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Crunch time XXI -決断の時21

データと真剣に向き合う時です

データが極めて重要であることについて、異論を唱える経理財務責任者はいないでしょう。しかし、経理財務組織が重要視する、業績・コスト管理はもちろん、人材管理・コンプライアンスの達成には、データが十分に統制されている必要があることがどこまで理解されているでしょうか。データと真剣に向き合う時が来ました。本レポートではCFOがデータと真剣に向き合う方法と、それにより期待できる成果について詳しく解説しています。

すべての指針となるデータと分析

CFOは急速な変化の中で俊敏かつ効果的な意思決定が求められます。そして、どの意思決定においても、データが非常に重要な役割を持ちます。業績管理だけでなく、新しい規制への準拠や透明性の要求への対応のほか、ビジネスサイクルが短縮し続ける中での対外的な市場とステークホルダーの要求への対応も求められます。

また、経理財務組織を常に活発に保つためにはデータを活用することは不可欠であり、使いこなせる人材の採用と育成が非常に重要となっています。このようなデータ活用スキルを持つ人材の採用と維持は、経理財務だけに閉じた世界の問題ではなく、ビジネスの世界全体で厳しい競争環境にあります。

このような状況下、データと真剣に向き合う時が来ました。
「データと真剣に向き合う」とは具体的にどのようなことでしょうか。

組織が①~⑥に該当していないか自問してみましょう。

① データすべてが重要であると考える
② 財務データのみに焦点を当てる
③ 財務データを管理する組織がない
④ 「データ人材」としての経理財務の役割やキャリアパスがない
⑤ 大半の時間をスプレッドシートでの作業に費やす
⑥ データ連携の自動化を検討していない

当社の「Crunch Time」レポートは、経理財務部門がより戦略的な役割を担うために、企業におけるデータの全体像を見極め、管理するためにリーダーシップのコミットメントを伴う集中的な取り組みについて詳しく調査したものです。

Crunch time XXI-決断の時21 データと真剣に向き合う時です〔PDF, 3.1MB〕

今こそ、データと真剣に向き合う時

すべてのデータを重要視してはいないでしょうか?

一貫性のない定義、製品、顧客、地理、チャネル、事業部門などの広範な管理次元の使用は、混乱を招く可能性があります。

いま必要とされる対応は、業界や業務に応じた特定のニーズ(財務、オペレーション、サステナビリティなど、あなたが価値を見出すもの)を満たすことです。 加えて、データ標準に対する先進的なアプローチは、既存システム、将来のシステム、および統合によって取得する可能性のあるシステムとの整合性を維持するのに役立ちます。

 

財務データのみに焦点を当てていませんか?

様々なデータの流れが連携していない場合、例えばサプライチェーンと経理財務部門のコスト管理単位定義や使用方法が異なる場合など、情報から洞察を得ることが難しくなる懸念があります。

広い視野を持つことは、予測機能の構築を促進し、経理財務業務の流れ作業を推進役に変えるのに寄与します。より包括的な範囲を対象とすることで、会計とパフォーマンス管理が定期的なものからリアルタイムへと移行する過程で、経理財務部門がより正確かつ効果的にパフォーマンスを発揮できるようになります。

 

財務データを管理する組織はありますか?

経理財務部門が使用するデータの構成要素によって要件も異なるため、時には変革が必要な場合もあります。

先進的な組織は、データ標準の定義と文書化、データプロセスの設計、実行を含む、明確に定義され、明確に割り当てられた責任を持つ経理財務データの管理機能が確立されています。財務に関する全データ管理部門は、明確な責任範囲と、あらかじめ定められた規模、スコープ、資金調達メカニズムを持つことが求められます。

 

「データ人材」としての経理財務の役割やキャリアパスはありますか?

既存の経理財務メンバーにデータ関連のスキルアップができるサポートをしていない場合、洞察を得られない懸念があります。

データが経理財務部門の成果の中心である場合、その遂行に関わる人材獲得は偶然に委ねるべきではありません。経理財務の人材獲得を目指す場合、他社の同じ財務経理部門としか競争していない可能性が高いですが、データ人材獲得を目指す場合は、あらゆる分野の雇用主と競争することになります。

 

大半の時間をスプレッドシートに費やしていませんか?

古い方法で仕事を行うスキルを向上させている場合、長期的には問題を解決しない懸念があります。

経理財務組織に求められることは、効率的な組織として、データを集約、標準化、検証し一元化することで、信頼できる情報源を作り出すことです。これを達成することで、単に効率的な組織と洞察に基づいた組織との違いを明確にすることができます。

 

データの自動化を検討していますか?

データの量とその使用方法は増え続けているため、自動化を検討していない場合、必要なデータの可用性を維持できない懸念があります。

データの自動化には、詳細データ、十分な標準化、ソースと品質の保証など、使用データに関する詳細な知識が必要です。組織の成長に伴い、データを誰が所有し、どのような意思決定に活用するかについての明確さを保つことが重要となります。

決断の時

データは資産です。データの取得と管理にはコストがかかります。その投資に対するリターンを期待するべきです。そして当然のことながら、投資があって初めてリターンが生まれます。データはソーシングからクレンジング、ガバナンスに至るまで、多くの場合複数のレガシーシステムを横断して統制し、活用する必要がある資産です。

経理財務部門は、トップダウンで北極星となるようなデータ戦略を持つべきです。どこに行きたいのか、どうやってそこに辿り着くのか、コスト削減だけでなく、ビジネスと戦略的に協力する新たな能力によってどのようなメリットを実現できるか、を指し示します。明確な戦略は、役割と責任を定義し、優先順位を決定し、説明責任を確立するために必要不可欠な基盤です。

データと真剣に向き合うことは、もはや経理財務部門において漸進的なニーズではありません。それは変革的なニーズであり、変革が失敗する理由でもあります。

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