Posted: 06 Sep. 2023 5 min. read

パーパス×アートで生まれる新たなつながり ~企業の変革をアートで促進

Lead the Way Forum-未来に誇れ セッションレポート

いま、アートの可能性が広がろうとしています。 “正解”の予測が難しいVUCAの時代、企業と従業員の関係性も変わる中で、パーパスの浸透や組織変革にアートを活用する取り組みが注目されています。

2023年5月に開催した「Lead the Way Forum ―未来に誇れ」では、企業とアーティストを結び、精神的に豊かな社会を作り出そうとするコミュニティを立ち上げたForbes JAPAN Web編集長 谷本 有香さん、様々な企業・組織でオフィスアートを普及させてきた実績を持つOVER ALLs 代表取締役 赤澤 岳人さんをお迎えし、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー / Human Capital Division リーダー 岡本 努、マネージングディレクター 藤井 麻野と共にアートの可能性について、当社の事例も交えてディスカッションを行いました。本稿ではセッションのサマリをレポートします。

*本記事は、Generative AIで制作した原稿をもとに編集しています

本セッションのキーポイント
  • アートを活用した企業変革 ~デロイト トーマツ コンサルティングの事例から
  • 日本企業には「HOW」から「WOW」への変化が必要
  • アートを企業変革やビジネスに取り入れることで生まれる新たな価値

 

アートを活用した企業変革 ~デロイト トーマツ コンサルティングの事例から 

デロイト トーマツ コンサルティングは、コーポレートスローガンである「Lead the way」を浸透させるために、アートを活用した企業変革に取り組んできました。

「ちょうど2年ほど前に、本イベントのタイトルでもある『Lead the way 明日への道を共に拓く』というコーポレートスローガンを作りました。これを単にフレーズとして覚えるのではなく、理解・共感してもらい、私たちの行動変容につなげられないかと考えていたときに、岡本からOVER ALLsの赤澤さんを紹介頂き、取り組みがスタートしました」とデロイト トーマツ コンサルティングでコーポレートコミュニケーションの責任者を務める藤井 麻野さんは取り組みのきっかけについて振り返ります。

[デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネージングディレクター 藤井 麻野]

 

当時はコロナ禍ということもあって対面でのコミュニケーションが減っており、企業や組織に所属することの意義やワークスタイルが変わりつつある中で、「デロイト」に集うことの意味を問い直すきっかけになればと考えたそうです。

この取り組みは、OVER ALLsとデロイト トーマツ コンサルティングが協働し、4つのステップで進められました。まずはメンバー自らが絵筆を持って絵を描いてもらい、その上で部門毎に「Lead the way」をどのようにとらえるのかディスカッションを行いました。ディスカッションした内容をOVER ALLsでいくつかのスケッチにおこしてもらい、メンバーが意見を出し合いながら最終的には全15部門のアートが完成しました。みんなで絵を描くステップでは、役員含め何年も絵を描いていなかったメンバーも参加し、ベレー帽をかぶりながら、慣れない筆に四苦八苦しながら取り組んでいたそうです。

コーポレートスローガン「Lead the way」をカタチにする – DTCアートプロジェクト - YouTube

 

日本企業には「HOW」から「WOW」への変化が必要

では、アートを企業変革やビジネスに取り入れることには、どのような意味があるのでしょうか。Forbes JAPANでは、アートを通じた新しい価値観を追求していこうとしています。2022年にアート&ビジネス 特別号「ART AS AN ATTITUDE」を創刊したのもその試みの一つです。Forbes JAPAN Web編集長の谷本 有香さんは、
「先行きが不透明な時代、今までのロジックの積み重ねの先にあるものではなく、まったく違うところから答えを引き寄せないといけないのではないか。経営者の方々もアートに可能性を求めているように思います」と話します。

[Forbes JAPAN Web編集長 谷本 有香さんとOVER ALLs 代表取締役 赤澤 岳人さん]

 

OVER ALLs 代表取締役 赤澤 岳人さんはアートを活用したアプローチについて、「『WOW』と『HOW』という話をさせて頂くのですが、日本企業の皆さんは、『HOW』はすごく得意で、中期経営計画の立て方やKPIの達成方法はこれまでも取り組まれてこられたと思います。でもその手前にある、驚きとか感動の『WOW』を表現することはずっと封じ込められてきたと思うんですね。(デロイト トーマツ コンサルティングのアートの取り組みも)『Lead the wayというスローガンを実現する計画を出しなさい』ではなくて、感じたことを全員で表現してみようという取り組みなんです。思考法ではなくて、全員が『表現者になる』ということがアプローチのポイントなのかなと思いますね」と述べました。

デロイト トーマツ コンサルティングでHuman Capital Division リーダーを務める岡本 努さんも、「経営者の方にこうすべきではないでしょうかと論理的にご説明して、うまくいくこともありますが、いかないこともある。そのような場面に遭遇するたびに、『人はロジックでは動かない』と思う瞬間がありました。これを突破するには人の気持ちや感情が大事で、解放させる方法がないかを必死に考えていました。そんな時に赤澤さんと出会って不思議と意見が一致したのが、協働のきっかけでもあります」と語りました。

