【公会計特集】公会計を委託に頼るべきか ブックマークが追加されました
ナレッジ
【公会計特集】公会計を委託に頼るべきか
委託することのメリット、デメリット
「Q:財務書類の作成を委託しつつ地方公会計の活用は可能でしょうか。A:可能ですが委託に頼らず知見を増やすことが公会計活用への近道です!」活用を見据えたり予算を見直したりする中で、事業者への委託のメリット、デメリットについてまとめました。
(1)財務書類の作成等に関する現状
総務省より令和2年3月に公表された地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書の17ページにおいて、財務書類の作成等に関する課題の1つとして、外部の事業者に財務書類の作成を委託しているがチェック体制が不十分な団体があるとの課題が識別されています。
財務書類の作成業務に関しては、外部の事業者に委託をすることも考えられるが、そのような場合でも、最終的な作成責任は各地方公共団体にあることから、委託先の事業者が作成した財務書類について、適切に作成されているかのチェックを各団体が実施する必要があることを認識すべきである。
現状としては、外部の事業者に財務書類の作成を委託している団体が多く、その上で内容のチェック体制が確立されてない団体が多く見られた。
また、財務書類作成担当者が1人という団体が多く、当該担当者は地方公会計以外の他の業務も兼務している場合が多い状況という課題も識別されています。
財務書類の作成業務に関する体制については、とりまとめ担当課は、財政担当課である場合が多く、担当者数は1人という団体が多くなっている上、当該担当者は地方公会計以外の他の業務も兼務している場合が多い状況であった。
また、財務書類を作成することの必要性・重要性が、地方公共団体の組織内全体で十分に理解されていないという指摘もある。
(2)財務書類の作成委託について
地方公会計の担当者が他の業務も兼務しており余裕がないような団体において、財務書類の作成業務を外部の事業者に委託することで、業務の軽減を図られている状況が見受けられます。また、十分な知見を有する事業者が関与することで、一定の質が確保された財務書類を入手、公表することが可能となります。
一方で、毎年財務書類作成の委託経費がかかることに加え、現在の委託料で事業者が引き受け続けてくれるのか、税収等の減少に伴い歳出予算削減が求められた際に、事業者が委託料の削減に応じてくれるのかといった懸念がつきまといます。
また、団体側に財務書類の内容をチェックする体制が確立されていない場合には、事業者が作成した財務書類に誤りがあったとしても団体側で修正できず、誤ったまま公表してしまう可能性があります。地方公会計制度の導入目的の1つである、資産管理や予算編成等への活用につながるような知見は、財務書類の作成過程の中で得られるものも多いですが、そうした知見が得られず、地方公会計制度導入の趣旨である『限られた予算を賢く使う』ための様々な工夫につなげられないデメリットもあります。
(3)さらなる財務書類作成体制の強化について
各団体の状況に応じてさらなる財務書類作成体制の強化を行うことができます。財務書類作成をスムーズにかつ団体内にノウハウが残る形で行うことで、財務書類作成に要していた工数、委託料を地方公会計の活用に回すことができ、資産管理や予算編成等の高度化につながることが期待されます。
地方公会計に関するコンテンツ
これまでに配信している以下のコンテンツ集を上記サイトにまとめています。
- 特集 公会計を今よりちょっと先に進める方法
- 特集 5分で理解!地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)
- 統一的な基準による財務書類の作成状況等に関する調査結果について
- 地方公会計の概要
- シリーズ5分で理解!公会計の財務書類
- シリーズ5分で理解!公会計の固定資産台帳
【特集:公会計を今よりちょっと先に進める方法に関するコンテンツ】
- 特集①:公会計を委託に頼るべきか
- 特集②:公会計特集公会計のステップアップ 団体の状況別5つのポイント
- 特集③:固定資産台帳の更新3つのポイント
- 特集④:財務書類作成を効率化する3つの工夫
- 特集⑤:財務書類のチェックポイント初級編