ナレッジ

第1回 一般廃棄物会計基準とは?

5分で理解!一般廃棄物会計基準の財務書類

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際して、一般廃棄物会計基準の導入が要件化されます。また会計基準が改訂されており、改訂後の会計基準に基づく財務書類を作成するポイントについて紹介します。

財務書類の作成

循環型社会形成推進交付金の申請に向けた一般廃棄物会計基準に基づく財務書類の作成

一般廃棄物会計基準については、環境省のホームページにおいて、次の通り説明されています。

『廃棄物処理法基本方針(平成17年5月改正)において、市町村の一般廃棄物処理事業の3R化を進めるため、国の役割として、一般廃棄物処理事業のコスト分析手法等を示すこととしました。これを踏まえて検討を進め、平成19年6月に市町村の一般廃棄物処理事業3R化ガイドラインのひとつとして「一般廃棄物会計基準」をとりまとめ、公表しました。

「一般廃棄物会計基準」では、一般廃棄物処理事業に関する費用分析を行うための財務書類を作成するにあたり、費用分析の対象となる費目や費用等の配賦方法、資産の減価償却方法等について標準的な手法を定めています。』

【参照】

交付金申請において会計基準の導入が要件化

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際しては、
① ごみ処理の広域化・施設の集約化
② PFI等の民間活用
③ 一般廃棄物会計基準の導入
④ 一般廃棄物処理の有料化
が要件化されます。

【参照】


同様に、一般廃棄物会計基準については改訂が進められています(以下、「新基準」)。新基準において作成する財務書類の種類は、
「原価計算書」
「行政コスト計算書」
「資産・負債一覧表」
であり、現行基準と概ね同じ形で予定されています。ただし、様式・内容については見直しが予定されています。

なお新基準の公表は、令和3年春ごろに想定され、現行の会計基準からの主な変更点は次の通りです。

主な変更点

  • 品目別から生活系・事業系別の処理原価の算定へ
    原価計算書については、これまで、燃やすごみ、燃やさないごみ、粗大ごみなど、一般廃棄物種類毎の処理原価20種類に分類して算出することとされていました。新基準では、生活系・事業系に区分して処理原価を算定します。
  • 地方公会計情報を基礎とした資産情報の把握へ
    一般廃棄物処理事業で保有している施設・設備等の固定資産について、これまでは固定資産台帳の整備がなされていない団体も多く、一般廃棄物会計基準への対応を行うため、独自に固定資産情報(資産金額、減価償却費など)を整理していました。
    新基準では、地方公会計制度の普及に伴い、ほぼすべての団体において固定資産台帳が整備されている状況を踏まえ、各団体の固定資産台帳を活用して、一般廃棄物処理事業の固定資産情報を整理されます。
  • 注記情報
    財務書類に加え、交付金の情報など一般廃棄物処理事業を取り巻く状況等を含む注記の作成が予定されています。

まとめ

一般廃棄物会計基準に基づく財務書類を作成する際には、環境省より配付予定の財務書類作成支援ツールを用いることが想定されていますが、令和3年度に交付金の申請を予定している団体においては待ったなしの対応が必要です。

また、交付金を申請する団体および、今まで一般廃棄物会計基準を導入していない団体においても、会計基準の改訂を契機に、改めて会計基準の導入を検討することが必要となります。

次回は、具体的な財務書類の作成に際してのポイントについての説明を予定しています。

以上

お役に立ちましたか?