Posted: 14 Feb. 2020 3 min. read

第17回 インサイトドリブン組織への変革

【シリーズ】DXの本質:インサイトドリブン経営をめざして

本連載ではDXの本質としてデータ活用の重要性とその課題に関して論じてきた。最終回ではデータから導き出されるインサイトドリブン経営を成功させる組織について触れたい。

本稿は2019年12月10日に日経産業新聞に掲載された「戦略フォーサイト:DX発データ経営革命(17)自律的に分析する組織へ」を一部改訂したものです。

 

インサイトドリブン経営をうまく進める組織では、データから得たインサイトを基に自律的に組織運営することが目指される。ゆえに各組織には高度な分析能力が求められる。

当然のことながらそうした組織は一朝一夕にはできず、段階を踏みながら構築していく必要がある。その際、重要なのが、組織に必要な要素を網羅的に検討・設計することである。デロイトのフレームワークではこれらの要素を「戦略」「人材」「プロセス」「データ」「テクノロジー」と定義している。それぞれの要素を検討するにあたってのポイントを見ていこう。

戦略面では、価値・ビジョンの設定が最も重要となる。経営・事業戦略と整合したビジョンを策定するとともに、データ活用から得たい価値を明確化する。これらが明確化されていないために最終的なゴールを見失い、頓挫するケースが非常に多い。

人材面では、テクニカルスキル(赤)とビジネススキル(青)をバランスよく持つ人材が求められる。デロイトではパープルピープル(紫人材)と呼び、このような人材を採用・育成することが重要となる。

プロセス面では、必要な業務プロセスを網羅的に検討する必要がある。日々の運用や規定類を整備することは当然だが、インサイトドリブンを浸透させていくには各組織の変革が欠かせない。各組織に対するチェンジマネジメント・コミュニケーションプロセスは特に時間をかけたい。

データ面では、多くの企業が複雑化するIT環境で深刻な課題を抱えている。データ連携に伴うコスト増加、散在するデータの品質担保など課題は様々あるが、それらを解決するためにはデータガバナンス、メタデータ管理などのデータ管理が不可欠となる。

テクノロジー面では、データの形式やボリュームに応じて最適なデータアーキテクチャーを設計する必要がある。特に各組織のユーザーが自由に分析できるセルフサービスエリアを持つことが非常に重要だ。

変化の激しいマーケットで競争を勝ち抜くには、インサイトを基にして各組織が自律的に意思決定できる「インサイトドリブン組織」の構築が必ずや鍵になるであろう。

D-NNOVATIONスペシャルサイト

社会課題の解決に向けたプロフェッショナルたちの物語や視点を発信しています

プロフェッショナル

大平 匡洋/Masahiro Ohira

大平 匡洋/Masahiro Ohira

デロイト トーマツ グループ パートナー

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 戦略策定から業務改善、IT導入に至るまで幅広いコンサルティングサービスを20年以上にわたり提供。現在はグループ内でのデータアナリティクス(データ分析による経営決定支援)領域をリードする。 関連サービス ・ アナリティクス & コグニティブ(ナレッジ・サービス一覧はこちら) >> オンラインフォームよりお問い合わせ