Posted: 19 May 2021 3 min. read

2025年大阪万博に向けた「空飛ぶクルマ」の社会実装と事業化に向けた展望<前編>

約1年前の記事で触れた「空飛ぶクルマ」やeVTOL、AAM(Advanced Air Mobility)などと称される次世代モビリティの社会実装に向けた動きが、ここ1年で更に加速している。

諸外国ではSeed StageからEarly Stageへの動きが加速

米国・欧州・中国においては、政府機関と産業界が一体となった大規模な実証実験やエコシステム形成、そして諸規制・ガイドラインの充実が図られる中で、先行するプレイヤーについては機体開発・認証取得に向けた動きを着実に進めると共に、先行チケットの販売、具体的なユースケースを念頭に置いたPoCの実施、オペレーションを担う法人の設立など、事業化を見据えた活動を加速させている。

これを新規事業の一般的な成熟度のフレームワークに当てはめると、諸外国における先行プレイヤーの関心事は既に「事業構想」の段階から「事業開発」に軸足が移ってきており、技術開発のみならず“どのようにビジネスとして回していくか”といった事業計画の精緻化といったところを真剣に検討しているステージにあると考えられる。

Deloitteの新規事業成熟度診断フレームワーク『11 Stages™』

日本では大阪万博に向けた社会実装の取組が進行

日本でも、2018年に「空の移動革命に向けたロードマップ」の発表を皮切りに官民連携での検討が進められており、今年に入ってからは国土交通省が専門部署(次世代航空モビリティ企画室)を設置し、経済産業省・NEDOが「空飛ぶクルマの先導調査研究」と称して要素技術研究だけではなく、今後の社会実装に向けたオペレーション体制・事業モデルの検討や、日本における実証計画の検討を予定している等、具体的な制度作り・実証事業を加速させるための環境が整いつつある。

このような国の動きと呼応し、地方自治体レベルでも「空飛ぶクルマ」の地域社会への実装に向けた調査・検討が進められており、特に2025年に万博の開催が予定されている大阪では「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」という官民連携の枠組みが整備されたほか、今年度には具体的な実装に向けた課題の整理・検討、実証実験の補助等の計画が公表されている。

世界中の最先端技術のお披露目の場であり、未来社会のデザインをコンセプトとしている万博の開催は次世代モビリティとしての「空飛ぶクルマ」の社会実装を推進するためにも非常にシンボリックな機会であると考えられ、今後の日本における同分野の取組は万博開催年である2025年をひとつのマイルストーンとして進められていくだろう。

※後編へ続く

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