執行役インタビュー
代表執行役:神山 友佑
2024年6月より代表の任に着く。抜本的な産業構造変革期を迎える日本企業に対し、資本再編を用いたビジネスモデル変革の専門家として、またSeparation(分離) & Integration(統合)など組織再編の専門家として、初期的な構想策定から実務設計・実行までの諸課題全体を取りまとめる。
代表執行役:長川 知太郎
ライフサイエンス&ヘルスケア セクターリーダー、グループCOOなどを歴任の後、2024年6月より代表の任に着く。医薬品・医療機器・製造業界における国内外の主要多国籍企業に対する、事業戦略・M&A戦略立案、組織・業務変革推進のほか、海外展開戦略、グローバルマネジメント改革、海外組織再編の策定・実行支援など、クロスボーダープロジェクトを数多く手掛けている。
実務機能も強化し、End to Endで真の経営パートナーに
代表執行役:神山 友佑
Q.DTCの特長や強み、他のコンサルティングファームとの違いを教えてください。
今から15年前、私たちは「For the Client」の思いから他のファームに先駆けてプロダクトアウト的発想から脱却し、「セクター」という概念を導入する組織改革を行いました。これによりリーダーはより広範囲な複数のサービスを従えたチーム組成、クライアントに対して幅広い支援が可能となり、成長を遂げられました。ニーズに適応するためのこうした連続的な組織変革はもちろん、経営コンサルタント、エンジニア、デザイナー等、多様な専門性を持つプロフェッショナルが一体となって才能を発揮する企業文化醸成にも取り組んでいます。
Q.直近5年はM&A等も積極的に行ってきたように思えます。
A.不確実な経済社会の中で、クライアントにも変化が起きます。
持続的な成長のために稼ぎ方を変える、もしくはビジネスモデルを変える、しかもスピード感をもってそれを行わなければならない――。
これも「For the Client」の思いからですが、そのために私たちの足りなかったピースである「実装部分」の強化に取り組んだ5年間でした。
これまで構想策定から企画、要件定義までが私たちの領域でしたが、開発以降についても支援ができるようになりました。
Q.クラウドの台頭でテクノロジーがビジネスに深く関係したことも要因でしょうか。
A.クライアントのビジネス変革のスピードを上げていくためには、一気通貫が求められていることは間違いありません。私たちがSAPなどのアプリケーションから、AWSなどのクラウド基盤、SaaSを活用したクラウドベースのビジネスに取り組み始めたのもそれが理由です。
私たちはクライアントの経営パートナーとして、アドバイザーの枠組みを超え、戦略策定から変革の実行、実装部分まで共に築いていくことで、これまで以上の真のパートナーシップを創出します。
Q.変化によって得られたものはありますか?
A.実装部分におけるノウハウやケイパビリティを蓄積し、それをアドバイザリー領域にフィードバックさせ、クライアントに還元するという好循環が生まれました。実装領域もアドバイザリー領域も相乗効果で成長できています。
また、対外的な面でも大きな成長がありました。
経営層の方々は、実務にも精通し、勘所も分かってらっしゃる。私たち自身も実務を深く経験することで、彼らとの「対話力」に相当な厚みが生まれました。
Q.「対話力」とは具体的にはどういったものでしょうか?
