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第3回:一般廃棄物会計基準改訂のポイント

5分で理解!一般廃棄物会計基準の財務書類

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際して、一般廃棄物会計基準の導入が要件化されます。平成19年に公表された基準から新基準への主な改訂内容についてご紹介します。

(1)一般廃棄物会計基準改訂の概要

環境省の循環型社会形成推進交付金に関する制度において、令和3年度よりごみ焼却施設の新設に際して「一般廃棄物会計基準の導入」が一部要件化されるとともに、一般廃棄物会計基準の改訂(以後、改訂前の基準を「平成19年基準」、改訂後の基準を「新基準」とする。)に基づく改訂後の財務書類作成ツールの作成団体への配布が始まっています。「平成19年基準」からの主な変更点は次の通りです。

①品目別から生活系・事業系別の処理原価の算定へ

「原価計算書」において、「平成19年基準」では、燃やすごみ、燃やさないごみ、粗大ごみなど、一般廃棄物種類ごとの処理原価20種類に分類して処理原価を算出されていました。
「新基準」では、生活系・事業系に区分して処理原価を算定することになります。

②地方公会計情報を基礎とした資産情報の把握へ

一般廃棄物処理事業で保有している施設・設備等の固定資産について、「平成19年基準」では固定資産台帳の整備がなされていない団体も多く、独自に一般廃棄物処理事業の固定資産情報(資産金額、減価償却費など)を整理していました。
「新基準」では、地方公会計制度の普及に伴い、ほぼすべての団体において固定資産台帳が整備されている状況を踏まえ、各団体の固定資産台帳を活用して、一般廃棄物処理事業の固定資産情報を整理することになります。

(2)一般廃棄物会計基準の主な改訂内容

(全体)

①理解可能性の原則の追加

理解可能性の原則とは、『地方公共団体の一般廃棄物の処理に関する事業に係る財務書類が、会計の専門知識を有しない一般の住民にとって、できるだけ簡潔にわかりやすく作成され、理解できるものとなっているかを意味する』であり、新基準で明文化されました。

②部門区分の変更

一般廃棄物の処理に関する事業の担当部門について、「平成19年基準」では、

「一般廃棄物の担当部門を作業部門(収集運搬・中間処理・最終処分・資源化)と管理部門に区分する」

とされていました。「新基準」では、

  • 一般廃棄物の処理に関する事業の担当部門を、作業部門、管理部門に区分する


とされ、資源化部門は中間処理部門に内包されています。

(3)一般廃棄物会計基準の主な改訂内容

(財務3表)

③原価計算書の表示内容の変更

一般廃棄物の処理に関する原価計算書について、「平成19年基準」では、

  • 対象とする費用は、各作業部門・管理部門における経常業務費用とする
  • 経常業務費用を、「人件費」、「物件費」及び「経費」に分類する

とされていました。

「新基準」では、

  • 作業部門ごとに「人件費」、「物件費等」及び「移転費用」に区分して表示


とされ、表示方法の変更が行われています。

 

④資産・負債一覧表における資産区分の変更

一般廃棄物の処理に関する資産・負債一覧表について、「平成19年基準」では、

  • 資産は、「金融資産」及び「非金融資産」に分類して表示
  • 金融資産は、「資金」と「金融資産(資金を除く)」に分類して表示
  • 非金融資産は、「事業用資産」及び「繰延資産」に分類して表示

とされていました。

「新基準」では、

  • 「有形固定資産」「無形固定資産」及び「その他」に区分して表示
  • 「流動資産」「固定資産」の区分を行わない


とされ、資産区分の変更が行われています。

 

⑤行政コスト計算書における表示内容の変更

一般廃棄物の処理に関する事業に係る行政コスト計算書について、「平成19年基準」では、

  • 「経常費用」「特別損失」及び「経常収益」に区分して表示
  • 経常費用は、「経常業務費用」及び「経常移転支出」に分類して表示

とされていました。

「新基準」では、

  • 「経常費用」「経常収益」「経常外費用」及び「経常外収益」に区分して表示
  • 経常費用は「処理原価」と「管理費用」に区分して表示
  • 「処理原価」は、「人件費」「物件費等」「移転費用」に区分して表示
  • 「管理費用」は、「人件費」「物件費等」「移転費用」「その他管理費用」に区分して表示


とされ、表示方法の変更が行われています。

(4)一般廃棄物会計基準の主な改訂内容

(注記・連結)

⑥注記情報の記載の追加

注記について、「平成19年基準」では、施設解体引当金繰入額や地元還元施設に係る費用などの注記が求められていました。「新基準」では注記項目が見直され、

  • 財務書類の作成方針
  • 重要な会計方針の変更
  • 重要な後発事象
  • 追加情報
  • その他特記事項


とされています。

このうち、追加情報には次の事項を記載することになります。

  • 3Rに係る先進的な取組事例
  • 循環型社会の形成に資する施設の整備状況
  • 場外余熱等利用施設の状況


また、その他特記事項の例は次の通り示されています。

  • 有害物質・処理困難物に係る事故発生時の対応費用(火災時の事故を終息させるための費用、修理費用)    
  • 不法投棄物、災害ごみ、漂着ごみの処理等に係る特別な要因で発生する経費等
  • リチウムイオン電池の処理等に関する事項
  • 啓発活動に関する事項
  • その他
 
⑦連結の変更

連結について、「平成19年基準」では、

  • 市町村(組合を除く)が構成団体として加入する一部事務組合等の場合は、当該構成団体の連結対象とする

とされていました。

「新基準」では、

  • 市町村(特別区を含む)が構成団体として加入する一部事務組合等と、当該構成団体の連結は行わない


とすることになります。

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以上

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