Posted: 04 Feb. 2020 3 min. read

第8回 データを利活用してインサイトへ

【シリーズ】DXの本質:インサイトドリブン経営をめざして

社内外のデータの分析から導出したインサイト(洞察)により意思決定する「インサイトドリブン経営」を実現するには、データやテクノロジーに加え、前回までに述べてきた戦略、組織・人材の整備が肝となる。AIやアナリティクスツールなど、テクノロジー面での発展が目覚ましい昨今では、社内外の消費者ニーズを見定め、業務部門とIT部門が一体となって、そのためのシステムをアジャイルに導入・展開・利用して新たな価値を創出し続けるプロセスを整備することが変革の成否をわける。

本稿は2019年11月26日に日経産業新聞に掲載された「戦略フォーサイト:DX発データ経営革命(8)成否わけるプロセス整備」を一部改訂したものです。

 

プロセスを整備する際には、戦略や目標に基づき、「導入」と「統制」の観点でアナリティクスの中身を定義する必要がある。これらを整えることで、経営改革が目指す姿を定め、データアナリティクスの利活用を全社的に標準化するのにもつながる。

 「導入」は、アナリティクスのユースケースの探索から継続的な意思決定、行動変革にいたるまでの一連のソリューション手順を指す。

その最初のステップとなるのが、ユースケースの探索とポートフォリオ管理の整備である。これをすることで、効果的なユースケースの選定と変革初期の実績の積み重ねが容易になる。また、導入後にユーザーが利用し、価値を創出し続けるためのトレーニング、そこから得たナレッジを次の導入に生かすナレッジ管理もあわせて整備すべきだといえる。

「統制」は、アナリティクスサービスを展開・維持するための業務や規定などを指す。まず、データのガバナンスに関する規定や手順を初期に整えるべきである。データの取り扱いに関するルールを事前に決めておくことで、コンプライアンスや情報セキュリティーへの配慮、ユーザーによるデータの利活用が容易になる。いずれも「志は大きく、スタートは小さく」を徹底し、実績を積み、インサイトドリブン経営の実現に向けて素早くスケールアップしていくために必要なプロセスである。

ただし、手戻り防止や円滑な変革推進のためにも、プロセス整備は戦略、組織・人材、プロセス、データ、テクノロジーの観点で、何ができ、何を目指し、どこから始めるのかを明確に定めてから開始すべきであり、各所と整合した設計、整備が変革の成功に向けた鍵となる。

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板倉 洋介/Yousuke Itakura

板倉 洋介/Yousuke Itakura

デロイト トーマツ グループ マネジャー

小売り、保険、製薬業を中心に、データを活用した経営変革に向けた戦略・構想の策定から実行までのコンサルティングに従事。最近はデータを選手強化やチーム運営などに活用するスポーツアナリティクスも担当。