実現したい夢の解像度を上げる デロイト トーマツの「People First」CxO鼎談

デロイト トーマツ グループの執行、人事、タレントのリーダーが同社で働くとはどういうことか、どんな人に働いてほしいかを想いのまま、”本音で”語った。

要約

  • デロイト トーマツはPeople Firstという人材育成環境のコンセプトを推進し、一人ひとりが熱意をもって活動することを支援している
  • そのためにCOO、CTO、CHROは様々な施策を打ち出しており、その成果が徐々に出始めていると話す
  • 具体的には社内向けに資産運用を支援したり、ワーケーションを事業と結びつけたりこれまでにない取り組みの数々で、ルールに縛られるのではなく、使いこなす世界観を体験してもらおうとしている
  • ここ数年では、メンバーに対する問いかけも「あなたは何ができる?」から「あなたは何がしたい?」へ変わり「社会や人の役に立ちたいと思える人」が社内で活躍しはじめている

約2万人のデロイト トーマツ グループ、彼ら1人ひとりの心に火を点ける

「デロイト トーマツはグループとしてPeople Firstという人材育成環境のコンセプトを推進しています。これは自身の内側から湧き上がる成長意欲を大切にし、心に火を点け、何かを為したいという熱意をもって一人ひとりが活動してほしいという願いです」

そう話すのはデロイト トーマツ グループ COO(Chief Operating Officer)の長川知太郎だ。彼が思い描く熱量には、まだ届いていないと現状を話す。

デロイト トーマツ グループ COO / 長川 知太郎

「これは私たちのフォローがまだ足りていないということでもあるのでしょう。ただ、一方的な情熱の押しつけになってはいけない。そこでPeople Firstでは心理的安全性を保つことを第一としました。そして、それは実現できていると感じています。今はデロイトトーマツという場で、それぞれが個を磨き上げ、社会課題を解決していくために自発的に動けるようにしていくという第二段階に入っています」(参考記事:内発的成長意欲を加速させる「People First」デロイト トーマツで描くキャリアデザイン

「世の中のために働いている」という強い自負を持っている人が輝ける場

グループの最高人事責任者、CHRO(Chief Human Resource Officer)である鹿島俊明は、長川の後に続ける。

デロイト トーマツ グループ CHRO / 鹿島 俊明

「個人的な感想のようになってしまうかもしれませんが、デロイト トーマツで輝いている人は、ルールがあってもそれを上手くレバレッジして能動的に動く人が多い。世の中のために働いているという強い自負のもと、自分に何ができるかを模索しながら動いている人が楽しく働いている。結局、そういう熱量を持った人が人を動かすのかもしれません」

ルールを定め、それを守ることは大切なことだ。仕事の効率化につながることもある。しかし「ルールだから」で思考が止まってしまい、かえって非効率なことを続けていたり、本来目を向けるべきことから目をそむけてしまったりする弊害もある。鹿島はそのような状態で自分自身をがんじがらめにしてしまうのは、もったいないと言うのだ。

「実際、会計監査を祖業とし、その信頼を基礎とするデロイト トーマツは高い独立性を保持していて、いわゆる他の企業と比べてもルールは厳しい。だからといって思考停止になってほしくはない。ルールに使われるのではなく、ルールをうまく使いこなす力を皆が持てば大きな変化が起きるはずです」

監査法人を持つグループだからこそ信頼をされるメリットはある。ルールを単なる「縛り」と捉えず「強み」に変えれば、自分のやりたいことにどこよりも早く近づける可能性もある。

DEIやPeople Firstの推進を行う同グループのCTO(Chief Talent Officer)、大久保理絵は「日本の企業は私たちも含め、目標管理ありきだった。でも、そこから変わらなければいけない時代に来ている」と話す。

デロイト トーマツ グループ CTO、DEIリーダー / 大久保 理絵

「自分に足りないところを見つけ、それを埋めるように頑張るという、言ってしまえば学校教育のころから私たちが親しんできたモデルをやめようとしているわけです。それでは変化に追いつけないから、1人ひとりが自分の判断で動ける領域を拡げていこうとしています。ただ、デロイト トーマツ グループは約2万人の組織。トップの一声で一気に変わることは難しい規模感です。そこで、People FirstやDEIなど様々な取り組みを通じて、1人ひとりの意識やカルチャーから変えようとしています」

「体験→共感」をテコに文化や風土をアップデート

大久保はワーケーションを通じた新しい事業モデルも推進している(参考記事:ワーケーション・リモートワーク・転籍、未来を変える「働き方三景」)。単なるワーケーションではなく、そこにデロイト トーマツとして為すべき事業を紐付けPeopleのValueを上げることで、FinancialなValueを上げていこうという取り組みだ。

「これまでにないことを言葉だけで理解してもらうのは難しい。小さくてもいいので、1人ひとりが成功体験をしてくれれば、違いを知ることができるはず。ワーケーションにしても他の取り組みも、それが目的で行っています」