A.私はデロイト トーマツ グループのイノベーション創発プラットフォーム「Deloitte Greenhouse」の責任者を務めています。
一例を挙げると、経営者の方に1人でお越しいただいて、そこにデロイト トーマツのパートナーが4~5人で終日一緒になって対話をし、その方のアジェンダを明確にするプログラムです。
そこで私たちに求められる役割は「経営者に近い存在」であるということ。もちろん、ビジネスの中には多様な課題があり、外部アドバイザーへの依頼は多岐にわたります。
しかし、経営層の皆さんが一番悩んでいるところ――もしかしたら課題が顕在化していないところから対話をはじめ、一緒にアジェンダを作り上げ、戦略づくりや解決のための実装までつないでいく。そういったニーズに応えられる「対話力」がぐっと増しました。
Q.確かに経営層の方々が課題や解決方法が明確であれば、自身で解決できるかもしれません。
A.もちろんそういった課題の解決にもアドバイザリー、そして実装まで対応してまいりますが、まだ見えていない部分を共に思いをぶつけ合い、見いだしていくということこそがコンサルタントの本質ではないでしょうか。
Q.実装部分も見えているからこそ、DTCにしか出せない「問い」もあるということでしょうか。
A.まさにそうです。
そして、この「問い」を通じてプロフェッショナルとしての自身の成長も実現できます。
私自身はM&Aのバックグラウンドがあり、オファリング側では専門家チームを束ねるという経験してきました。
しかし、自分自身のコンサルタントとしての成長の約8割は、10年以上誠心誠意お付き合いをさせて頂いている経営層の方々によって得られたと感じています。彼らの期待に応えたいという思いがあるから、自分の専門領域を超えて成長できる。実はこれがDTCの最大の魅力でもあり強みとも言えるかもしれません。
Q.自身の目指す成長イメージを超える成長が期待できるということでしょうか?
A.例えば自分の専門領域で頂点を目指すイメージは持ちやすいですよね。私自身も最初はそうでした。プロダクトアウトやサイロの中で頂点を目指すことは、最初の基軸として当然あってしかるべきです。
しかし、それを乗り越えた先は経営層との対話を通じ、期待に応えていくことでしか成長はないかもしれません。
個々の専門家としての成長はもちろんですが、クライアントの期待に応えることで、その先にある高みを目指せる。
これこそがDTCの魅力です。
Q.社会課題に対する取り組みも積極的です。
A.日本だけでなく世界で社会課題は山積みです。
そのために私たちはビジネスの垣根を越えて、組織横断でコミュニティを形成し、世に問うていく姿勢を崩しません。
産官学のステークホルダーと共に未来予測や提言を行うことで、社会のあるべき姿を問い、変革を推進する力を磨き上げています。
だからこそ、俯瞰した視点で10年先の未来を予測し、バックキャスティングでクライアントが今取るべき打ち手を幾筋も検討し、経営層との対話を通じて方針を策定する。
収益化部分では長い時間がかかりますが、これも私たちにしかできない重要な仕事と捉えています。
Q.神山さんはDTCに新卒で入社され、現在に至ります。転職が多いといわれるプロフェッショナルファームでは珍しいのは?
A.そうかもしれません。
しかし、クライアントである経営層はいわば経営のプロフェッショナル。
その方々に対する「問い」を練り上げるための時間としては短いくらいでしょう。
デロイト トーマツには長期的視点で人を丁寧に育てるカルチャーがあります。
私も新卒当時はさまざまなキャリアを歩まれてきた先輩たちにたくさん教わりました。DTCに興味を持ってくれた新卒・キャリアの方々には、デロイト トーマツは個々人の強みを生かしながら、グローバルネットワークの多様なプロフェッショナルと共に高めあい、その成果をクライアントに提供して社会にインパクトを与えられる場ですとお伝えしたいですね。
ご一緒に仕事ができることを楽しみにお待ちしています。
「コンサルテイティブビジネス」が橋渡し役としてプロフェッショナルの連携を加速、社会に対してより大きなインパクトを与えていく
代表執行役:長川 知太郎
Q.2024年6月からこれまでのコンサルティング、リスクアドバイザリー、ファイナンシャルアドバイザリーの事業区分を統合した「コンサルテイティブビジネス」が新設されました。狙いはどこにありますか?
