世界のCCUSプロジェクト
苫小牧CCUS Platform Project(日本)
我が国では北海道苫小牧市で、地域と多くの産業を巻き込んで、世界でも先駆的なCCUSプロジェクトが進められている。苫小牧港は石油の主要なバリューチェーンが集約されているほか、CO2の大規模分離回収設備があり、豊富な再エネポテンシャルを持つ港湾である。この特色を活かしながら、産業間連携によるカーボンリサイクル事業の実現を目指している。
CCUS Leadership
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下田 健司 Kenji Shimoda
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苫小牧で推進する産業間連携によるカーボンリサイクル事業
北海道苫小牧市は北海道を代表する工業都市・港湾都市だ。北海道で唯一商業生産している勇払油ガス田、製油所があり、石油の需要先となる自動車や製紙、化学など製造業の工場も集積している他、東部には火力発電所も立地している。そして、最も特徴的なのが日本初のCCS大規模実証実験によりCO2分離・回収設備の稼働実績を持つ点だ。つまり、石油の生産から製油、使用、CO2の地下貯留に至るまでの全てのバリューチェーンが揃った日本で唯一の港湾と言える。
こうした特徴を持つ苫小牧を舞台に、デロイト トーマツと石油資源開発株式会社は2021年より国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、都市全体のCO2排出量のネットゼロ化に向け産業間連携によるカーボンリサイクル事業の実現可能性調査に着手している。
CCUSを通じて目指す苫小牧の将来像
デロイト トーマツでは地元の38企業・組織との対話を通じ、苫小牧におけるCO2や熱などの排出状況と、それらを資源として活用可能な事業者の組み合わせを検討した結果、産業間連携によるCCUSのグランドデザイン(Figure 1)を描いた。まずCO2の大規模供出者と需要家をCO2パイプラインで接続し、小口のCO2供出者からは排ガスを回収するネットワークも構築する。CO2の主要用途である合成燃料を作るため、その原料となる水素もパイプラインで供給する。さらに地元で発電された再生可能エネルギーを供給する電力ネットワークも構築する。これらCO2、水素、再エネ電力の3つのインフラにより、都市全体を包括的にゼロエミッションに導いていく構想である。
Figure 1産業間連携による苫小牧CCUSのグランドデザイン
もっとも、本構想は大規模なインフラ整備を伴うものであり、また検討している技術の中には現時点で採算性が取れないものも含まれていることから、一度に全てのインフラを整備するのは現実的ではない。そこで、例えばCO2吸収型コンクリートなど、技術的に確立しており、かつ経済性が担保しやすいとみられるものより段階的に導入していくシナリオを策定した(Figure 2)。
Figure 2苫小牧CCUSにおける段階的技術導入のシナリオ
苫小牧プロジェクトにおけるデロイトトーマツの役割
苫小牧プロジェクトは、単一の事業者では完結せず、産業間を跨いだ連携によるCO2を含む資源の有効活用を図る構想である。プロジェクトを成功に導くためには多数の企業間の調整が不可欠であるが、その調整役をデロイト トーマツが担い、グランドデザインを描いた。
グランドデザインを社会実装するためには、制度設計からコンソーシアムの組成、オペレーションに至るまで複雑で多様な課題を解決していく必要がある。デロイト トーマツは戦略コンサルティングからファイナンシャルアドバイザリー、監査・保証まで多様なプロフェッショナルを有する総合コンサルティングファームであり、この総合力を結集し、苫小牧プロジェクトの社会実装まで一気通貫で支援していく。
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