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調査レポート
Digital Consumer Trends 2022 日本版
「Digital Consumer Trends 2022」は、デロイトのテクノロジー・メディア・テレコムインダストリーによって実施されたグローバル調査です。スマートフォンをはじめとする多様なデバイスを通じたデジタル消費行動の変化を多面的に捉えることを目的としています。
Digital Consumer Trends 2022とは
「Digital Consumer Trends」は、デロイトのグローバル調査です。2019年まで「モバイル利用動向調査」として実施していた調査を、デジタルチャネルを介した消費行動に対象を拡大し、2020年に刷新しました。2022年はPCやスマートフォンによるオンラインアンケートを通じて、世界22ヶ国・地域、計38,150人を対象に調査を実施しています。日本では第7波のピークであったが屋内外のイベントも再開され緩和傾向もあった2022年8月に2,000人を対象に調査しました。
はじめに
2022年のデジタル消費トレンド
“巣ごもり“状況下でのデジタル消費調査
2020年初頭からCOVID-19感染拡大抑止の行動制限が続き、消費者の生活は巣ごもりの様相にあったが、2022年には感染者の全数把握の見直しが行われ、観光目的外国人の入国制限などが徐々に緩和されてきている。巣ごもりと巣立ちが混じる状況のなか消費者の行動はどのように変化しているのだろうか。
本年の本調査期間(日本国内は2022年8月)は第7波のピークであったが屋内外のイベントも再開され緩和傾向もあった。ワクチン接種も一定進み、対応経験を重ねたことで警戒心の性質は変化している。一方で、リモートワークや自宅での消費行動は今年も続いており、このような巣ごもり消費は一過性とも定着するとも言い切れない状況にあり、今後も観察していく必要がある。なお、昨年(2021年)の本調査の期間(日本国内は9月1日~同15日)は、COVID-19デルタ株による第5波の感染拡大の影響で21都道府県に緊急事態宣言が発出された状況であった。
今年の調査では“巣ごもり“の消費傾向がよく現れている。特に若年層とその他の年代との間で巣ごもりの内容に差が出ており、変化に注目して紹介する。
映像コンテンツの視聴はテレビデバイスに回帰している
動画配信サービスの消費は堅調に伸びている。これまでスマートフォンで視聴されていたデジタル映像コンテンツについては、今年は多くの年代でテレビデバイスが用いられるようになったことに注目している。自宅にいる時間はゆったりとテレビデバイスでコンテンツを視聴したい消費者の嗜好が推察できる。また、良質な映像コンテンツが大画面で視聴できるコネクテッドTVの普及も考えられる。東京五輪での買い替えでコネクテッドTVが一定普及してテレビデバイスで視聴しやすくなった。さらにスマートフォンからテレビにキャストする機能も浸透したことも一因と考えられる。「デジタルコンテンツ消費体験とデバイスの変容」では、デジタルコンテンツの消費体験のデータを用いて消費シーンにより用いられるデバイスのトレンドを読み解く。
動画配信サービスの消費変化は24歳以下の若年層から
有料動画配信サービス(Netflix,Hulu等)の利用は昨年(2021年)まで増加傾向にあったが、今年は伸びが鈍化した。国内のみならず欧州も同様である。この鈍化は若年層に顕著である。25歳以降の年代(55~64歳を除く)の有料動画配信サービスの利用率は今年も伸びたが、18~24歳の若年層で9ポイント低下した。一方、動画配信サービス全般(YouTube等も含む)においては、広告を非表示とするサブスクリプション費用(Youtube Premium等)を支払う意向が強まり、18~24歳の若年層で8ポイント増加した。2022年は有料動画配信サービスの停滞と広告付き動画配信サービスの有料サブスクリプションの伸長のなか、それぞれの施策が飛び交っている。この変化の詳細は「動画配信サービスの消費の変容」で、それぞれの消費状況を取り上げて様相を解説する。
“巣ごもり”で見直される屋内コネクティビティ
前述の通り消費者は映像コンテンツを自宅で楽しむ機会が増えている。また企業ではリモートワークが促進され本格化した。特に大企業においてはリモートワークからは全面的に元に戻ることはないという意見が強い。屋内でのインターネット利用(主に固定回線)はCOVID-19前の2倍ほどのトラフィック量となっていることは、この表れだと考えられる。このような消費者の行動の変化によりコネクティビティに何が求められるかを「見直される屋内のコネクティビティと問われる5Gの真価」で考察する。
中古スマートフォンへの消費者の関心
サスティナビリティの意識は近年各国で高まっており、カーボンニュートラルと経済成長を両立する新たな経済システムのサーキュラーエコノミーに期待されている。この点についてはスマートフォンのサーキュラーエコノミーについて消費者データを用いて分析した。スマートフォンに関連するCO2排出量の大半は新しいスマートフォンの製造や利用によるものであり、端末の長期利用やリユースが排出量削減の鍵になる。また、レアメタル等の原料調達に資するモデルも形作られ、部品再利用、修理する権利(Right to repair)などで製品寿命を延ばす取り組みが欧州で進んでいる。日本と欧州諸国の消費者の動向を「スマートフォンにおけるサスティナビリティとサーキュラーエコノミー」で考察する。
執筆者
内野 幸治/Koji Uchino
デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー
総合コンサルティングファームを経て現職。メディア・エンターテイメント、エージェンシー、テレコミュニケーション業界向けに事業戦略策定、デジタルトランスフォーメーション、BPR、新規事業企画から実行の支援まで幅広く手がける。
Digital Consumer Trends 2022
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