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公営企業における経営戦略のモニタリングのポイント

公営企業の経営戦略シリーズ(9)

モニタリングにおいては経営戦略の実行結果に対して経営比較分析表などを活用した年度評価を行い、未達成項目の差異要因をフォローアップすることが必要であり、PDCAサイクルがうまく機能していない場合は、阻害要因を洗い出し、対策を検討することが必要です。

1.経営戦略のモニタリングについて

経営戦略の見直しにおいては、「計画策定(Plan)—実施(Do)—検証(Check)—見直し(Action)」のPDCAサイクルを導入して確立し、経営戦略をモニタリングする必要があります。

(表1 PDCAサイクルの実行)

(表1 PDCAサイクルの実行)
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モニタリングの観点からは、経営戦略の実行結果に対して経営比較分析表などを活用した年度評価を行い、未達成項目の差異要因をフォローアップすることが必要です。

(表2 経営比較分析表における指標等を活用した年度評価の例)

(表2 経営比較分析表における指標等を活用した年度評価の例)
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2.PDCAサイクルにおける阻害要因と対策のポイント

経営戦略の見直しにおいてはPDCAサイクルを確立してモニタリングする必要がありますが、PDCAサイクルが効果的に機能しなくなる阻害要因が存在します。PDCAサイクルの阻害要因としては、時間的な余裕がない、行動内容を確認する指標がない、評価が結果を確認するだけで原因分析まで踏み込んでいないなど、さまざまな阻害要因があげられます。

(表3 PDCAサイクルにおける阻害要因)

(表3 PDCAサイクルにおける阻害要因)
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PDCAサイクルがうまく機能していない場合は、阻害要因を洗い出し、対策を検討することが必要です。各阻害要因への対策例をまとめると表4のとおりです。

(表4 PDCAサイクルの阻害要因に対する対策例)

(表4 PDCAサイクルの阻害要因に対する対策例)
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3.モニタリングにおける具体的な評価手法について

上記のようなPDCAサイクルを効果的に機能させるための全般的な手法のほか、具体的な評価手法として、たとえば次の4点があげられます。

① 経営指標を数点に絞る 
経営指標が多すぎるとピントが合わなくなるため、重要指標数点に絞ることが必要です。また、指標設定に際しても現場の声を参考にし、設定後も現場に共有し当事者意識を持ってもらうことも重要です。

② 年度ごとの進捗管理とローリング時の評価
3年~5年の中期で計画をローリングし、達成状況をホームページで公表することが考えられます。

③ 外部有識者委員会等の利用
ローリング時の評価に外部有識者委員会を利用することが考えられます。

④ 需要家意識調査(お客様アンケート)やパブリックコメントの活用
アンケートやパブリックコメントもモニタリングには有用と考えられます。

以上のような評価手法も用いながらモニタリングを行うことで、経営戦略を適時に見直し、経営健全化・効率化につなげることが期待されます。

 

【まとめ】

  • モニタリングにおいては経営戦略の実行結果に対して経営比較分析表などを活用した年度評価を行い、未達成項目の差異要因をフォローアップすることが必要です
  • PDCAサイクルがうまく機能していない場合は、阻害要因を洗い出し、対策を検討することが必要です。
  • モニタリングを行うことで経営戦略を適時に見直し、経営健全化・効率化につなげることが期待されます。
  • 上述までを実行することで、より質の高い経営戦略にすることが求められています。

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