CCUSで実現するカーボンニュートラル
カーボンニュートラル実現に向けたCCUSの役割
カーボンニュートラルを実現する手段として、世界的に注目されているのがCCUSだ。CCUSは排出されるCO2を回収して有効活用するというアプローチで、再生可能エネルギーや水素では減らしきれないCO2の排出削減に寄与する、カーボンニュートラルの実現に不可欠な技術である。
CCUS Leadership
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下田 健司 Kenji Shimoda
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電化・再エネだけではカーボンニュートラルは実現できない
日本のCO2排出量は年間約11億トンで、うち約40%が電力由来、残りの60%が非電力由来のCO2排出量である。カーボンニュートラルの実現にあたっては、再生可能エネルギーや水素の導入により電力由来のCO2や電化との組み合わせで非電力由来の一部のCO2排出量は削減可能だが、これらで必ずしも全てのCO2を削減できるわけではない。再生可能エネルギーや水素では削減しきれないCO2の削減に向けて、CCUSが重要な役割を担う。
カーボンニュートラルに向けたCCUSの「3つの役割」
カーボンニュートラルの実現に向けてCCUSが担う役割は、①「既存インフラを活用したエネルギートランジション」、②「カーボンリサイクルによるCO2の有効活用」、③「ネガティブエミッション」の3つである。すなわち、再生可能エネルギー・水素主体の電源構成が実現するまではCCSを付帯した火力発電により円滑なエネルギートランジションを実現し、代替が困難な製品をカーボンリサイクルで作り、最後にどうしても排出される温室効果ガスをネガティブエミッションで相殺することで、カーボンニュートラルを実現していくものである。
第1の役割:既存インフラを活用したエネルギートランジション
カーボンニュートラルの実現に向けては発電から需要設備まで全面的なインフラの転換が求められるが、火力発電所へCCSを付帯する、都市ガスパイプラインにカーボンニュートラルメタンを混合するなど、ゼロエミッション化の工夫を加えつつ既存インフラを有効活用したエネルギートランジションが求められる。CCUSにより、寿命がある既存設備を有効活用して、投資効率とゼロエミッション化を両立した戦略を描くことができる。
第2の役割:カーボンリサイクルによるCO2の有効活用
ジェット燃料や都市ガスなど全面的な電化が難しいとされる燃料や、コンクリート、化成品などカーボンが含まれる工業製品を、CO2から合成するカーボンリサイクル製品で代替することで、カーボンニュートラルを実現できる。
第3の役割:ネガティブエミッション
家畜や土壌から放出されるメタンなどの温室効果ガスは、一般に現実的な削減手段が乏しいとされている。そこでBECCSやDACCSといった大気中のCO2を地下貯留するネガティブエミッション技術で、どうしても排出されてしまう温室効果ガスを相殺することでカーボンニュートラルの実現に寄与する。
世界各地で進むCCUSの社会実装に向けた実証プロジェクト
このようにカーボンニュートラルの実現に向け不可欠なCCUSであるが、その社会実装に向けては解決すべき課題は多い。
何より、カーボンリサイクル製品の環境価値を認める仕組みの構築が必要である。CO2を融通するにしても、CO2の供出者と需要家は必ずしも隣接してはおらず、また時間とともに供出・需要量も変わっていく。輸送にあたっては大規模なインフラ投資が必要になるが、その資金回収メカニズムや取引ルールの整備も必要である。すなわち、全く新しい概念であるCCUSを社会実装するためには、規制やインセンティブの抜本的な見直しと、産業間を跨ぐ利害調整が不可欠である。
こうした課題解決に向け、世界各地でCCUSの実証プロジェクトが推進されている。デロイトのグローバルではオランダPorthosプロジェクトやノルウェーの Northern Lights プロジェクトを支援している他、我が国においては北海道苫小牧市において、CCUSの社会実装という複雑な問題の包括的な解決を試みる野心的な実証プロジェクトを推進している。
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