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第14回 一般廃棄物会計基準の解説(行政コスト計算書編)

5分で理解!一般廃棄物会計基準の財務書類シリーズ

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際して、一般廃棄物会計基準の導入が要件化されます。改訂後の一般廃棄物会計基準の行政コスト計算書について解説します。

一般廃棄物の処理に関する事業に係る行政コスト計算書は、一般廃棄物の処理に関する事業について、対象期間に要した費用及び収益を表したものです。一般廃棄物の処理に関する事業に関する事業全体の効率性を把握・分析するための情報として役立てることができます。

 

(1)行政コスト計算書の構成

行政コスト計算書は、「処理原価」に「管理費用」を加え「経常行政コスト」を算定し、「経常収益」「経常外費用」及び「経常外収益」を加減して、「純行政コスト」を表したものです。
「処理原価」には、原価計算書にて算定された「処理原価」を計上します。

【行政コスト計算書のイメージ】

 

(2)経常費用

「経常費用」は、毎年度経常的に発生する費用をいい、「処理原価」と「管理費用」に区分して表示します。
「管理費用」には、主に啓発活動、集団回収、不法投棄防止対策、余熱利用施設等の管理、ごみ処理基本計画、分別収集計画などの各種計画策定、一般廃棄物処理業・施設の許可業務等に係る費用を、「人件費」「物件費等」「移転費用」「その他管理費用」に区分して計上します。

 

出典:環境省「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール環境省 一般廃棄物会計基準をもとに一部加工

 

(3)経常収益

「経常収益」は毎年度経常的に発生する収益をいい、 「使用料及び手数料」「補助金等収入」「その他」に区分して表示します。

「使用料及び手数料」には、「指定袋・シール等販売収入」「直接搬入ごみ手数料」を計上し、「補助金等収入」には、主に経常的な費用に対応する財源として、移転収入の形態で国や都道府県から経常的に支払われるものや、処理及び維持管理費に係る市区町村分担金を計上します。「その他」には、「3Rに関する項目である「資源物等売却収入」「売電等収入」等を計上します。

出典:環境省「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール環境省 一般廃棄物会計基準をもとに一部加工

 

(4)経常外費用

「経常外費用」には、非経常的に発生する費用を計上し、「移転費用」「その他」に区分して表示します。

「移転費用」は非経常的に発生する非交換性(非対価性)の支出をいい、一般廃棄物処理施設の整備に係る経費(資産形成を伴うもの)に係る「組合分担金等(建設・改良費)」と「その他」に区分して計上します。「その他」は「災害廃棄物処理事業経費」「資産除売却損」「その他」に区分して計上します。


出典:環境省「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール環境省 一般廃棄物会計基準をもとに一部加工

 

(5)経常外収益

「経常外収益」には、非経常的に発生する収益をいい、「施設整備補助金等収入」「その他」に区分して表示します。「施設整備補助金等収入」は一般廃棄物の処理に関する事業に伴い施設整備にかかる支出が発生する場合に、これに対応する財源として移転収入の形態で国や他の団体等から非経常的に支払われるものをいい、「国県等支出金(施設整備補助金)」「[一部事務組合等]市区町村分担金(建設・改良費)」に区分して計上します。「その他」には、災害廃棄物処理について国庫補助金交付要綱の適用を受けたものや東京電力の賠償等、何らかの補助を受けた事業に係る収益「災害廃棄物処理事業収益」と、資産の売却による収入が帳簿価額を上回る場合の差額である「資産売却益」、左記以外の経常外収益である「その他」に区分して計上します。


出典:環境省「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール環境省 一般廃棄物会計基準をもとに一部加工

 

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以上

 

 
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