最新動向/市場予測

ハードランディング論再び?:米国経済を巡るリスクの点検/利上げは着実かつ慎重に:日本銀行の金融政策 他

リスクインテリジェンス メールマガジン Vol.109(2024年8月)

リスクの概観と金融規制の動向に係る概観について、留意すべき特徴点を炙り出すと同時に、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 リスク管理戦略センターが考える意見も発信いたします。

リスクの概観(トレンド&トピックス)

ハードランディング論再び?:米国経済を巡るリスクの点検

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
リスク管理戦略センター
マネージングディレクター
廣島 鉄也 

7月末から8月の初めにかけて、グローバル市場が極めて大きな変動を示した。米国では、景気減速への警戒感がくすぶっているところに、弱めの製造業の活動指標や雇用統計が続いたことで、一気に景気後退懸念が強まった。また、日本銀行が7月の金融政策決定会合で短期金利を0.25%に引き上げると同時に、物価の上振れリスクへの言及や、経済物価が見通し通りに推移すれば金利のさらなる引き上げを行うとの情報発信をし、為替相場の急変動、投資家のポジション調整につながった。この内、一連の米国の経済指標は、弱めではあったものの、非連続的に景気が落ち込むことを示唆するものではなかった。また日本銀行の情報発信は、その後、「金融資本市場の急激な変動が見られるもとで、極めて緩和的な金融環境によって、経済を支えていく」とのトーンに転換した。これらを受け、市場は比較的短期間で、一定の落ち着きを取り戻したように見える。

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マクロ経済の動向(トレンド&トピックス)

利上げは着実かつ慎重に:日本銀行の金融政策

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
リスク管理戦略センター
マネージングディレクター
勝藤 史郎

日本銀行の、7月金融政策決定会合における利上げ決定(無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.25%程度に引き上げ)は、10月追加利上げを予想していた当方にとってもサプライズであり、市場でも直後に株価急落や急激な円高の進行がみられた。しかし、当方では今後も日本銀行は1%程度の中立金利に向けて、着実にかつ慎重なペースで利上げを継続すると見る。次回の利上げは12月、その後は半年に1度程度のペースを予想する。このように考える背景は以下の通り、経済のファンダメンタルズやインフレ構造に照らして、日本経済はいま継続的な金利引き上げが十分に正当化されると考えるためである。

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金融規制の動向(トレンド&トピックス)

暗号資産に関するプルーデンス規制の枠組み:自己資本規制と開示における取扱い

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
ファイナンシャルサービシーズ
楠田 祥也

銀行の暗号資産エクスポージャーに関するプルーデンス規制の枠組みの整備が進んでいる。近年の暗号資産や関連サービスの拡大は金融システムや銀行の健全性にリスクをもたらす可能性があり、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は2019年以降、関連する国際基準の策定に取り組んできた。本稿では、これまでにBCBSが公表した最終規則文書等をもとに、特に自己資本規制と開示における暗号資産の取扱いを概観した上で、本邦銀行への潜在的な影響を検討する。

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リスクインテリジェンス メールマガジン

グローバルな視点からみた、企業経営上の様々なリスクをチェックするリスクインテリジェンス メールマガジン(グローバル・リスク・ウォッチ)では、毎月、過去一ヶ月間に起きた事象を振り返りながら、事業リスクという視点から、多くの金融機関や事業法人が留意すべき特徴点を炙り出します。同時に、様々なリスク管理や金融規制上のトピックに関し、デロイト トーマツ グループの一員であるデロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 リスク管理戦略センターが考える意見も発信していきます。

 

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