AI&Dataユニット | オファリングサービス
アフターコロナの製薬MR(医薬情報担当者)のディティール力と医者との応対品質向上を求めて
AIを活用したMRの応対力強化ロールプレイングシステムとナレッジ検索システムによる組織全体の底上げを目指す
本プロジェクトの狙いや背景等
従来では、MR(=医療情報担当者)は毎日のように営業車に乗って各担当病院を訪問し、医者とのコミュニケーションをする中でタイムリーに必要な医薬情報・医薬品提供の機会がありましたが、コロナ禍でその状況は一変してしまったことで、医者はコロナ対応、感染対策の観点から MRとの面談する時間が制限されてしまいました。それだけに、限られた医者との面談機会に、MRが正確かつタイムリーな情報提供ができなければ、担当の医者との信頼関係を損ない、成果を出すことが出来なくなってしまいます。
一方で成果が出なければMRの人員削減をする製薬企業も多い中、お客様は社員を削減することなく、一人一人が成果を出せるようにMRを育てる企業でもあった為、 現在どのようなレベルのMRであっても、かつ コロナ禍でも成果を出せる仕組みづくりを模索することから始まりました。
お客様と多面的に検討した結果、医者と面談する時間で実力を発揮できるように、知識の向上には曖昧な検索でも最適なナレッジを提供するシステムと、よりリアルなコミュニケーション能力を引き上げる対医者向けのロールプレイングゲームの開発をすることになりました。
プロジェクトにかかわるメンバー及びそれぞれの役割について
製薬業界に精通するヘルスケア部門に属するインダストリーチームが企画構想策定から業務要件定義まで推進、業務要件定義からアプリケーションシステム化の要件定義への落とし込みや設計・開発プロジェクトを管理・推進するAI&Dチームのダブルチームの構成、各4名ずつアサインされ、ゲームアプリケーションの開発ベンダーおよびUI/UXのデザイン・開発ベンダーの10名のチームとコラボレーションして本プロジェクトを推進してきました。
プロジェクトを成功させる上でのポイントやプロセスについて
MRの業務特性や日々の営業活動の動きを具体的に想定し、Tobe像を描き、それを実現するプロセスとシステムは何かを落とし込んだ上で、アプリケーションの動きについて多数のパターンを何度もお客様と協議を重ねて開発を進めたことで、アジャイル開発プロジェクトの中でも手戻りが少なく目指すゴールに向けて必要な機能やデータの収集にフォーカスすることができたのが成功の要因といえます。
さらに、業界固有、お客様固有の専門用語に対して、AIが正しく音声認識できるようにする為の機械学習だけでなく、自動採点をする為の基準の設定まで、医者との対話ではMRは、何が求められる知識なのか、どのような表現で回答してほしいか、業界固有のルールも含めて、改めて、お客様と部門横断で時間を掛けて丁寧に、一から正しく整理することができました。
結果、AIを活用した自動採点により、採点基準がぶれず、90%以上の回答に対して、人がつける採点精度と同等の精度を実現。並行して開発したナレッジ検索システムも、AIの機械学習により関連度の高い順にナレッジを表示させることに成功し、上位の正答率は96%を超える精度を達成。
上記の施策の実用化によって、従来はMRが自身で論文を探すか、各事業部に分散するシステムを個別にアクセスして情報収集していた作業工数が大幅に削減され、知識向上の自己研鑽への時間に転換することにも成功し、開発したシステムの利用促進にもつながりました。
そこには、多種多様な専門領域での経歴を持つコンサルタントが集うDeloitteならでは、製薬業界に精通する元MR経験者や他社でシステム構築の実績あるメンバーが集合し、テクニカルだけでなく、お客様独自の業務プロセス、業界固有の知識やルールのどちらも把握しながら進めることで、成功のスピードを加速させたと認識しています。
本案件ならではの難しさややりがい
製薬業界では専門用語、専門知識が多数存在し、MRは担当病院の医者との定期的なコミュニケーションの中で、必要な情報や製品をタイムリーに提供することが求められます。MRは、「医者に対して間違った知識を提供してはならないが、質問に答えられず待たせることもできない、社内のナレッジは集約されておらず、社内のどのシステムにアクセスして調べればいいかわからない」といった現場の課題を抱えていました。一方、MRを育成する研修講師役となる管理職も、 大学病院やガン研究所などの、規模が大きく複雑度が高い病院を担当しており、通常業務に加え、講義をしてテストの採点まで行うこと自体が負荷が高いという課題も抱えていました。
この両面の課題を解決するソリューションが求められた為、極めて難易度は高く、既存のツールで実現するには限界であると判断し、新システムの開発を決断しました。当時、世界に実例のない業務目的の自動採点機能付き応対ロールプレイングゲームの開発には、期待も大きく失敗できないプレッシャーを感じる一方で、スタッフ全員が使命感をもって挑戦したので開発に成功しリリースした時の喜びは大きいものでした。
本案件における、DTCならでは、または、Divisionならではの取り組み
IT業界、特にAIシステムやデータ分析のプロジェクトでの実績とスキルを持つAI&Dのコンサルタントと製薬業界で数多くの実績のあるコンサルタントとがタッグを組んで、経営層との構想策定、さらに 現場へ導入して効果を出す為に、管理者層とどのようなプロセスやシステムが必要かを検討し、それを推進する体制にはどのようなスキルを持ったメンバーが必要かまで深堀りしました。必要とあれば他社とのアライアンスも含めてお客様の求める成功に向けて制限を掛けず柔軟に、EndToEndまでフォーカスする所がDTCの何よりの強みで、本プロジェクトでもDeloitteの2つの組織とゲーム開発ベンダー、アプリケーションデザイン企業とのコラボレーションをして実現することができました。
この結果に対してお客様より高く評価頂き、 強力にタッグを組めたDeloitteチームは、お客様のAIの活用範囲をさらに拡大し、MR向けの「リコメンド機能付き統合ポータルサイト」や 「弱点分野の補強学習促進システム」を構築、現在ではさらに「MR属性別の最適な医療ニュース配信システム」など実現に向けて今もお客様の業務変革をリードしています。
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