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Crunch time V - 決断の時5
2025年の経理財務部門 ~デロイトの予想~
今回は、デロイトの予想として今後7年間で起きるであろう経理財務部門の進化を、8つの視点から考察しています。2025年の経理・財務部門はどのような組織となっているのでしょうか、一緒に確認していきましょう。
2025年の経理財務部門における8つの考察
スマートフォンアプリケーションからホームオートメーション(家電等の自動化)、キャッシュレス取引等に至るまで、今日の私たちの生活にとってデジタル技術は必要不可欠な存在となっています。このような流れは経理・財務部門でも同様であり、近い将来では経理・財務業務へのデジタル技術活用が当たり前になっているでしょう。今回のシリーズ第5弾では「2025年の経理財務部門」と題し、デロイトの考える組織の進化・将来像を紹介しています。皆さんは今から7年後の将来をどのように予想しますか? デロイトでは以下の8つを挙げています。
経理財務業務のオートメーション化
自動化やブロックチェーンが経理財務業務のより深い部分に浸透するとともに、操作なしで取引が処理されるようになります。
今後何年かにわたり、クラウドベースのERPや自動化、コグニティブイノベーションは急速に広がり続け、プロセスを抜本的に簡素化し、人的資源を時間的拘束から解放するでしょう。ブロックチェーンがこれに加わることで、その勢いはさらに加速します。こうした転換のスピードが増すことにより、人的資源は高付加価値業務に力を注げるようになります。
経理財務部門の役割
大部分の業務は自動化され、経理財務部門はビジネスインサイトの分析に、より焦点を当てることにシフトします。経理財務部門が現在、指揮下に持つリソースを今後も保ち続けるかは、付加価値をもたらす能力にかかっています。そのためには、質の高いインサイトや極めて優れたサービスの提供が必要となります。一部の経理財務部門は完全なシェアードサービスセンターに変貌を遂げることになるでしょう。
経理財務業務のサイクル
経理財務データはリアルタイムで処理されます。これまでとは異なり、周期的な報告が業務や意思決定を左右することはもはやなくなります。
実績値と予想値の両方を要求に応じて即座に提供できるようになると、従来型の周期的な報告の意義は低下します。先進的な経理財務部門は、期末というマイルストンは存在しないという新しい考え方で運営することになります。予想は毎月や毎四半期の単位では行わず、すべてリアルタイムで実施します。
セルフサービス
セルフサービスが当たり前になります。スマートフォンのデジタル音声回答によって自らの疑問を解消することができるなら、多くのビジネスパーソンはそれを利用することを選択します。予算の質問や報告書作成などの様々な活動は自動化されます。やがて、各種ツールが各人の求めている情報を学習し、率先して提供するスマートエージェント化するでしょう。こうした未来の到来に伴い、表計算ソフトのデータは、直感的に把握しやすく、使いやすい視覚的な情報に置き換えられることでしょう。
サービス提供モデル
ロボットやアルゴリズム等の新しいサービス提供モデルが登場し、フリーランス事業者やギグワーカー、クラウドなどの多様な労働力の一部として加わります。企業は業務のオフショア化と自動化とを比較し、経済合理性を検証します。
自動化により、新たなコスト削減手段が得られ、経理財務部門は自分たちの組織のあり方や業務を処理する場所、そして人手の介在が不要なプロセスについて、再検討する機会を得ることができます。
基幹システム(ERP)
新たな経理財務アプリケーションやマイクロサービスが従来型ERPの対抗馬として頭角を現します。
ERPベンダーは既に自らの製品に、自動化やブロックチェーン、コグニティブツールなどのデジタル技術を組み込んでいます。それでも、競合他社を出し抜くことはできないでしょう。なぜなら、新規事業者がERPプラットフォーム内のトップの位置に立つ専用アプリケーションやマイクロサービスを携えてERP領域に参入することが想定されるためです。
データ
APIの普及により、データの標準化は促進されますが、それで十分ではありません。多くの企業は今後もなお自社の乱雑なデータの整理に手を焼くことになります。
労働力と職場
経理財務部門の人材モデルは急激に進化し、データサイエンティストやビジネスアナリスト、ストーリーテラーが重要視されるようになっています。これは多くの経理財務部門における劇的な変化をもたらし、これに備えるには、将来目指す方向性に合った人材を採用する必要があります。重要な資質には、特定業務で求められる専門能力に加え、強いサービス志向や柔軟性、優れた連携能力などが挙げられます。また、経理財務部門の担当者は、コミュニケーション能力や影響力を活用し、経理財務業務の価値向上に貢献することが期待されます。
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