A.複雑で多様化するクライアントの課題に対し、国内外のベストメンバーがワンストップで迅速に、クライアントの期待値を超えるサービスを提供する体制を一層強化する狙いがあります。
これまでコンサルティングという領域には、DTCが提供するコンサルティングもあれば、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社(DTRA)やデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)のコンサルティングもあり、クライアントからするとどの扉を叩けばいいのか分かりづらいというお声もありました。そこで「コンサルテイティブ」という大きな傘をかけて、これまで以上に一丸となって課題解決の構想から実装・運用までより統合的なサービス提供を目指します。
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コンサルテイティブビジネスについて
Q.これまでもデロイト トーマツ グループはMDM(Multi-Disciplinary Model=グループが有する多岐にわたる知見やサービスを融合し独自の価値を生み出す戦略)を推進してきました。
A.コンサルテイティブにより、まさにMDMをより強く推進できる体制になります。
組織の壁が取り払われることで、人の流動性・交流度合いも高まり、クライアントに対してベストな布陣で向き合えるようになります。
Q.今現在(2024年6月)は、それぞれの法人格はそのままに、コンサルテイティブがつないでいくということでしょうか。
A.はい。
「組織」ではなく、「人」起点でベストなチームを築き、プロジェクトに迅速かつより深い専門性を掛け合わせて向き合えたらクライアントも喜んでいただけるのではないでしょうか。
そして、私はそこからさらに一歩進めて、クライアントに対してプロジェクトを組成する前、つまり提言の段階からこの取り組みをしていきたいとも考えています。
Q.スピードアップするからこそ、これまで以上に先んじて動けるというわけですね。
A.さまざまなプロフェッショナルの混成チームになることで、自分とは異なる専門家たちの取り組みを必然、目の当たりにします。
それによって知らなかった世界に対する好奇心であるとか、共通性を見出すことで新たな発見・成長への機会が生まれることも期待できます。いわゆる特化型のファームでは得られない異なるプロフェッショナルとの繋がりで生まれる自己成長です。
もちろん、社内協業のスピードや連携のスピードが上がり、クオリティも高まれば当然クライアントの満足度もあがります。
神山も話していますが、この体制もすべては「For the Client」です。
Q.長川さんはデロイト トーマツ グループのCOOとして、Well-being推進の担当執行役も経験されてきました。
A.当時から私の最終的な理想として、デロイト トーマツ グループのメンバー全員が、ひとり残らず誰に忖度することもなく「自分は素晴らしい人生と素晴らしい時間を生きている」であるとか「自分らしい人生を表現できている」と心の底から思えるような状態を作っていきたいと公言してきました。コンサルテイティブの新設は、この理想実現のためでもあります。
Q.「人」起点の考え方の源流もそこにあるのですね。
A.なぜデロイト トーマツにいつづけるのか?それは人を丁寧に育てるカルチャーがあったからです。それがなければ、今の私はいないでしょう。
クライアントに提言をしていくためには、時にはクライアント以上にクライアントを理解する必要もあります。
これはまさに「プロフェッショナルの極み」というべきもの。そこに至るまでには、当たり前ですが時間がかかります。
デロイト トーマツはそれを理解して丁寧に人を育てていく。
その信念は今も昔も変わりません。
それによってクライアントにも信頼していただき、10年、20年とお付き合いしていける――私自身もそのカルチャーの中で成長することができました。
「恩送り」ではありませんが、私よりも若い世代、そしてこれからやってくる人たちにも同じような思いをしてもらいたいという気持ちです。
Q.まさに人生を共にするような関係性ですね。
A.胸張って「私のライフタイムクライアントです」と言えるクライアントを持つ人を増やしていきたいですね。私も神山もそういったクライアントが存在し、それによって成長できました。この体験を皆さんにも味わっていただくためにも、コンサルテイティブが汗をかきます。例えばセクターのリーダーがその業界が5年後、10年後どのように変わっていくのかを予測します。
それに向けて私たちが組織の枠組みを超えてチーム組成を検討し、新しいアジェンダを生み出し、リーダーに提案する。リーダーはそれを基に経営層とのリレーションを築いていくことが可能となります。
これにより、リーダーはクライアントに対して広範囲な支援が可能となり、信頼獲得にもつながり、関係性の向上が期待できます。
Q.実現のためには、DTCやDTRA、DTFAとのいわば内部における信頼関係も重要となりそうです。
A.この新体制は DTCの神山をはじめ各事業法人リーダーと連携がしっかりできているからこそ実現可能です。彼らとは仕事も共にやってきた仲間であり、人を丁寧に育て、社会に対してインパクトを与えていこうという思いを共通して持つ同志でもあります。この想いに共感いただける方、ぜひ私たちと共にデロイト トーマツで未来を切り拓いていきましょう。