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調査レポート
新型コロナウイルスに対するワークスタイル及び課題対応調査
デロイト トーマツ グループは2020年4月より、COVID-19対応におけるワークスタイル変革に関する各企業の取り組みや課題対応、今後の見通しを明らかにする「新型コロナウイルスに対するワークスタイル及び課題対応調査」を実施しています。第4回までの結果を抜粋して公表します。
新型コロナウイルスによる影響は社会規範やルールを大きく変えるインパクトを持っており、日本企業はこれまで停滞していた変革を今後一気に加速させることを迫られています。調査からみえる、各企業における取り組みや課題への対応状況、今後の見通しをどのように考えているのか等を抜粋して示します。
第1回~第4回 調査結果
各帯をクリックまたはタップすると、内容をご覧になれます。
第4回調査結果(抜粋)
第4回調査は、全国で2度目となる緊急事態宣言が解除され、各社が経済活動に向けて取り組みはじめる2021年3月に実施しました。ウィズコロナ・アフターコロナにおける働き方の変化や、それを実現するための取り組みに関する示唆が表れています。
働く場所のあり方
- 在宅・出社頻度については、40%程度の企業が週2以上の在宅と出社を併用することを志向している一方、前回と比べて週4~5在宅・週4~5出社も40%に増加している。
グラフ(1):在宅・出社頻度(全職種)
- 個人としても、回答者の70%が週2以上の在宅と出社を併用することを希望している。
また、原則在宅勤務を希望する人も11%いる。
グラフ(2):個人として希望するワークスタイル
- このような出社・在宅頻度の変化を受け、60%以上の企業がオフィスレイアウトへの見直しを検討している他、30%以上の企業が、オフィススペース縮小・移転や自社サテライトオフィスの活用を検討している。
リモートワークによる生産性・時間の使い方の変化
- 出社時と比べ、リモートワークにおいて生産性が上がった又は変わらないとする回答割合は44%に上り、生産性が下がったという割合よりも大きい。
グラフ(3):リモートワークによる従業員の生産性の変化(全職種)
- リモートワークを実施したことで、趣味・家族との時間、自己啓発の時間に加え、企画・提案や成果物・付加価値創造といった、新たなアウトプットを生み出す時間を増やしている。また、50%以上の回答者が、企画・提案等を考察する時間や自己啓発の時間をさらに増やしたいと回答している。
今後の課題・取り組み
- リモートワークのインフラとして、Web会議システムについては、92%の企業が既に導入している。一方、今後導入予定の項目として、 40%の企業が電子署名等のペーパーレス関連施策を挙げている。
グラフ(4):リモートワーク実現のためのインフラ整備状況
- 文書管理ツールやRPA等の導入、業務プロセス・内部統制の見直しや紙資料の削減、 社内規程等の見直しについては、40%以上の企業が既に着手している。
グラフ(5):業務に関する具体的な施策
- 40%以上の企業が、セキュリティ組織や業務プロセスの見直し、及びセキュリティ監視の強化を既に実施している。
グラフ(6):リモートワークの実施・拡大に伴うセキュリティ面の取り組み
- 出社が必要な業務に従事する人への対応策として、約50%以上の企業が感染予防策の強化や勤務体制・労働条件の見直しを検討している。
グラフ(7):出社が必要な業務に従事する人への対応策(複数回答)
- 柔軟な勤務体系の整備が40%程度の企業の関心を集め、人事評価の見直しや、ジョブ型人事制度・人材育成におけるリモートの有効活用などの中期的な施策が続いている。
グラフ(8):検討・実施したい人事施
- 国をまたいだリモートワークの障壁として、50%超の企業が法規制及び税制を挙げている。次いで49%の企業が管理監督の難しさを感じている。
グラフ(9):国をまたいだリモートワークの障壁
新型コロナウイルスによるビジネスへの影響・業績見通
- 業績見通しに影響がないと回答した企業が43%と前回から大幅に増えた一方、合計46%の企業が下方修正見込みと回答している。
グラフ(10):新型コロナウイルスによるビジネスへの影響・業績見通し
第4回調査概要
- 調査期間:2021年3月10日~3月23日
- 回答者数:130名
