Posted: 14 Feb. 2020 3 min. read

第16回 インサイトドリブン経営のビックバンプロジェクト推進のために

【シリーズ】DXの本質:インサイトドリブン経営をめざして

企業活動の指標はBSやPLなど財務諸表の数値をベースとすることが多い。現在の企業の姿を正しく説明してくれるが、「なぜこうなったのか(要因探索)」と「これからどうなるか(予測)」は教えてくれない。特に企業規模が大きくなるほどデータは多段階で集計され、経営トップに届くころには現場の息遣いが聞こえてくるような情報は欠落しているだろう。BSやPLだけでは説明できないこの2つのテーマを、DXによって解決しようという取り組みが「インサイトドリブン経営」そのものといえる。

本稿は2019年12月6日に日経産業新聞に掲載された「戦略フォーサイト:DX発データ経営革命(16)トップダウンで取り組む」を一部改訂したものです。

 

この経営のための情報系システムは1980年代にDecision Support System(DSS)として端を発した。以来40年、ITをめぐる環境やハードウェアが飛躍的に進化してきた。サービスや商品の差別化を図るうえでAIを含む様々なデータの活用はどのような規模の企業であれ避けて通れないだろう。

数年前に一世を風靡したデータウェアハウス(DWH)アプライアンスなどもクラウドへの移行を含めリプレイスの時期を迎えている。ことに最近ではマスタデータ・メタデータ管理やデータガバナンスなどのデータの運用メソドロジーも含めともに導入されることが多い。

これら旧来の情報系システムを最新化する取り組みが、インサイトドリブン経営のための全社的な「ビッグバンプロジェクト」と呼んでもよい規模となっている。

この推進のためにはいくつかポイントがある。1つはトップダウンでのアプローチである。システム更改などにボトムアップで取り組む場合、そのROIを示さなければならないが、具体的なコストダウン額や機会損失額を見積もることは難しい。トップダウン型で進めなければ企画段階で挫折するだろう。

もう1つはいきなり全体更新はせず、全体感をもってスモールスタートすることだ。技術の進化が速い現代では、最近話題になっている新サービスは、仕様上の制限が多かったり、サービス停止のリスクを抱えたりする。このため、PoCが非常に重要になる。

当然、IT部門が中心となるべきではあるが、マスターデータマネジメントやデータガバナンスなど、全社的な視点で取り組まなければならないことも明白であろう。

近年、IT関連の品質要求や人材調達費の高騰など導入コストを押し上げる要因が増える中、企業データの価値最大化のためにはこうした手法が有効と考える。

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