[OVER ALLs 代表取締役 赤澤 岳人さんとデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー / Human Capital Division リーダー 岡本 努]

 

各々の立場のお話から共通することは、企業変革や新たなアイデア・インスピレーションを得るには、論理だけではなく、人の感情や想像力を刺激する「WOW」が必要であること、そしてその媒介としてアートの活用が期待できるということです。

 

アートを企業変革やビジネスに取り入れることで生まれる新たな価値

デロイト トーマツ コンサルティングの取り組みでは、アートを通じてコーポレートスローガンに対する社員の共感や理解を深めるとともに、新たなコミュニケーションが生まれたそうです。

岡本さんは、「私が一番注目しているのは、アートを媒介にしたコミュニケーションです。アートそのものというより、アートを媒介に会話することで、部門長の思わぬ気持ちや、若手も偉い人の前では言いづらかった根っこの感情や気持ちを噴出させるきっかけになる。今まで一度もできなかったような会話につながっているのが一番の発見でした」と語ります。ではなぜアートを前にすると人は変わるのでしょうか。赤澤さんは、「アートを目の前にすると、それが正しい、間違っていると誰も言うことができない。でも『あれが好き』『嫌い』はみんな言えるし、それに対して誰も反論はできない。こういうコミュニケーションが実は職場でも大事だと思います」と話し、デロイト トーマツ コンサルティングのクラウド部門でディスカッションを行ったときのエピソードを紹介してくれました。

部門では、クラウドサービスの導入を支援しているため、当初導入することによるビジネス効果についてディスカッションをしていましたが、その後若手メンバーのひとりが「クラウドは『温かい』っていうイメージがあるんです」という意見を出したそうです。クラウドとiPad一つあればレジを作ることもできる。みんなの新しいチャレンジを応援するような、温かさがあるのではないかという意見に、部門のリーダーや上位メンバーも「温かさか」と共感し、感心する場面がありました。こうした瞬間が生まれるのがアートであり、みんなが表現者になって考えることができているということだと言います。

藤井さんも、「15部門で共通していたキーワードに『多様性』がありましたが、それをどのように表現するか、伝えたいこともみんな違います。男女はもちろん、世代間のギャップを表現するために子どもを描いた部門、ロボットやクジラを選んだ部門もあり、絵を媒介したコミュニケーションによってさまざまな気づきが得られました」と15部門でのエピソードを語りました。

このセッションでは、アートを活用することによって、企業変革やビジネスに新たな価値を生む可能性があることが示唆されました。最後にパネリストの皆さんから、セッションの感想や組織をけん引するリーダーの皆さんへのメッセージが伝えられました。

 

Forbes JAPAN Web編集長 谷本 有香さん:
「人的資本経営の開示が問われる中、スキルセットで人を見てしまう傾向があるが、こうした見えない部分の思いを引き出すことの大切さや、そのためにアートを通じてその人の気持ちや強みを引き出すことで、新しい価値が生まれるのではないかとワクワクしました」

 

OVER ALLs代表取締役 赤澤 岳人さん:
「『All Needs is WOW』 ということで、HOWも大事なんですが、まずはWOWを大事にして頂きたいですね。OVER ALLsとデロイトトーマツ コンサルティングは協業していますので、まずは皆さんのWOWをグッと出して、次はHOWで実行していくご支援ができるのも僕たちの強みだと思っています」

デロイト トーマツ コンサルティング パートナー / Human Capital Division リーダー 岡本 努:
「(普段のビジネスに閉塞感を感じている方は)ぜひアートを目の前にして『これは好き』『嫌い』というコミュニケーションが生まれるような工夫や仕掛けにぜひ一度チャレンジしていただきたいと思います。この好循環を一度味わえばきっと抜けられなくなると思います」 

デロイト トーマツ コンサルティング マネージングディレクター 藤井 麻野:
「このセッションを通じてアートの可能性を少しでも感じて頂けたらと思います。ただ実際に組織や企業で取り入れようとすると、始めるまでのハードルや難しさもあると思います。そういう意味では当社の事例がありますので、ぜひ参考にして頂き、色々なつながりを生んでいくきっかけになればと思います」

 

本セッションの動画や関連する情報は以下からもご覧になれます。

 

藤井 麻野/Maya Fujii

藤井 麻野/Maya Fujii

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 | モニター デロイト

製造業、金融、サービス、運輸など幅広い業種に対する戦略コンサルティングに従事。中でもサステナビリティと企業経営の融合・一体化に向けた経営戦略や新規事業の策定、ブランディング、マネジメントシステム改革などのプロジェクトを多く手掛ける。著書に『SDGsが問いかける経営の未来』(共著:日本経済新聞社)がある。 デロイト トーマツ コンサルティングのBranding&Marketing/Internal Communicationの責任者であり、モニターデロイト所属。   関連するサービス・インダストリー ・ モニター デロイト(ストラテジー) ・ CSV / Sustainability Strategy   >> オンラインフォームよりお問い合わせ