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補てん財源とは?

公営企業の制度・会計制度シリーズ(7)

公営企業では収益的収支と資本的収支の予算に区分されます。資本的収支予算は、建設改良費、企業債の償還が主な支出であり、支出が収入を上回ることが多くみられます。このとき予算の執行段階で資金の不足がないように、裏付ける財源を補てん財源といいます。

1.補てん財源とは

公営企業の予算制度は、収益的収支予算(3条予算)と資本的収支予算(4条予算)の2つに区分されています。そのうち、4条予算は、建設改良費、企業債の償還が主な支出であり、建設改良費は補助金、企業債が財源となりますが、企業債の償還は利益積立金等の留保資金で返済することが想定されていますので、多くの場合、4条予算の支出は、その財源である4条予算の収入を上回ることとなります。
しかし、実際に予算を執行する段階で資金が不足することがないように、予算の策定に当たり4条収支の不足額について、資金的裏付けがあることを説明する必要があり、その裏付けとなる財源を補てん財源といいます。

2.補てん財源の種類

補てん財源は4条支出の財源として、企業内に資金が留保されている必要があります。また、予算書及び決算書では、4条予算の欄外に、4条収支不足額に対して、使用した補てん財源の種類や使用額を記載することとされていますので、補てん財源の種類や金額を把握し、適切に管理する必要があります。
補てん財源の種類は以下のとおりです。

(1)消費税及び地方消費税資本的収支調整額

公営企業の予算書は税込金額で作成されますが、公営企業は原則として消費税及び地方消費税(消費税等)の最終負担者ではありませんので、消費税等に相当する金額を調整する必要があります。この調整額を消費税及び地方消費税資本的収支調整額といいます。
多くの場合、4条予算は支出の方が多いことから、消費税も仮払消費税の方が仮受消費税よりも多くなり、還付(又は納付額の削減)効果があるため、税込みの4条収支不足額の財源になります。
消費税及び地方消費税資本的収支調整額は、収益的収支から計算する方法、又は資本的収支から計算する方法の2つがあり、その計算結果は必ず一致します。

【資本的収支からの計算方法】
資本的収支に係る仮払消費税等-資本的収支に係る仮受消費税等
※なお、特定収入に係る控除対象外消費税等や非課税売上見合いの課税仕入税額が含まれている場合は、これらの金額を資本的収支に係る仮払消費税等から控除します。

【収益的収支からの計算方法】
税込当期純利益-税抜当期純利益-当年度購入した貯蔵品に係る仮払消費税等
※なお、当年度購入した貯蔵品に非課税売上見合いの課税仕入税額が含まれている場合は、当年度購入した貯蔵品に係る仮払消費税等から控除します。

また、過年度の消費税及び地方消費税資本的収支調整額で、いまだ補填財源として使用していないものがあれば、当年度の補てん財源として使用することができます。 

(2)損益勘定留保資金

3条予算には、企業の適切な期間損益を算定するため、支出を伴わない費用が含まれます。そのため、当期純利益がゼロであっても、支出を伴わない費用の見合いとして収受した料金等により企業内には資金が残ることになります。このような資金を損益勘定留保資金といいます。
具体例としては、減価償却費や資産減耗費(固定資産除却損)など、非資金費用といわれる科目が挙げられます。
一方で、償却資産の取得又は改良に伴い交付される補助金、一般会計補助金等の4条収入については、交付を受けた年度に長期前受金に計上され、減価償却見合い分を長期前受金戻入として収益に計上します。この長期前受金戻入は、資金の流入を伴わない収益となりますので、当年度損益勘定留保資金の計算上は、減価償却費から控除します。
なお、過年度に発生した損益勘定留保資金で、使用していない補てん財源がある場合には、当年度の補填財源として使用することができます。

【損益勘定留保資金】
非資金支出(減価償却費等)-非資金収入(長期前受金戻入) 

(3)積立金

減債積立金、建設改良積立金など、資本的支出に充当するための積立金は、当年度取り崩す予定額を補てん財源として使用することができます。
取り崩された積立金は、資金の裏づけのないもの(既に固定資産購入等に充てられたもの)として未処分利益剰余金に含まれますので、積立金の目的使用により未処分利益剰余金に振替えられた場合には、補てん財源として使用することができませんので留意が必要です。
また、利益積立金、災害準備積立金など、収益的支出に充当するための積立金は、資本的収支を補てんするためには使用することはできません。 

(4)引継金、引継貯蔵品

地方公営企業法の適用時に現金、貯蔵品として引き継いだもののうち、資本的支出の財源として充当できるものは、引継金、引継貯蔵品として使用することができます。

その他、繰越工事資金、利益剰余金処分額についても補てん財源として使用することができます。

3.補てん財源の使用の順序

補てん財源が複数ある場合については特段の規定はありませんが、行政実例には以下のように記載されています。
・過年度分損益勘定留保資金と当年度分損益勘定留保資金がある場合には、まず前者を使用する(昭和34年1月16日)
・損益勘定留保資金と当年度利益剰余金処分額がある場合には、まず前者から使用する(昭和33年3月19日)
・企業債の元金償還財源には、減債積立金を第一義的に使用す(昭和33年5月7日)

したがって、一般的には以下の順序で使用することが適切であるとされています。

(1)繰越工事資金もしくは引継金、引継貯蔵品
(2)消費税及び地方消費税資本的収支調整額
(3)損益勘定留保資金
(4)利益剰余金処分額もしくは積立金

 

4.補てん財源の管理

4条予算の欄外では、使用した補てん財源の内訳を記載しますので、補てん財源の種類や金額を正しく把握する必要があります。そのため、補てん財源経過表を作成し、補てん財源が正しく計算されていることを確認する事例が多くみられます。

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