最新動向/市場予測

TMT Predictions 2021

TMT業界のグローバルトレンド 2021

「TMT Predictions 2021」では、テクノロジー・メディア・通信業界に関して、注目すべきトピックの分析と将来予測をまとめています。デロイト グローバルが発表した内容をもとに、日本オリジナルの考察・分析を加えた内容です。

TMT Predictions 2021 日本版 全文

2021年版では、グローバル版の抄訳に加え、日本における市場状況や変化への対応策などの論点について、デロイトトーマツ グループの各分野のプロフェッショナルが「日本の視点」として取りまとめたほか、日本オリジナルの4テーマを執筆しています。

本レポートで取り上げたそれぞれのテーマが、B2B、B2Cそれぞれの視点でPost COVID-19の世界における事業展開の方策を検討するためのカギになると考えています。各章の内容からは今後のビジネスを見通すうえでの要点やヒントが読み取れるはずです。詳細はリンク先より、レポートPDFをダウンロードのうえご確認ください。

本レポートが、日本企業が中長期的な未来を見据えて自社の戦略を検討するための議論の起点や、具体的な施策実行の契機になると幸いです。

Technology, Media and Telecommunications Predictions 2021〔3.43MB〕

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日本版発刊に寄せて

2020年代に入り、世界は大きな転換期に直面しています。2010年代後半から、米中貿易摩擦に代表される政治・経済的変化要因、気候変動をはじめとする地球規模での課題対応、ITプラットフォーマーのビジネス領域や国境を超えた強大化、ネットワークやデバイスの高度化・技術進化といった要素が複合的に作用する中、これまでの生活形態やビジネスに更なる変化がもたらされることは従来から予見されていました。そのような中で2020年に突如として現れたCOVID-19のパンデミックは、2021年に入っても収束の気配が見られず、経済・社会・文化のあらゆる側面で世界をドラスティックに変容させています。現在我々が直面している状況が、歴史上特筆すべき転換点として記憶されることになるのは間違いないでしょう。

COVID-19の影響下では、人の接触や移動が制限されて活動がリモート・デジタルに移行し、我々の生活そのものが一変しました。文化的な面では、在宅時間が長くなる日常を過ごす中で、日本でも動画配信サービスの利用が増加するなど1、メディア・エンターテインメントへの接触状況に変化が起こっています。観客を入れる形でのイベントや興行が制限される一方で、スポーツの試合やライブイベントの配信など、デジタルを活用した取り組みも広がりました。外出の機会が限られる中で、メディア・エンターテインメントの重要性が再認識されるとともに、多様な施策が試されるタイミングになったと言えます。今回本レポートで扱ったスポーツ、8K、XRの章では、ユーザーの接触状況の変化や技術の進化、ビジネスの在り方の現状と展望について論じています。

ビジネスの観点では、リモート環境への移行を試行する中で自社のビジネスをどう進化させることができるかが問われることになりました。クラウドを利用した事業者間コラボレーションが急速に進んだ点などは、対応がプラスの影響となった一例でしょう。日本においては、これまでなかなか取り組みが進まなかったデジタル化の動きが必要に迫られる形で加速し、FAXでのやり取りが残っていたような旧来の業務がCOVID-19を機にオンラインに切り替わる 、といったニュースが話題になりました2。この例に限らず、仕事の方法や手順は、あらゆる産業においてデジタル技術を活用する形式に大きく転換しつつあるといえるでしょう。この観点ではクラウド、5G/Open RAN、半導体といったコンポーネントが、あらゆる産業のデジタル化に欠かせない要素となっており、その市場概況と将来像を理解することが今後のビジネスを考えるうえで重要な示唆をもたらすと考えられます。

COVID-19の影響は社会基盤の観点でも現れています。オンライン診療とFintech はその代表的な領域でしょう。感染拡大防止の観点でCOVID-19以外の症状での病院受診が控えられ、かつ病院における感染リスクを下げるような要請が高まる中、オンライン診療の必要性が眼前に迫ることとなりました。世界的に、こうした背景からオンライン診療の利用が急拡大しています。「物理的に貨幣を触らない」という新しい生活様式の中でFintechサービスの利用が急増したことも大きな変化です。

そしてこれまで述べたオンライン化・デジタル化を支える様々な場所で、GAFAM3 に代表されるITプラットフォーマー=グローバルのTech Giantが提供するサービスや技術が利用されていることに注目すべきです。コロナ禍によって、生活・企業活動・社会基盤の全般において、Tech Giantが持つ力が改めて浮き彫りになっていることを実感し、再解釈する機会がもたらされているとも考えられます。

今後はTech Giantの動きも見据えたグローバル競争がさらに激化することが予想されます。グローバル競争の本質は、事業を推進するための技術進化に関して世界中の多様な事業者といかに戦っていくかという戦略構築に集約されます。世の中が今後どのように変化していくのか、今後の企業活動に新しいテクノロジーやサービスがどう取り込まれていくのか、状況を基に行く末を見通せる力が、事業を推進する上でとても大事な要素になっています。<将来を見据えること―「Predictions」>の重要性がより実感されるタイミングが訪れているのではないでしょうか。

グローバル競争の中では、「日本の事業者ならでは」の視点をどのように押し出しつつ、他にはない強みを見いだし、どのように戦っていくかが求められます。企業体や市場構造等に様々な違いがある中で、差異化による正面からの勝負を挑み勝利を収める攻めの姿勢を取るのか、あるいはローカルならではの価値を突き詰めて強みにしていく守りの姿勢を貫くのか。市場環境と自社のあり方を見極めて、戦い方を見つけ出すことが、今まで以上に重要になると指摘できます。

本レポートで取り上げたそれぞれのテーマが、B2B、B2Cそれぞれの視点でPost COVID-19の世界における事業展開の方策を検討するためのカギになると考えています。各章の内容からは今後のビジネスを見通すうえでの要点やヒントが読み取れるはずです。歴史的な転換期にある今、本レポートの内容が、日本企業が中長期的な未来を見据えて自社の戦略を検討するための議論の起点や、具体的な施策実行の契機になることを期待しています。
 

 

首藤 佑樹
Yuki Shuto

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員
デロイト トーマツ グループ テクノロジー・メディア・通信インダストリー
日本リーダー
 

清水 武
Takeshi Shimizu

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員
テクノロジー・メディア・通信インダストリー
エミネンスリーダー

 

1. 総務省,「インターネットトラヒック研究会~「新たな日常」におけるインターネットのサービス品質確保に向けて~」, 2020/12/1: 
https://www.soumu.go.jp/main_content/000719727.pdf
2. 大臣のツイートがFAX廃止を後押し、感染拡大第2波に備えるシステム改修とは, 日経XTECH, 2020/5/26:  https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01306/052300002/
3. Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft

グローバル版本編リンク(英語)

Technology, Media and Telecommunications Predictions 2021

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