第1回 生成AIの登場と顧客接点領域への期待 ブックマークが追加されました
本連載では、顧客接点を大きく変革していくポテンシャルを持つ生成AIアバターについて、登場の背景および近未来に実現が期待されるユースケース、さらには導入に向けた考え方について、技術的な側面を抑えながら紹介していきます。第1回の本記事では、生成AIの概要に触れながら、顧客接点領域の変革への期待について解説します。
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉はあらゆる業界で取り上げられ、社内業務のデジタル化にとどまらず、デジタルを活用した新たなビジネスモデルの模索や推進に取り組んできました。ここ数年では、これらデジタル化によって蓄積されるデータに対し、AIが活用される事例が増えてきており、特に、「生成AI」が画期的な技術として注目されています。
生成AIとは、「多種多様なコンテンツを自動的に生成するAI」の総称であり、2022年にOpenAI社がリリースしたChatGPTがわずか一週間足らずで100万ユーザを獲得するという衝撃的な出来事で一気に世界中にその名が広がりました。ビジネス領域においても、生成AIの活用は個人の作業効率化にとどまらず、企業の業務システムやチャットボットへの組み込みや、対話型サービスとしてのコールセンターやカスタマーサポート等、多岐にわたる活用の可能性が示唆されています。
大手調査会社であるガートナー社が2500名以上のエグゼクティブを対象に行った調査によると、生成AIへの投資の主目的として、「顧客体験の向上」が最上位に位置づけられたという結果が報告されています(参考:Gartner Experts Answer the Top Generative AI Questions for Your Enterprise)。これは、生成AIが持つコンテンツ生成の柔軟性が、顧客との接点を大きく進化させうるポテンシャルを秘めていることの現れでもあると推測できます。また、デロイト トーマツが発表している「2024 グローバルコンタクトセンターサーベイ」においても、コンタクトセンター領域において、生成AIを導入済の企業はあらゆる観点で優れた結果を出していることを示しています(参考: 「2024 グローバルコンタクトセンターサーベイ」)。
生成AIを顧客とのコミュニケーションに活用することで、これまでは事前に用意してきたFAQや、静的なチャットボットでは対応できなかった複雑な問い合わせに対しても、動的かつ文脈に合わせた回答を行うことが可能になります。また、顧客が欲しかった情報を返すだけではなく、自然な対話の中でその顧客にパーソナライズされた内容を提案するなど、顧客に新たな気付きを与え、より高度な体験を提供することも期待されます。顧客は従来よりも短時間で正確な情報を得られ、企業側は顧客満足度の向上に直結させることができます。
生成AIの関連する活用のタイプ
次回以降は、顧客体験に革命をもたらす生成AIの活用の中でも、特に注目を浴びている「生成AIアバター」について、技術概要やビジネスユースケースの紹介、さらに組織がどのように活用していくべきかを考察します。
第1回:生成AIの登場と顧客接点領域への期待
第2回:生成AIアバターの特徴とサンプルアプリケーション
第3回: 生成AIアバターのビジネスユースケース例
第4回: 生成AIアバターを活用したサービス設計におけるポイント
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Customer Strategy Operation
マネジャー 土本 良樹
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Customer Strategy Operation
パートナー 原 裕之
製造業(B2C、B2B共に)、小売業のお客様を中心に、コマースの専門家として戦略策定・企画構想から組織、オペレーション、システムの設計・導入、更には実行・改善までをEnd to Endで支援する。また、新規事業・サービスの立案から実行までの経験も多く有する。 近年はデジタルを起点とし業界の枠を超えた新規事業創出やDX(デジタルトランスフォーメーション)、従来の流通構造を変革するD2C(Direct to Consumer)やOMOの案件を数多く手がける。 また、全世界のデロイトのネットワークと連携し…