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「事例に学ぶ地方公営企業の経営改革」セミナー開催報告

経営戦略改定・ビジョン策定と広域化・料金改定の一体推進について

有限責任監査法人トーマツは、2023年7月5日に「【事例に学ぶ】地方公営企業の経営改革」をオンラインで開催いたしました。本ページでは、講演内容のポイントをご紹介いたします。

本セミナーでは、地方公営企業が抱える様々な経営課題や解決策について、国の最新動向や全国各地の幅広い公営企業に対する直近の支援実績を踏まえた解説や、経営戦略の改定及びビジョン策定、料金改定や広域化、DX推進のポイントを紹介いたしました。
また、令和5年4月に事業統合を行った田川広域水道企業団のご担当者様をお招きし、広域化を進める上で直面した課題を中心に、当企業団の事業統合を支援した当法人の公認会計士と意見交換を行いました。
 

第1部「DX推進時代における公営企業の経営改革」

有限責任監査法人トーマツ パートナー 小室 将雄

第1部では、今後の急激な人口減少と人口の低密度化、収益が伸びない中でのインフラ資産の大規模更新時期の到来といった経営環境の変化が見込まれる中、公営企業に求められている「活力ある持続可能な地域社会」を実現するため、自治体におけるDX推進の意義や地方公営企業の改革について解説しました。ポイントは以下の通りです。

 

【ポイント】
  1. 持続可能な経営の確保に資するDXの取組を推進するため、人材面での支援、先進的な事例の周知、現行制度の周知を実施する
  2. 経営環境の変化に対応するためには、賢い投資と抜本的な改革の検討が求められている
  3. 持続可能な経営基盤の構築のためにも、企業会計情報の活用が重要である
  4. DX推進にあたっては、現存の業務にシステム等を導入するだけではなく、業務自体の効率化・高度化を図り改革することが重要である

 

 

第2部「経営戦略改定・料金改定のポイント」

有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 鈴木 識都

第2部では、令和4年1月に公表された「経営戦略策定・改定マニュアル」の改定ポイント、経営戦略の改定の具体的な進め方についてご紹介しました。ポイントは以下の通りです。

【ポイント】
  1. 経営戦略では持続可能な経営を行うために投資だけではなく財源にも着目する必要がある
  2. 持続的な事業運営には、毎年度の自己検証(モニタリング)や定期的な見直し(ローリング)が必要である
  3. 事業報告書に記載している「経営指標に関する事項」と関連させながら毎年度モニタリングを行うことが重要である
  4. 住民や利用者の理解を深めるため、経営戦略改定時に経営基本方針や料金水準等の説明を充実させることが重要である
  5. 経営環境の変化や各種課題への取り組みを適時に経営戦略に反映することが重要である
  6. 料金改定の検討については、あるべき料金体系を検討し、計画的・段階的に進めていくことがポイントである

また、「経営戦略策定・改定マニュアル」の改定については、下記の記事をご参照ください。

 

第3部「経営改善・抜本的改革の効果的な進め方」

有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 井谷 裕介

第3部では、官民連携、広域化、DX推進等の経営改革について先進事例を踏まえた具体的な検討の進め方、DXを推進する際に重要となる3つの視点(『BPR』、『広域化』、『人材育成』)について紹介いたしました。ポイントは以下の通りです。

 

【ポイント】
  1. 課題の重要性、優先順位を踏まえたうえで、経営戦略を通じて継続的な経営改善を実行していくことが重要である
  2. 官民連携においては、先行事例から事業化パターンや事業手法、民間事業者の業務範囲等を整理していくことがポイントとなる
  3. 広域化については広域化推進プラン等をふまえ、実行フェーズに移行していくこととなるが、実行においては、DXも含めた新たな枠組みも検討していくことが重要である
  4. 公営企業においてもDXは求められており、課題の把握からソリューション(技術)の導入までをステップを踏みながら検討していくことが考えられる
  5. 持続的な経営を可能とするためには、長期的なコスト削減のみならず、業務整理や自動化による時間の確保、経営に資する情報を入手することで、「考える経営」を実現する必要がある

 

 

第4部「【特別対談】経営戦略改定・ビジョン策定と広域化・料金改定の一体推進について」

田川広域水道企業団 事務局長 木戸 信博 氏
田川広域水道企業団 経営企画課課長 大友 彰一郎 氏
有限責任監査法人トーマツ パートナー 小室 将雄
有限責任監査法人トーマツ マネジャー 藤巻 祐輔

第4部では、田川広域水道企業団事務局長の木戸信博様と経営企画課課長大友彰一郎様をお招きし、経営戦略改定及びビジョン策定、広域化や料金改定の推進等について、有限責任監査法人トーマツの公認会計士の小室将雄、藤巻祐輔との対談を実施いたしました。ポイントは以下の通りです。

 

【対談のポイント】
  1. 首長の意思決定については、職員でとりまとめた基本構想をもとに協議が進められた。統合への課題を既に把握していたため、首長間の合意はスムーズであった
  2. 一般的に小さな団体ほど統合メリットが大きく、大きな団体はメリットが小さい。1市3町の中で人口が多い田川市議会の理解を得ることが大変だったが、調査特別委員会にて審議がなされ真摯に対応したのが重要なポイントであった
  3. 先に水道ビジョン、経営戦略の策定を行い、そこに記載された投資財政計画をもとに、料金改定の検討を実施した
  4. 基本方針の実現方策について、数値の分析だけでなく、アンケートやヒアリングで利用者目線の課題をとりあげた
  5. 水道料金統一について、各市町の水道料金体系が異なっていたことから、客観的な分析に基づくものにするため、専門性の高い委託業者のアドバイスを受け、負担ができる限り公平になるような料金体系を設定した
  6. 規模の小さい団体ほど、現状のままでは経営が厳しくなるため、広域化は大きな役割を果たすと考えている。今後、料金徴収や会計事務共同化等のソフト統合が進むと想定している

 

 

最後に

本セミナーには、多くの地方公共団体の公営企業ご担当の皆様にご参加いただき、活発なセミナー中の質疑応答や講演後のアンケートにおける前向きなご回答など、皆さまの関心の高さを窺うことができました。公務ご多忙の中、ご登壇いただきました田川広域水道企業団事務局長の木戸信博様と経営企画課課長大友彰一郎様に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。なお、田川広域水道企業団の取り組みにつきましては、セミナー中にご紹介しました通り、総務省の「公営企業の持続可能な経営の確保に向けた先進・優良事例集」(令和5年3月)に掲載されるとともに、2023年7月27日付けで総務大臣表彰を受賞されています。

また、アンケート回答特典として、ご希望のあった団体につきまして、デロイト トーマツが独自開発したBIツール(※)を用いた「計画策定機能」「財務分析機能」を体験いただきました。
※ 公営企業経営力向上支援ツール

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※お問い合わせにつきましては、担当者よりメールにて順次回答しておりますのでお待ちくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

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