第3回調査結果(抜粋)
第3回調査は、全国で緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動が再開されるようになった6月末から7月上旬にかけて実施しました。ウィズコロナ・アフターコロナにおける働き方の変化や、それを実現するための取り組みに関する示唆が表れています。
働く場所のあり方
- 在宅・出社頻度については、週2以上の在宅と出社を併用することを志向する企業が、「該当なし/わからない」を除くと半数以上となっている。
グラフ(1)-1:在宅・出社頻度(全職種)
- 一方で、専門・技術職については、35%程度の企業が週5出社を想定している。
グラフ(1)-2:在宅・出社頻度(専門職)
- 個人としても、回答者の70%が週2以上の在宅と出社を併用することを希望している。 また、原則在宅勤務を希望する人も10%いる。
グラフ(2):個人が希望するワークスタイル
- このような出社・在宅頻度の変化を受け、働く場所のあり方としては、ソーシャルディスタンスを考慮したオフィスレイアウトへの見直しに加え、40~50%程度の企業が、サテライトオフィス活用やオフィススペース縮小・移転を検討している。
リモートワークによる生産性・時間の使い方の変化
- いずれの職種においても、リモートワーク実施時とコロナウイルス感染拡大前の出社時では「生産性は変わらない」という回答が多い。
グラフ(3)-1:リモートワークによる生産性の変化(全職種)
- 加えて、企画・事務職は「生産性が上がった」という回答が19%であり、他職種と比べて多い。
グラフ(3)-2:リモートワークによる生産性の変化(企画・事務職)
- 一方で、販売・サービス職は、「下がった」と回答している企業が27%いる。
グラフ(3)-3:リモートワークによる生産性の変化(販売・サービス職)
- リモートワークを実施したことで、趣味・家族との時間、自己啓発の時間に加え、企画・提案や成果物・付加価値創造といった、新たなアウトプットを生み出す時間を増やしている。また、50%以上の回答者が、企画・提案や成果物・付加価値創造といった、新たなアウトプットを生み出す時間を今後さらに増やしたいと回答している。
グラフ(4):今後増やしたい時間
機能・事業面の課題
- 今後の機能・事業面の課題としては、56%の企業が顧客接点のデジタル化を強化したいと回答している。次いで、顧客セグメントの見直しや製造関連の無人化、集約業務の機械化への関心が高まっている。
グラフ(5):機能・事業面の課題
従業員に関する今後の課題・取り組み
- リモートワークを前提とした働き方を実現する上での従業員に関する課題としては、81%の企業がリモートワークにおける新しいマネジメントスタイルの確立を課題として挙げている。 その他、自律的組織・働き方への移行、新しいコミュニケーションスタイルの確立といった、リモートを前提とした従業員の働き方の確立に対して過半数の企業が課題認識を持っている。
- 今後従業員に対して取り組もうとしていることとして、50%程度の企業が、アウトプットや従業員状況などの可視化を挙げている。
グラフ(6):従業員に関する今後の課題
- 今後特に検討・実施したい人事施策としては、柔軟な勤務体系や人事評価方法等の短期的な施策が56%の企業の関心を集め、ジョブ型人事制度・人材育成のリモート化などの中期的な施策が上記に続いている。
- リモートワークを前提とした働き方を実現するための労働条件としては、25%以上の企業が柔軟な勤務時間の設定を既に実施している。手当の見直しや規程の制定については、既に実施している企業は10%程度にとどまるが、30%以上の企業が今後実施予定となっている。
グラフ(7):今後検討・実施したい人事施策(上位5項目)
第3回調査概要
- 調査期間:2020年6月29日~7月9日
- 回答者数:128名
第2回調査結果(抜粋)
第2回の調査は、一部地域で緊急事態宣言の解除が始まった5月半ばに行っています。解除後に予想される働き方の変化や今後の見通しについても示唆となる結果が表れています。
在宅勤務の実施状況
- 68%の企業が全社で在宅勤務を実施・推奨しているものの、実態として在宅勤務をほぼ実施できていると回答した企業は40%と乖離があり、制度の浸透にはまだ対策・工夫の余地がある。
- 一方、引き続き出社対応をしている企業も10%あり、スプリット(オフィスの中で勤務場所を分ける)対応などを行っている。
