最新動向/市場予測

エネルギー不足に見る脱炭素化へのハードル/地政学的危機による世界経済への影響

リスクインテリジェンス メールマガジン Vol.80(2022年3月)

リスクの概観と金融規制の動向に係る概観について、留意すべき特徴点を炙り出すと同時に、有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信いたします。

リスクの概観(トレンド&トピックス)

エネルギー不足に見る脱炭素化へのハードル

有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネージングディレクター
勝藤 史郎
 

2021年11月の当レポートで指摘した、脱炭素化の過程でのエネルギー価格高騰リスクが顕在化しつつある。昨年11月のレポートで述べたのは「化石燃料の供給が低減する一方、再生可能エネルギーの供給もしくはその利用態勢が十分でない状況で、エネルギー需給バランスが外的要因などで大きく変動した場合に、エネルギー価格高騰やエネルギー不足が長期化して経済に著しい悪影響を与えるリスク」である。脱炭素化目標達成に向け、一部のグローバル大手石油会社は既に原油生産と設備投資の縮小計画を公表している。中東の産油国の中でもサウジアラビアは昨年10月に、2060年までのカーボンニュートラルを達成する計画を公表済である。こうして原油をはじめとする化石燃料の生産能力が削減されつつある中で、外的ショックにより原油供給に大きな制約が生じると、エネルギー価格の高騰やエネルギー不足によりグローバル経済に大きな影響を与える。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーショックはこのリスクが早くも顕在化している例と言える。

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マクロ経済の動向(トレンド&トピックス)

地政学的危機による世界経済への影響

有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネジャー
市川 雄介

地政学リスクの顕在化を受け、世界経済は大きな下押し圧力に直面している。大まかに整理すれば、ロシアのウクライナ侵攻と西側諸国による制裁発動は、(1)エネルギー等の商品市況高による内需の悪化、(2)供給網の混乱に伴う生産活動の下押し、(3)不確実性の拡大による設備投資等の減少、(4)以上の結果としての世界貿易の収縮、といった経路を通じて世界各国に影響を与えることとなろう。

このうち、目先明確に顕在化しやすいのが(1)の影響である。3月入り後は原油価格だけでなく、穀物価格、産業用金属価格も全面的に上昇した。米欧各国のインフレ率(消費者物価)は原油価格が本格的に騰勢を強める前の2月時点で上振れが続いたほか、日本でも2月の企業物価は歴史的な伸びを記録しており、今般の危機がなくとも各国は物価高による内需の下振れリスクが高まっていた状況だった。そこに足許の商品市況高が加わることで、家計の実質所得の低下と言った内需への悪影響は一段と拡大せざるを得ない。

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グローバルな視点からみた、企業経営上の様々なリスクをチェックするリスクインテリジェンス メールマガジン(グローバル・リスク・ウォッチ)では、毎月、過去一ヶ月間に起きた事象を振り返りながら、事業リスクという視点から、多くの金融機関や事業法人が留意すべき特徴点を炙り出します。同時に、様々なリスク管理や金融規制上のトピックに関し、デロイト トーマツ グループの一員である有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信していきます。

 

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