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調査レポート
Crunch time Ⅹ-決断の時10
SAP S/4HANA® CFOガイド
2025年に旧SAP ERPサポートが終了することもあり、SAP S/4HANA導入はSAP導入企業にとって一大テーマとなっています。先行事例を踏まえながら、SAP S/4HANAで可能になることや、導入に向けた留意点をご紹介します。
はじめに
SAP HANAとは、大量のデータセット処理を容易に行う技術である、インメモリーコンピューティングのSAPブランドです。SAP社はこの技術を活用した最新の次世代インテリジェントERP (SAP S/4HANA)を開発しました。SAP社の報告によると、すでに12,000を超える顧客がSAP S/4HANAを導入しています。
SAP S/4HANAファイナンスソリューションの概要について、経理・財務担当チームとIT担当チームは内容を把握している必要があります。
SAP S/4HANAは独自のユニバーサルジャーナルという技術を活用し、あらゆる経理・財務取引の内容をひとつのテーブルに格納し、すべてのデータは、ほぼリアルタイムに利用・アクセスが可能です。
さらに、SAP S/4 HANAでは簡易化されたデータモデルを採用しており、一度データが登録されれば、信頼できるシングルソースとなり、何度でもデータ利用ができることになります 。これにより、これまで実行不可能だった、または多大な時間を必要としていた分析やインサイトが、迅速に実行できるようになりました。
準備はできていますか
今日SAPを利用している企業のすべてがSAP S/4HANAにバージョンアップするかというと、おそらくそうではないでしょう。しかし、SAP利用企業にとって重大な分かれ道となります。SAPを継続して利用すると決めた企業には、その決断の根拠として次の4つの要因があったと思われます。
- 競合リスク
- 企業が予測する成長度合いと事業の整合性
- 現在のSAPと他のシステムの品質
- データの質
SAP S/4HANA導入オプション
SAP S/4HANAには「新規導入」「システム移行」「SAPセントラルファイナンス」の3への導入オプションがあり、SAP S/4HANAへの投資を計画しているSAP顧客の半数強が、新規導入またはシステム移行を選択しています。
新規導入は、企業独自のアドオンプログラムや効果のない業務プロセスを廃止し、ベストプラクティスに基づいたより一層の標準化を実現すること、システム移行は、独自仕様の一部や変化していないビジネスモデルをそのままにしておくことを念頭に選択されます。SAPセントラルファイナンスは新規導入とシステム移行を組み合わせたオプションであり、SAP S/4HANAファイナンスというシングルインスタンスを導入し、そのインスタンスを通じて自社の経理・財務プロセスの一部または全部を統合するものです。
SAP S/4HANAを現実のものに
SAP S/4HANA導入がもたらすものを実感するには、先駆者たちが行ってきたこと、およびその理由に着目してみるのもひとつの方法です。先駆者たちは、「負荷低減と透明性向上」、「成長の準備」、「ビジネス提携の実現」、「新規ビジネス支援」などを目的に、SAP S/4HANA導入を導入しています。
今すぐできること
複雑になりすぎた業務の負荷を削減するためにSAP S/4HANAを導入する企業もあれば、 ビジネス上の意思決定に幅広い影響を与える機会を得るために変革的なものとして、SAP S/4HANAを導入する企業もあります。どのような狙いにするかが結果を左右します。ただし、どの道を選ぶにしてもリーダー陣の理解と関与は必須です。
最後に
現在SAPを使用している企業は、今後5年以内にSAP S/4HANAの導入を判断することになるでしょう。早期に選択することで、経理・財務業務の全体像と導入オプションによる影響範囲を検討する時間を確保することができ、物事が正しく進む確率が高まります。
多くのCFOにとって、SAP S/4HANA導入の時期や方法を決断することは、最も重要な意思決定となっているかもしれません。これは重要な決断なのです。
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