ナレッジ

組織風土改革を成功させる3つのポイント~はじめに~

当社がこれまでに様々な組織風土改革の支援を通じて抽出した、改革のために最も重要な3つのポイントを、全3回のシリーズで解説していく。

組織風土改革が求められる背景

リーマンショック以降、デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめ、デジタル化の進展によって、戦略展開のスピードが加速している。また、企業間の情報格差が小さくなることもありスピーディーな戦略実行ができる「組織力」や「現場力」が競争優位の源泉とされ、求められている。一方で人材の流動性が高まり、働き方改革や多様性の尊重といった考え方が浸透するにつれ企業に求められるマネジメントの在り方も変化を余儀なくされている。

こうした迅速かつ大きな変化をし続けることが組織に求められる中、各社で組織風土改革の必要性が叫ばれている。しかしながら少なからず、“笛吹けど踊らず”という状況に陥り、改革の成果が生み出せていない。数年に一度、組織風土変革の機運が高まり施策が打たれるものの成果が見出せず徒労に終わる「改革疲れ」という言葉も耳にする。

確かに、組織風土というのは長い時間をかけて培われるもので簡単には変えられない。しかし、当社で支援した経験から言えるのは、時間はかかるが変われない会社はない、ということである。その中で特に支援を通じて感じるのは、「経営トップやキーパーソン自らが変わろうとすること」の重要性である。変化を起こそうとすると、慣れ親しんだやり方を捨て、新しいやり方にチャレンジしなければならない場面に必ず直面する。ここで生じる葛藤・不安・軋轢にトップやキーパーソン自身が対峙し、乗り越えようとする姿勢を組織メンバーが感じられなければ、「トップはお題目だけ並べるだけ、掛け声だけだ」と組織メンバーに感じられてしまう。こうなっては、改革は第一歩を踏み出す前に実質、頓挫することになる。「なんだ、当たり前じゃないか」という声が聞こえてきそうだが、トップ自身はそのようにしている“つもり”でも、組織メンバーには“伝わっていない”という非常にもったいない場合も多い。

では、「経営トップやキーパーソン自らが変わろうとする」ことだけで、組織風土は変わるのか?もちろん重要なファクターであり、組織風土改革の前提ではあるが、これだけでは十分ではない。本コラムでは、当社がこれまでに様々な組織風土改革の支援を通じて抽出した、改革のために最も重要な3つのポイントを全3回のシリーズで解説していく。以下に3つのポイントの概要を示すが、詳細は是非それぞれのページをご参照いただき、貴社の改革の一助となれば幸いである。

組織風土改革成功に向けた3つのポイント
※クリックまたはタップして拡大表示できます

組織風土改革成功に向けた3つのポイント

1. ゴール(目指すべき姿・なすべき行動)の焦点を定める

組織風土改革を進める上で基点となるのは「目指すべき姿」を掲げることである。

一見、当たり前なことだが、陥りがちな“落とし穴”がある。それは「目指すべき姿」が曖昧なまま変革を進めようとすることである。“目指すべき姿を目指すのはなぜか”“その姿に対する経営層の解釈は揃っているか”を問い直すことが重要である。前者については中長期の経営ビジョン・戦略に紐づけて考える、後者については“3つの問い”と“5つの観点”を検討・議論することを通じて“落とし穴”を回避することができる。
一方、議論を積み重ねるとついつい目指すべき姿に多くのメッセージを詰め込みたくなるが、浸透のしやすさを考慮すると、シンプルで社員が覚えやすい“数回聞けば覚えられる”3つ程度に絞り込むことが「目指す姿」の定義には欠かせない要件である。

詳しくはこちら
 

2. 変えるべき組織を見極め、「変わった」実感を持たせる

「変化のきっかけをどのように仕掛け、先駆けとなる組織・人をどのように見極め、牽引させるか」ということを考え抜き、シナリオに落とし込んでいくことが組織風土改革に着手する上で不可欠となる。なぜなら組織風土改革は組織の体質改善であり、組織全体をいきなり180°変えることはほぼ不可能に近いため、段階や順序を組み立てて取り組む必要があるからである。このシナリオは組織の状況によって千差万別ではあるものの、「変化はボトムアップ、きっかけはトップダウン」「実質的な影響力を持つキーパーソンの見極めと巻き込み」「象徴となる組織による変革の波及効果」「組織のメンバーの特徴に合わせたアプローチ」の4つが考慮されたシナリオを策定・実行することを通じて、変化を組織全体に波及させていくことができる。

≫ 詳しくはこちら
 

3. “改革実感”の演出と「持続的な効果創出」

長年培われたいわゆる組織の“習慣/癖”を変えていく取り組みである組織風土改革は、組織体制や意思決定プロセス、各種制度や業務遂行プロセスなど構造改革を伴うケースが多い。

こうした構造改革は、具体化され変化が従業員に感じられるまでのリードタイムが長期にわたるため、改革初期にはほとんど機能しない。一方この時期は、反発が生まれやすく、改革の機運が削がれやすいため、「正しくとも改革が頓挫してしまう」ことが発生してしまう。この壁を乗り越えるには、「Quick Win」つまり小さな成果を早期に創出・変化を捕捉し、組織内にアピールすることで従業員に変化を感じさせ、変革のうねりを意図的に作っていくことが重要である。そこに構造改革を合わせることで、持続的な効果を創出していくことにつなげていくことが可能となる。

≫ 詳しくはこちら
お役に立ちましたか?