、企業の活動のサプライチェーンの透明性・信頼性の強化と、持続可能な社会の同時実現を目指すことは、既存のSDGsの取り組み、企業経営の取り組みから更に1歩進んだ企業の在り方であると考える。

 

※なお、日本でのブロックチェーンの活用においては、電子記録債権法や社債、株式等の振替に関する法律、資金決済法などに留意する必要がある。

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プロフェッショナル

丹羽 弘善/Hiroyoshi Niwa

丹羽 弘善/Hiroyoshi Niwa

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

気候変動、及び中央官庁業務に従事。製造業向けコンサルティング、環境ベンチャー、商社との排出権取引に関するジョイントベンチャーの立ち上げ、取締役を経て現職。 システム工学・金融工学を専門とし、政策提言、排出量取引スキームの構築、気候変動経営戦略業務に高度な専門性を有す。気候変動及び社会アジェンダの政策と経営戦略を基軸とした解決を目指し官民双方へのソリューションを提示している。   関連するサービス: ・ 政府・公共サービス ・ クライメート(気候変動)&サステナビリティ 関連記事: ・ 地球はこのままでは守れない──デロイト トーマツが考える「環境と経済の好循環」とは >> オンラインフォームよりお問い合わせ