Posted: 14 Feb. 2020 3 min. read

第13回 インサイトドリブンを目指す組織がいま備えるべきプロセスとは

【シリーズ】DXの本質:インサイトドリブン経営をめざして

データ利活用を推進する際に、投資に見合う効果が得られない、個別の分析作業をこなすばかりで中長期の視点で必要な基盤整備が進んでいない、といった問題を聞くことが多い。その対策として、データを抽出・加工・分析してほしいとの要望が来てから、その結果を提供するまでの業務プロセスを策定する動きが広まっている。

本稿は2019年12月3日に日経産業新聞に掲載された「戦略フォーサイト:DX発データ経営革命(13)提供者と受益者で精査を」を一部改訂したものです。

 

データ利活用を推進する際に、投資に見合う効果が得られない、個別の分析作業をこなすばかりで中長期の視点で必要な基盤整備が進んでいない、といった問題を聞くことが多い。その対策として、データを抽出・加工・分析してほしいとの要望が来てから、その結果を提供するまでの業務プロセスを策定する動きが広まっている。

具体的には、大小様々な種類の依頼を対象とし、要望の内容を具体的に確認し、優先度を付けたうえで、実際の分析・開発作業に着手していくフローになる。このプロセスの策定における2つのポイントを紹介する。

第1に、具体的な作業に入るための「着手基準」を明確にする必要がある。例えば、結果を出すために必要なデータをそろえられる見通しが立っているか確認し、必要に応じて試作し、費やしてよい期間や工数を依頼側・受け入れ側の間であらかじめ合意しておくことが重要だ。プロジェクトの現場で、要件が曖昧なまま作業を開始してしまい、依頼者が結果に納得するまで何倍ものコストを費やしてしまうケースは多い。

第2に、着手する案件の優先度を誰が何によって判断するのか、ルールが必要である。分析を依頼するビジネス側は時にハイレベルで、いくつもの条件が前提となる難しい要請をしてしまうことがある。一方、情報システム側・データ提供者側は、今できる作業に集中してしまったり、何に活用できるのか具体化しないまま技術的な実装を進めてしまったりすることもある。

もたらす価値の高さと、実現可能性の両面で、データの提供者と受益者が話し合って着手案件を精査することが重要だ。その際には、短期で成果を上げられる案件と、中長期で整備に取り組みたい案件とを切り分けて計画を立案するのがよい。

オペレーションを現場ですり合わせ研ぎ澄ますこと、また個々の役割を超え膝を突き合わせ連携することは本来日本人が得意としているはずだ。データに対する期待は日々高まり関係者は多忙であろうが、今持っている案件や作業を一度テーブルの上に出し、データを自社の競争力の源泉に育てるために何をすべきか、またどのように成果を上げていくのがよいか、プロセスや体制をデザインする時間を十分に確保してもらいたい。

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