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第4回 解決策(3):データマネジメントの態勢整備

データを常時利用可能な状態に維持・改善するための態勢の構築

データマネジメントとは、データを「経営戦略を決定する上での重要な資産」と捉え、意思決定のために常時利用可能な状態に改善・維持することである。そこでは、システムのインフラ整備だけではなく、データに関する役割・責任の明確化をするとともに、データを維持・管理するためのルール、プロセスの整備も重要である。

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データマネジメントに求められること

データマネジメントとは、データを「経営戦略を決定する上での重要な資産」と捉え、意思決定のために常時利用可能な状態に維持・改善することである。

適時・適切な意思決定を行うためには、データの正確性や鮮度を確保し、拠点や業務を横断してデータの定義や粒度が標準化されていることが求められる。このため、経営層および本社各部の企画担当に適時・適切なデータを提供するデータマネジメントの整備が必須となる。

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データマネジメント

データマネジメントは、全体の管理・統制に係るデータガバナンス、最適なデータ配置・フローを実現する包括的な設計指針であるデータアーキテクチャ、および、データアーキテクチャの各機能を詳細化した5コンポーネントの計7つから構築される。

  • データガバナンス
    データを常時利用可能な状態に維持管理するため、全社におけるデータマネジメントの方針やルール、CDOやDMOなど役割・責任を定義し、実行に向けた計画策定や指揮運営を行う
  • データアーキテクチャ
    システム全体を俯瞰したあるべきデータの配置やフローを定義し、システム設計指針を整備する
  • メタデータ*1管理
    データの意味定義や属性情報を可視化し、関係者間で認識共有を促す
  • マスターデータ管理
    業務やシステムを横断して使用するマスターデータを統合管理し、システム間のデータ連携や業務・拠点を横断したデータ分析を容易にする
  • データ品質管理
    データ品質係る課題(欠損値、不整合など)を解消し、データの正確性や網羅性を担保する
  • リテンション・アーカイブ
    必要なデータを随時利活用できるため、データの保有期間、保有方法を適切に定義する
  • プライバシー・セキュリティ管理
    システムとデータの安全性確保のために、データの不正アクセス、漏洩、改ざんなどの脅威から守る

 

意思決定の高度化に向け、現状評価と必要な対策を特定します(PDF,294KB)

図表 データマネジメントとデータ利活用との関係性

CDO・DMOの役割・責任の明確化

全社におけるデータマネジメント態勢整備には、全社をリードするCDOおよび、調整役のDMOの設置が重要である。CDOはデータガバナンスやデータ管理について最終的な責任を持つ経営幹部であり、DMOはCDOを補佐し、データ整備に関するルール策定や関係部署との調整を行う。

CDOおよびDMOの位置づけは、経営戦略や整備状況により異なる。たとえば、事業戦略としてデータ利活用に主眼を置く場合はCOOの傘下に、規制や当局対応に主眼を置く場合はCROもしくはCFOの傘下に、データ維持・管理などシステム整備に主眼を置く場合はCIOの傘下に位置づけられることが多い。

データアーキテクチャの最適化

全社におけるデータの品質や利便性を向上するため、システム全体のデータ配置やフローの可視化を行い、データの観点からシステム全体の機能配置を定義・改善することが重要である。

たとえば、G-SIBsなどの海外主要金融機関では、現状を踏まえたシステム全体のデータ配置やフローを可視化し、データ重複や迂回ルートなどシステム上の課題を特定。また、データ利活用の観点からMDM*2やDQ*3など必要なデータマネジメント機能を定義し、システム構築を実施。これにより、意思決定やデータ分析に必要なタイミングや品質でデータ提供を実現するとともに、データの冗長性や複雑なインターフェースを解消し、システム全体の開発・運用コスト削減にも貢献した。
 

システム開発における指針・ルールの策定

データを適切に維持・管理するには、データの観点を踏まえたシステム設計・開発ルールが必要である。

たとえば、 海外主要金融機関の事例では、データのインターフェースを管理・統制するためにデータ利活用におけるデータソース選定基準を整備し、シングルデータソース化を実現。また、メタデータ管理では、グローバルデータ辞書を整備し、拠点や業務を横断して使用する主要データの意味定義や型・桁の共通化を行った。

データマネジメントに向けた実施事項

データマネジメントの高度化は、まずは自行・自社における方針(グランドデザイン)を整備し、必要な体制、ルール、プロセス、インフラにおける態勢を整備することが重要である。

図表 データマネジメントに向けた実施事項

*1 メタデータ:データの属性情報。たとえば、意味定義、型、桁、コード体系などがメタデータに該当
*2 MDM:マスターデータ管理システム(Master Data Management)の略称。システム横断的に使用するマスターデータについてシステム間で同一となるよう名寄せや一元管理を実施・支援
*3 DQ:データ品質管理システム(Data Quality)の略称。 データの品質を維持管理するために、データのクレンジング処理やリコンサイル処理を実施・支援

この内容に関するお問合せ

デロイト トーマツコンサルティング合同会社
前田 清裕 

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