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投資試算(投資計画)策定のポイント  

公営企業の経営戦略シリーズ(3)  

公営企業の経営においては、将来を見据えて適切な箇所に財源を投じるべく、投資計画を策定する必要があります。投資計画を策定するプロセスとしては、現状把握と将来予測、目標設定と投資の合理化、および投資計画の策定が考えられます。

投資計画の策定の必要性

多くの公営企業は、高度経済成長期以降に施設や設備を一斉に整備したことから今後老朽化に伴う大量の更新投資が必要となるため、施設や設備の更新のための財源を確保することが現状の課題といえます。ここで、将来を見据えて必要とされる場所に適切なタイミングで財源を投じるべく、投資計画を策定する必要があります。
投資計画の策定を行う一連の流れとしては、(1)現状把握と将来予測、(2)目標設定と投資の合理化、および(3)投資計画の策定というプロセスが考えられます。当該プロセスについて、以下、順を追って解説を行います。

 

投資計画の策定のプロセス

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(1) 現状把握と将来予測

投資計画を策定する上で、まず行うべきは投資の現状を把握することです。投資の現状を把握する際に着目すべきポイントとしては、「サービスの供給能力と実際の供給量のギャップ」や「施設やサービスの老朽化の度合い」が挙げられます。当該現状の把握においては経営指標を用いることが有用です。例えば水道事業であれば、「法定耐用年数を超えた管路が全ての管路に占める割合」である「管路老朽化率」という指標を用いることで、数値によって管路の老朽化の度合いを把握することができます。
投資の現状が把握できたら、次は投資の将来予測を行います。予測を行う内容は、「将来的な投資の需要」および「将来の投資に必要な供給能力」です。例えば水道事業における人口減少と節水トレンドによる水需要の減少という一例を前提にすると、「将来的な投資の需要」に関しては水需要の減少を通じた投資規模の縮小が必要になることが想定され、「将来の投資に必要な供給能力」に関しては水需要の減少により配水池や浄水場の供給能力が過剰になるということが想定されます。以上のように、投資の将来予測を行う際には、各公営企業における投資の現状把握・分析で認識された課題が大きく影響してくると考えられるのです。 

 

(2) 目標設定と投資の合理化

次に、目標設定を行い、投資の合理化を図ることが必要となります。
水道事業の場合、水道事業では安全・安心な水を安定的に供給することが可能となる経常収支比率、供給単価、管路老朽化率などの指標があるため(表参照)、これらのような指標による数値を目標として用いる方法が考えられます。目標値の設定方法としては、他の類似団体を基準にする方法や過去の自身のデータを基準にする方法が挙げられます。


表 水道事業に関する経営指標の例

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さらに、投資の目標設定をする際には、現実と大きく乖離した目標値が設定されないようにするために、目標を設定する段階で「投資の合理化」も検討しておくことが重要です。具体的な方法としては、水需要の減少が見込まれる場合には施設や設備の廃止(ダウンサイジング)や過剰な性能の合理化(スペックダウン)が考えられます。

 

(3) 投資計画の策定

最後に、以上に述べた手法で把握された情報を用いて、投資計画の策定を行います。投資計画の策定にあたっては、まず「投資の優先順位付け」を行い、その更新時期が偏在している場合には「投資の平準化」を行います。財源は限りあることから投資の優先順位を検討する必要があり、更新投資が一定の時期に偏っている場合には財源が不足する可能性があるため、投資の期間的な間隔を空ける等の検討が必要です。

 

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