Posted: 04 Feb. 2020 3 min. read

第9回 インサイトドリブンのためのデータ活用プロセス

【シリーズ】DXの本質:インサイトドリブン経営をめざして

「経験・勘・度胸の時代は終わり。データの時代だ」と言ったものの、インサイトドリブン経営の実現には準備が必要である。その準備とは一般的に(1)データ収集(2)データ蓄積(3)データ分析(4)意思決定――というプロセスを構築することになる。今回は各プロセスにてデータの観点から実施すべき事項を紹介する。

本稿は2019年11月27日に日経産業新聞に掲載された「戦略フォーサイト:DX発データ経営革命(9)実現へ向けた4つの準備」を一部改訂したものです。

 

まず、ビジネス課題の解決に向けて必要なデータを入手するのが「(1)データ収集」である。データの入手先は、従来は社内システムのみだったが、現在はオープンデータ、SNSなど社外のほか、IoTによりセンサー等が入手先となる事例が増加している。

集められる情報が増えていることから、各データの「要・不要」を適切に整理したうえで入手する必要がある。また、データの定義に一貫性がない、同じ質問に複数の回答が存在するデータの場合、正しい判断を導く分析ができない恐れがあるため、信頼性のあるデータを入手する必要がある。

次に分析に必要なデータを蓄積するのが「(2)データ蓄積」だ。従来は、データウエアハウスなどで蓄積する事例が多かったが、近年は多種多様なデータをそのままの形式で混在して蓄積するデータレイクを使う事例が登場している。

なお、蓄積ではデータの「鮮度」に留意すべきである。例えば、前日の売り上げデータを分析し、翌日の行動を決定する必要がある業務では、蓄積した最新データが2日前だった場合、分析結果を用いた意思決定は意味をなさない。最新データが前日となるようにデータ収集する必要がある。

「(3)データ分析」はビジネス課題に応じて統計・AI(人工知能)などの適切な手法を選択することになる。ただ、事前にデータ加工(前処理)が必要である。前処理は「時刻型データを文字列型に変える」といった初歩から、「音声データをテキストへ変換」といったAI技術を使った高度な前処理を施すこともあり、データの内容に応じて選択する必要がある。

リポートで表現された分析結果を基に決定するのが「(4)意思決定」である。従来のリポートは数字を並べた表形式が多かったが、近年はグラフなどグラフィカルに表現し、意思決定を容易にするツールが登場したこともあり、適切な表現を選ぶ必要がある。

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