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地方公会計はどんな仕組み?
地方公会計の内容を知ろう
地方公会計を担当する中で、なぜ地方公会計の財務書類を作る必要があるのか?という疑問を持たれる方もおられるかと思います。今回は、地方公会計の整備の目的やその経緯について説明します
(1)地方公会計の整備
総務省より平成27年1月に「統一的な基準による地方公会計マニュアル」が公表されるとともに、総務大臣より各地方公共団体に「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」が通知されました。通知において、平成27年度から平成29年度までの3年間で、すべての地方公共団体において統一的な基準による地方公会計を整備するよう各地方公共団体に要請されています。
【参照】総務省「地方公会計の整備」(外部サイト)
(2)地方公会計の意義
先述の総務大臣通知において、『人口減少・少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体の限られた財源を「賢く使う」取組を行うこと』は極めて重要とされています。
この限られた財源を「賢く使う」ためには、現金主義・単式簿記だけでは見えにくいコスト情報・ストック情報の見える化と財政マネジメント等への活用が有効であり、現金主義・単式簿記による予算・決算制度を補完するものとして、財務書類(貸借対照表・行政コスト計算書・純資産変動計算書及び資金収支計算書等)の開示が推進されています。(「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和元年8月改訂)」(以下、マニュアル)3ページ)
こうした発生主義・複式簿記による財務書類の作成、開示により、地方公共団体の厳しい財政状況の中で、財政の透明性を高め、住民に対する説明責任をより適切に果たすとともに、財政の効率化・適正化を図ることが期待されています。
(出典:「統一的な基準による地方公会計マニュアル(令和元年8月改訂)」3ページ)
(3)地方公会計整備の取組と今後の活用
マニュアル4ページから5ページにおいて、これまでの地方公会計の取組が紹介されています。
- 平成12年及び平成13年に、決算統計データを活用した普通会計のバランスシート、行政コスト計算書のモデル(総務省方式)が示される。
- 平成18年に、複式簿記の導入と固定資産台帳の前提とした「基準モデル」と、総務省方式に固定資産台帳の段階的整備を盛り込んだ「総務省方式改訂モデル」が示される。
- 平成22年から「今後の地方公会計の推進に関する研究会」が開催され、平成26年度にとりまとめられた同研究会報告書において、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準が示される。
- 平成27年度から平成29年度までの3年間で、すべての地方公共団体において統一的な基準による地方公会計を整備するよう、総務省から各地方公共団体に要請される。
今後は、固定資産台帳及び財務書類が適切に更新され、分かりやすく開示されるとともに、経年比較や類似団体間比較、財務書類の数値から得られる指標を用いた分析等を行い、資産管理や予算編成、行政評価等に活用することが期待されています。
なお、地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)において、「例えば外部の事業者に財務書類の作成を委託するのみで、自団体の財務書類の内容の理解が不足していたり、チェック体制が確立されていないような状況では、住民や議会等の利害関係者の期待に資する情報を適切に提供できていない懸念が生じる。」とあります。
財務書類の分かりやすい開示や地方公会計の活用を見据えた場合、まずは自団体で財務書類を作成する体制やチェックする体制を整えることが重要です。
今後の記事で財務書類の作成に関するエッセンスをお伝えしますが、1つ1つの内容は決して難しいものではなく、また別表のような形で情報を容易に取りまとめられるシートなどもありますので、各団体において財務書類を作成する風土を培うことが重要であると考えます。
次の記事
以上
地方公会計に関するコンテンツ
【地方公会計に関するコンテンツまとめ】
これまでに配信している以下のコンテンツ集を上記サイトにまとめています。
- 特集 公会計を今よりちょっと先に進める方法
- 特集 5分で理解!地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)
- 統一的な基準による財務書類の作成状況等に関する調査結果について
- 地方公会計の概要
- シリーズ5分で理解!公会計の財務書類
- シリーズ5分で理解!公会計の固定資産台帳
【地方公会計の概要(本シリーズ)に関するコンテンツ】