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最新動向/市場予測
Post-MR時代の医薬品コマーシャルモデル
シリーズ “Predictions 2020-2030” 第5回
ヘルスデータの充実や解析技術の発達により、2020-2030年の日本ではアウトカムと経済性のバランスがとれた医療行為が解明され、医療や健康管理に反映されているだろう。本稿では、製薬企業のコマーシャル活動を取り巻く環境を予測し、マーケティング機能、メディカル機能、マーケットアクセス機能の連携や現在の営業組織の変化の方向性について考察する。
Post-MR時代の医薬品コマーシャルモデル
2020-2030年の日本では、ヘルスデータの充実や解析技術の発達に伴い、アウトカムと経済性のバランスがとれた医療行為が精度高く解明されている。それらはガイドラインに反映されると共に、行政や保険者によって強く推奨され、逸脱した非経済的な行為は償還されないなどの強制力を発揮している。その結果、 患者自身も自己責任のもと、健康維持や医療アウトカムにコミットするようになる。
また、ウェアラブル・デバイスや遠隔医療ツールが充実し、それらにガイドラインの内容が反映されることで、診断や治療が“どこでも、簡易に、正確に”行える環境が整い、多様なステークホルダーが医療に関与するようになる。こうした環境下では、治療方法や薬剤の選択権はもはや医師の手中にはない。ガイドライン作成者や行政・保険者が薬剤選択のキーとなる一方、個々の医療従事者の影響度は小さくなるため、必然的にフィールドプレイヤーであるMRの役割も縮小していく。
本稿では、そのような将来像の中、製薬企業のコマーシャルモデル(特定製品から得られる収益を最大化するための活動)がどのような変化を遂げているかを、いくつかの仮定を置きながら大胆に予測する。特に、マーケティング機能、メディカル機能、マーケットアクセス機能の連携や、現在の営業組織の変化の方向性を中心に考察を深めていく。