図:在宅勤務の実施状況
在宅勤務による生産性・意識の変化
- 「分からない」を除くと、「生産性が上がった」・「変わらない」という肯定的な回答が多数派となっている。
- 企画・事務職は管理職・一般職ともに20%以上が「生産性が上がった」と回答している一方、販売・サービス職の一般社員は50%以上が「生産性が下がった」と回答している。
- 意識面では、通勤時間のストレス軽減に加えて、コミュニケーションが必要の高いものに絞られたという回答が増えたなど、ポジティブな変化が生じている。
- ただし、業務の進め方へのストレス・コミュニケーションの難しさといったネガティブな変化も生じている。
図:在宅勤務による生産性の変化
在宅勤務に対する実感と今後の運用見通し
- 71%の企業が在宅勤務をある程度運用できており、今後も運用を継続したいと回答している。
- ウイルスによる影響が落ち着いた後、44%の企業が週2~3日の出社を想定していることからも、今後は在宅をベースとしつつ、対面・物理的な業務を併用した働き方へシフトしていくものと思料される。
- 一方、17%の企業は出社をベースとした運用に戻したい意向がある。
図:在宅勤務の今後の運用見通し
在宅勤務を今後も継続するための取り組みと課題
- 48%の企業が業務プロセス・仕事の仕方を見直すことが社内の取り組みとして重要だと考えている。
- 今後の課題として、短期的には、52%の企業が制度・規則の見直しが課題と回答している。中期的には、組織風土や事業構造の改革が順位を上げ、それぞれ40%前後の企業が課題と回答している。
図:在宅勤務を今後も継続するために最も重要な取り組み
新型コロナウイルスによるビジネスへの影響・業績見通し
- 53%の企業が1年以上は収束・回復の目途が立たないと回答しており、新型コロナウイルスのビジネスへの影響が長期化することが予想される。
- 業績見通しについて、20~30%の下方修正を見込む企業が32%存在する。また、いまだ業績が見通せない企業も30%存在する。
図:新型コロナウイルスによるビジネスへの影響(期間)
図:新型コロナウイルスによるビジネスへの影響(業績へのインパクト)
今後取り組みたい施策
- 直近は、46%の企業がペーパーレス化の推進と回答している。システム・デジタルツール等の導入、出退勤・労働時間の柔軟な設定を検討する声も多い。
- 中長期的には、組織風土改革や事業構造の転換に対する回答が多い。評価制度の見直し、顧客接点のデジタル化、ペーパーレス化の意向も強い。
第2回調査概要
- 調査期間:2020年5月13日~19日
- 回答者数:145名
第1回調査結果(抜粋)
在宅勤務の実施・整備状況
- 在宅勤務の実施割合は、政府の要請等を受け、2月末時点には2割弱だったが、4月中旬時点では9割弱まで拡大。
- 8割以上の企業で在宅勤務にむけたインフラは整備されたが、業務プロセスやコミュニケーション等の課題により、完全に実施しきれている企業はごく少数にとどまる。
ワークスタイル変化の見通し・課題
- 3か月・半年といった早期にワークスタイル変革の基盤を作ろうとしている会社が多く、新型コロナウイルスによる影響を契機として働き方改革を急進しようとする企業が多く見られる。
- 短期的には従業員の意識改革や投資コストに課題を持っている企業が多い一方、長期的には組織風土や事業構造等の根本的な改革が必要との声が4割近く見られる。
新型コロナウイルスによるビジネスへの影響・業績見通し
- 3割以上の企業において、新型コロナウイルスの影響による先行きの見通しが難しい、業績見込みもわからないという認識を持っている。
- 新型コロナウイルスの影響による業績を見通している企業のうち、3割の企業は20~30%と大きな下方修正を見込んでおり、かつてないほどの経済への影響が想定される。
今後取り組みたい施策
- 今後取り組みたい施策として、直近ではシステム・デジタルツールの導入や組織風土改革への意識が4割以上と高い。中長期的には、事業構造や組織設計、拡張労働力の活用等の大規模な改革に意欲を示している。
第1回調査概要
- 調査期間:2020年4月9日~15日
- 回答者数:160名
本調査について
新型コロナウイルスに対応するワークスタイル変革や各種課題への対応状況、今後の見通しに関するアンケート調査を2020年4月から継続して実施しています。