長川は大久保の話にうなずき「この規模感で文化や風土をアップデートしていくためには、トップダウンだけでは難しく、『共感』をテコにしていく必要があります」と続ける。

例えば、同社が社内外で推進している「Panel Promise」は、各種のイベント、フォーラム、カンファレンス等におけるパネルセッション登壇時のメンバー構成について、バランスのとれた比率とされる「40%(男性):40%(女性):20%(多様性推進の調整枠)」の実現を目指す施策だ。(関連記事:多様なメンバー・視点がイノベーションを生む Panel Promise

大久保は「社内はもちろん、私たちが参加するイベントやフォーラムでは、主催ではなくてもこのPanel Promiseをお願いするようにしています。はじめは社内も社外の方も戸惑われていました。例えば、会議での年間計画や方針は当然組織の責任者が発表するという固定観念で、責任者が全員男性だったりすると、結果的に発表者が全員男性になってしまう。でも、ルールに則るために発表者を工夫してやってみると、聞き手のエンゲージメントが上がるなど、以前よりも良い成果が得られました。聴衆1人1人の「見る」という経験を変え、それを繰り返すと経験の積み重ねである文化も徐々に変わっていく。これなどはルールをうまく使いこなしている例とも言えるかもしれませんね」

これまでの経験が、新しく生まれ変わるために「足かせ」になるのであれば、経験そのものを「上書き」していくことで解決に向かわせていくというわけだ。

ルールを使いこなしてもらうために「資産運用」をサポートする仕組みも用意

鹿島も「私たちは独立性が非常に高いグループでもあるので、ルールとして守るべきものはあります。しかし、一定のルールを守れば後は自由です。でもルールに目がいってしまい、これ以上動いてはだめなのかもしれないと勝手に自分にストップをかけてしまう人もいます。そこでそういった意識を変えてもらうために、社内に向けて資産運用をサポートする仕組みもはじめました」

監査法人を擁するグループとしては異例といってもいいかもしれない。ルールに使われるのではなく、「ここまでなら大丈夫」という使いこなし力を身につけてもらおうという取り組みだ。

長川は、デロイト トーマツが行っているアップデートは大きく2つあると話す。

「1つは大久保や鹿島が話したような経験を通じた変化。想定したことのない施策を非連続で行っていく。これは私たちが実行に移すことでその背中を見てもらいたいという思いもあります。長川たちは会社をアップデートしようとしているぞということを見てもらう。もう1つは若手も含め、ボトムアップで変革を推進できるようにすること。エンカレッジするような声がけをしていくことで、皆さんも変わっていこうという環境づくりです」

この取り組みの成果もあり、風土は徐々に変わってきたという。大久保は、20人の人が年間10人に影響を与えることで、2万人なら3年で変われると明言する。

組織にまずは慣れ、成果はその次でいいが「何をすべきか」という思いは持っていて

デロイト トーマツ グループの規模は大きく、すぐに活躍できないケースもあるだろう。特に新卒と違い中途採用で来た人はとまどうこともあるという。

鹿島は「デロイトトーマツに入って1年で自身が思う様な結果を出さなくていいです、とお伝えしています。まずは慣れてくださいと。人も組織も多様ですから、焦らずにご自身なりの地図をつくってもらい、地図が出来たら成果を出すためのルートを考えてもらえればいい。私も中途なので分かるのですが、この地図づくりに1年はかかると思うんですよね。ですから、1年で結果は出さなくていいとお伝えしています」と話す。

新卒についてはどうだろうか。鹿島が続ける。

「新卒も同様です。ゆっくり成長していけばいいというスタンスです。長川が話した個の磨き上げには時間がかかります。例えばストレングス・ファインダーを用いて自分自身の長所を見つけ、それを押し出していくにしてもです。ただ、冒頭申し上げた通り、自分は社会のためにこれがしたい、だからデロイト トーマツにいるんだという思いは持ち続けていてほしい」(参考記事:眠れる潜在能力を、根元から引き出す。デロイト トーマツの育成カルチャー「People First」の可能性

3人のCxOによる「これから出会うかもしれない、あなたに向けて」

最後に、3人にどういう人たちにデロイト トーマツに参画してほしいかメッセージをもらった。

長川は「私たちは『あなたは何ができる?』という質問よりも、『あなたは何がしたい?』という問いを重視したい。デロイト トーマツという場を使って世の中をこう変えたい——そういった自分の夢なりパッションを持っている人と共に働きたいですね。デロイトトーマツなら、もやもやした夢であっても、解像度を上げることもできますから」と話す。

鹿島は「やはり人の役に立ちたいと思える人と共に働きたい。そういう方にとってデロイトのネットワークは良いコミュニティ。幅広い専門性を持った人たちが集い、日々、世の中をよくしたいと活動しています。彼らが活動しやすいように体制も常に整え続けています。もし悩むことがあれば、僕に言ってくれればいつでも話します。私の失敗談もたくさんありますから、個人的にいろいろ教えることもできますよ」と笑う。

大久保は、2人に言いたいことを言われてしまったと苦笑いしながら「デロイトトーマツが1人ひとりの夢を実現する舞台でありたい。夢は明確じゃなくてもいい。あなたの夢の解像度をあげていくことも、私たちが対話を通じて行います。だから何かを為したいという野望を持っていて、実現したい人。うちがぴったりです。」

※本ページの情報は掲載時点のものです。

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