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第3回 解決策(2):データ分析の態勢整備

データを加工・集計し、適切に現状を把握し、将来を予測するための態勢構築

データ分析とは、事実に基づいた意思決定を支援する観点から、ビジネス活動で生じる様々なデータを加工・集計し、現状把握や将来予想を行うことである。データ分析を高度化するためには、データ分析の戦略、体制、プロセスの整備が重要である。

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データ分析に求められること

データ分析とは、事実に基づいた意思決定を支援する観点から、ビジネス活動で生じる様々なデータを加工・集計し、現状把握や将来予想を行うことである。意思決定者は、データ分析から得られる示唆を基に収益の拡大や財務状況の改善に向け意思決定を行い、企業競争力の源泉を高めることを目指す。

データ分析態勢の全体像

データ分析の態勢整備では、戦略、体制、プロセスの3領域から成る。

  • 戦略: ビジネス上の課題を特定し、データ分析の方針や優先順位を定義・推進
  • 体制: データ分析に係る人材の配置や、必要なスキルセットの定義と育成
  • プロセス: 意思決定者に有益な示唆を出すためのデータ加工・集計プロセスの整備
意思決定の高度化に向け、現状評価と必要な対策を特定します

新たなデータの取り込み

データ分析において、ビジネス上の課題を特定し、どの課題に対しデータ分析を行うか戦略を明確にすることが重要である。データ分析の戦略を定義にすることで、解決すべき事象が明確になり、問題解決に必要なデータの特定や適切な活用が可能となる。

たとえば、G-SIBsなどの海外主要金融機関や異業種産業では、従来のビジネスモデルからの脱却を戦略とし、今まで取り扱わなかったSNSなど非構造化データ*1やIoT *2などの新たなデータの取り込みが増加している。小口融資ではSNSなどの社会的ネットワーク情報を積極的に活用し、新たな信用リスクの査定モデルを構築する動きがある。また、資産運用でも同様にニュースサイトやSNSなど速報性のあるテキストデータを活用し、運用資産の売買やポートフォリオ管理を行い、新たなビジネスモデルを構築する動きがある。

データ分析の専門部署設置

自行・自社におけるデータ分析能力を高めるため、データ分析に係る人材の配置や、必要なスキルセットの定義と育成計画を整備することが重要である。

G-SIBsなどの海外主要金融機関では、データ分析人材を希少な資源と捉え、部門ごとに人材を分散配置するのではなく、組織横断的な専門部署に集約し、サービスとして各部にデータ分析機能を提供するケースが多い。専門部署への集約を通して、全社におけるデータ分析のノウハウを蓄積し、高度分析人材の育成に必要な研修機会やキャリアプランを提供。また、各部門にデータ分析人材を派遣することで高度なデータ分析を実現。加えて、経営戦略に沿ったデータ分析人材の配置を行うことで、全社的な枠組みで新たな収益機会の特定や業務改善を推進している。

図表:データ分析の組織形態

経営・業務プロセスへの組み入れ

意思決定者に有益な示唆を提供し続けるには、経営・業務のプロセスにデータ分析を組み入れ、プロセスを標準化することが重要である。

たとえば、ある海外金融機関の予算策定では、過去の実績データを基にデータ分析を行い、収益に関する内部要因と外部要因を整理した。外部要因に対して統計情報など外部データを活用することで恣意性を減らし、より客観的な予算策定を実現。また、業績評価においても内部・外部の要因を区別することで過去の施策を適切に判断することが可能となり、精度の高いPDCAプロセスを実現した。

データ分析の高度化に向けた実施事項

データ分析の高度化に向け、まずは自行・自社における方針(グランドデザイン)を整備し、必要な体制、ルール、プロセス、インフラにおける態勢を整備することが重要である。

図表:データ分析の高度化に向けた実施事項

*1 非構造化データ:データベースに格納されるデータとは異なり、データの構造を持たないデータ。たとえば、テキストのような文書から、画像、音声、動画などが該当
*2 IoT:モノのインターネット(Internet of Things)の略称。ATMやカメラなど様々な機器をネットワークにつなげ、顧客や従業員の動きやモノの運用状況を把握し、マーケティングや業務管理などに活用

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デロイト トーマツコンサルティング合同会社
前田 清裕 

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