構造変化の顕在化:半導体市場/株高が崩れる時 他 ブックマークが追加されました
最新動向/市場予測
構造変化の顕在化:半導体市場/株高が崩れる時 他
リスクインテリジェンス メールマガジン Vol.67(2021年2月)
リスクの概観と金融規制の動向に係る概観について、留意すべき特徴点を炙り出すと同時に、有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信いたします。
リスクの概観(トレンド&トピックス)
構造変化の顕在化:半導体市場
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
ディレクター
勝藤 史郎
国家間協調の後退や新型コロナウイルス感染症により、グローバル経済・社会に構造的な変化が起きる可能性は、2020年5月、6月の本レポートで提示していたところである。コロナショック当初の混乱から経済・社会が安定した回復軌道に入る中で、構造変化の徴と考えられる事象が目立ち始めている。
昨今の半導体不足は、国家間協調の後退と新型コロナ感染症がもたらす構造変化の顕れといえる。グローバルな半導体不足は、米国の中国IT企業への制裁による供給減と、新型コロナ感染所による社会生活の変化に伴う需要増との同時発生に起因する。中国では、米国からの設備や材料の調達ルートが遮断されたことで半導体生産が大きな打撃を受けている。代わって半導体の代替調達先として台湾への発注が急増、台湾の半導体メーカーの株式時価総額は世界の同業他社比で第1位に躍り出ている。それでも世界の需要に供給が追い付かず、諸国の自動車製造業は一時的な生産縮小に追い込まれている。新型コロナ感染症以前から、いわゆるチャイナ・リスク回避のために、海外企業の中には生産拠点を中国から台湾やベトナムなどの他国にシフトする動きがあった。この動きが、米中対立や新型コロナ感染症によりさらに進行したといえる。
マクロ経済の動向(トレンド&トピックス)
株高が崩れる時
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネジャー
市川 雄介
日経平均が3万円の大台を突破するなど、振れを伴いがらも株価は上昇基調を続けている。この上昇トレンドはいつまで続き、何によって崩れるのだろうか。
まず、株価の割高感を評価してみよう。企業収益が最終的には実体経済によって規定されることを踏まえ、マクロ的な観点から時価総額の名目GDP比をみると、足許では2000年代半ばのリーマン・ショック前夜の水準を上回り、平成バブルのピーク時に近づきつつあることがわかる。一方、本欄でも度々指摘してきた過剰流動性を勘案し、市中に出回っているマネー(マネーストック統計のM2。家計や企業などが保有する現預金)と時価総額とを比較すると、違った姿が見えてくる。平成バブル時は、マネーを考慮しても株価は上振れしており、根拠の薄い期待によって押し上げられていたことがうかがわれるが、足許では2000年代半ばよりも低い水準にとどまるなど、それほど割高感は見られない。したがって、実体経済との対比で株価が上振れているのは確かだが、平成バブル期のように期待だけで上昇を続けているわけではなく、世界的な金融緩和を前提にすれば足許の株価はある程度正当化できると言える。
金融規制の動向(トレンド&トピックス)
チェンジメーカーとしての中央銀行デジタル通貨~デジタルユーロの可能性
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
シニアマネジャー
対木さおり
2021年はデジタル化の動きが加速する中で、各国の中央銀行のデジタル通貨(CBDC)に関する研究・実験も大幅に増加する見込みだ。こうした中、BIS(国際決済銀行)は1月にCBDCに関する各国中央銀行の取り組み状況の調査結果をとりまとめた「Ready, steady, go? – 中央銀行デジタル通貨に関する第三回サーベイ結果」を公表。2020年時点で65中央銀行のうち86%の中央銀行が、ホールセール/リテールのCBDCに関する何らかの研究・検討を行っている結果となった。そのうち14%の中央銀行はパイロットプロジェクトの段階まで進んでいる状況である。
CBDCといえば、2020年10月には、7中央銀行とBISにより報告書が出され、CBDCに係る原則などの基本方針が公表済み。もっとも、実証実験を大都市で実施している中国や、リテールCBDCであるバコン導入が開始されたカンボジアなどを除けば、現実の仕様などが公表されている事例は少ない。ただし、BISサーベイの通り、各国での論点上の検討は進んでおり、今回は、網羅的な論点をカバーしているECB(欧州中央銀行)のデジタルユーロ報告書を紹介してみよう。
講演情報
【外部講演】
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リスクインテリジェンス メールマガジン
グローバルな視点からみた、企業経営上の様々なリスクをチェックするリスクインテリジェンス メールマガジン(グローバル・リスク・ウォッチ)では、毎月、過去一ヶ月間に起きた事象を振り返りながら、事業リスクという視点から、多くの金融機関や事業法人が留意すべき特徴点を炙り出します。同時に、様々なリスク管理や金融規制上のトピックに関し、デロイト トーマツ グループの一員である有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信していきます。
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