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主要地域のゲーミング(カジノ)市場の概況およびIR収益構造

統合型リゾート(IR、Integrated Resort)

本稿では、グローバルでのゲーミング(カジノ)市場の概要と、主要地域の市場における収益構造について解説します。ゲーミング(カジノ)の歴史はその所在国によって大きく異なるため、カジノ解禁の時期や収益構造などに各国の特徴が色濃く反映されています。

主要国・地域のゲーミング(カジノ)の歴史

米国ネバダ州(以下、「ネバダ州」という)では1931年、ゲーミング(カジノ、以下「カジノ」という)の売上高に課税することで税収を確保することを目的に、カジノが合法化されました。

その後、市場健全化のため段階的に規制を整備し、大衆化・健全化を行っています。


また、2010年に2ヶ所の大型IR(Integrated Resort、統合型リゾート、以下「IR」という)施設が開業したシンガポールでは、国際競争力の低下及び旅行者の減少に対応するため、2005年にカジノを合法化しました。

カジノだけに留まらない高いレベルのIR施設の建設を国家主導で推進し、GDPの増加、海外からの観光客の増加を実現しています。


マカオでは、ポルトガルの植民地であった1847年に、カジノを合法化して以来、約170年にわたりカジノ産業が発展してきました。


中国返還後の2001年、マカオ政府はそれ以前のカジノの独占制度を見直し、海外カジノ事業者にもライセンスが交付されました。

その後、2006年にはネバダ州のカジノ売上高を抜き、世界トップに躍進しました。


近年、海外の観光客を集めて外貨を獲得する、雇用を生み出す、等の理由からカジノを設置する国が増加し、カジノ市場は世界全体で成長を続けています。

OECD加盟国に焦点を当てると、35か国中、30か国がカジノを合法化しています。
 

現在アジアでは、マカオをはじめ、フィリピンや韓国など複数の国で、更なるカジノ施設が建設中・建設計画中で、その市場規模は今後も大きくなっていくことが予想されます。

 

カジノ市場の概況(ネバダ州、シンガポール、マカオ)

現在、カジノ施設は世界の約130の国と地域で設置され、4,000施設以上が営業を行っており、その市場規模は10兆円を超えています。
 

成長を続けているカジノ市場ですが、地域毎のカジノ施設数、市場規模を比べると、それぞれ異なった特徴を持っています。
 

ネバダ州には2017年時点で272のカジノ施設があり、IRの売上規模は2兆9,365億円となっています。

シンガポールにはカジノ施設が2か所のみとなっていますが、売上規模は5,483億円と各施設が高い売上高を誇っています。

マカオに所在するカジノは2017年時点で40施設あり、IRの売上規模は3兆7,030億円です。(図表1)

*出所:各国ゲーミング規制当局公開情報等

 

ネバダ州、シンガポール、マカオのカジノ施設数と売上規模(2017年) ※図表1
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主要地域のカジノの売上構造

カジノを合法化している各国、各地域における収益構造は、それぞれの開発コンセプトや各国の法規制等によって大きく異なっています。

 

■ 米国ネバダ州

近年、カジノ市場において、カジノ単体での売上高よりも、ノンゲーミング(カジノ以外の活動)から得る売上高の方が大きくなっています。

カジノ市場が成熟すると、ノンゲーミングの売上比率が増加すると推測され、長期的なトレンドとしてノンゲーミングの売上比率が上昇しています。(図表2)

ネバダ州におけるゲーミング(カジノ)市場の収益構造の経年推移(2015年→2017年) ※図表2
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■ シンガポール

カジノ施設をマリーナベイサンズとリゾートワールドセントーサの2つに限定しており、カジノ単体での売上高が多くを占めるものの、ノンゲーミング施設も重視した統合型リゾート化を徹底しています。(図表3)

 シンガポールにおけるゲーミング(カジノ)市場の収益構造の経年推移(2015年→2017年) ※図表3
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■ マカオ

中国本土からの中国人をターゲットとした射幸性の高い賭博市場となっており、カジノ単体での売上高が大多数を占めています。

一方、近年に建設されたIR施設はノンゲーミング施設も重視した統合型リゾート化を進めており、今後、ノンゲーミングの売上が大きくなっていくことが想定されます。(図表4)

マカオにおけるゲーミング(カジノ)市場の収益構造の経年推移(2015年→2017年) ※図表4
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上記から見てとれるように、各国の収益構造や施設傾向、市場のトレンドを考えると、今後、世界のカジノ市場でIR施設が増えてきた場合、ノンゲーミングの売上が大きくなっていくことが想定されます。

日本においても、IR推進会議やその他政府関係者、有識者の見解として、カジノの売上のみに頼らないIR収益基盤の確立を目指しており、ノンゲーミングの売上が大きくなるような施設作りが求められています。

一方、シンガポールの事例の様に、ノンゲーミング施設も重視したIRを徹底しているものの、ゲーミングの売上がノンゲーミングの売上を上回っていることに鑑みると、日本においても、これまで国内のIR事業運営の経験やIRの市場が無いことから、一時的に同様の状況となる可能性も想定されます。

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IR(統合型リゾート)ビジネスグループでは、Deloitteのグローバルネットワークを活用し、海外事例等を踏まえたIRビジネスに関連する幅広い調査・分析を行っています。

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info-irbg@tohmatsu.co.jp

IR(統合型リゾート)ビジネスグループとは

IR(Integrated Resort:統合型リゾート)実施法案の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

 

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