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第4回 一般廃棄物会計基準をスムーズに導入するには?

5分で理解!一般廃棄物会計基準の財務書類シリーズ

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際して、一般廃棄物会計基準の導入が要件化されます。皆さまが悩まれている、改定後の一般廃棄物会計基準をどのように導入すればよいかについてご紹介します。

(1)一般廃棄物会計基準を導入するためのステップの概要

一般廃棄物会計基準を導入するためのステップは以下の通りです。

一般廃棄物会計基準を導入するステップ(財務書類の出力まで)
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【一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツールのダウンロード先】

 

(2)一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツールについて

STEP①

「一般廃棄物会計基準に基づく書類成支援ツール」として、新支援ルール、固定資産ツール、実態調査データ取り込みツールが環境省から公表されています。

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出典:環境省 一般廃棄物会計基関連HP(外部サイト)

 

  • 新支援ツール(ツール1、ツール2)
    新支援ツールとは、財務書類を作成するためのツールです。新支援ツールは、簡易版(ツール1)と詳細版(ツール2)の2種類あり、主な違いおよび内容は、以下の通りです。

新支援ツール 詳細版・簡易版
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出典:「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール

 

新支援ツールは、「財務書類」「要約・分析シート」「各種入力シート」から構成されており、「各種入力シート」に「一般廃棄物処理事業実態調査(以下、「実態調査」という。)」等をもとにした金額・数量を入力することにより、「財務書類」「要約・分析シート」が自動的に作成されます。新支援ツールの全体像は、以下の通りです。

基礎データと新支援ツール
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出典:「一般廃棄物会計基準に基づく書類作成支援ツール」①ツール1(簡易版)新支援ツール

 

  • 固定資産ツール(ツール3、ツール4)
    固定資産ツールとは、固定資産に係る取得価額、減価償却累計額、減価償却費の金額を算定するためのツールです。

    具体的には、財務書類における「資産・負債一覧表」の「有形固定資産」「無形固定資産」の計上金額、「原価計算書」の「物件費―減価償却費」、「行政コスト計算書」の「物件費等」に計上する減価償却費の計上金額を算定するためのツールです。

固定資産ツール
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固定資産ツールは「固定資産台帳からの作成」ツール(ツール3)と「現行ツールからの移管」ツール(ツール4)の2種類あります。

地方公会計で整備されている固定資産台帳を利用する場合はツール3を、改訂前の一般廃棄物会計基準における固定資産台帳から以降する場合はツール4を利用します。

具体的な作業ステップは、以下の通りです。

固定資産ツール作業ステップ(新支援ツールへの転記まで)
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STEP➃では、「固定資産台帳」を基礎として、科目読替表を参考に、各種項目を入力することにより、固定資産計上金額および減価償却費の金額を算定します。

  • 実態調査データ取り込みツール(ツール5~ツール7)
    (4)実態調査データ取込ツールについて(STEP➂)にて説明します。

 

(3)インプット情報について

STEP②

「新支援ツール」(ツール1、ツール2)における「入力シート」の各種項目に金額・数値を入力するにあたり、「実態調査」以外に「固定資産台帳」等の地方公会計情報や「公債台帳」等の財務情報を事前に準備する必要があります。

 

(4)実態調査データ取込ツールについて

STEP➂

「実態調査データ取り込みツール」は「新支援ツール(ツール1、ツール2)」における「入力シート」へ「実態調査」の金額・数値等を自動で取り込むためのツールです。

「実態調査データ取り込みツール」は、「新支援ツール」に対応し、「簡易版(市区町村用)」「簡易版(一部事務組合用)」「詳細版(市区町村用)」の3種類があり、団体の状況に応じて、利用する「実態調査データ取り込みツール」を選択してください。

このツールを使用することにより、「実態調査」の金額・数値等の入力誤りを防ぐことが可能となります。

 

(5)「新支援ツール」の入力にあたっての留意事項

STEP➃

「新支援ツール」は「実態調査」をもとに入力することとなるため、「実態調査」が正確に作成されていることが重要となります。「実態調査」に含めていない項目がある場合等は、その内容を考慮して入力する必要があります。

また、地方公会計情報を入力する際には、地方公会計の担当部局と連携する必要があります。

さらに、今後の活用を見越して、「新支援ツール」の簡易版、詳細版のどちらを利用するか選択することをお勧めします。詳細版では、事業別、拠点別等所管ごとのコストを集計することで、より実態に即した作業部門ごとの「生活系」「事業系」処理原価を算定することができ、今後のごみ有料化の検討に役立ちます。

 

【関連サイト】

以上

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